要求不満で表れる5つの反応とフラストレーション耐性を高めるヒント

思い通りにならないことだらけなのに、平然と仕事をこなしている人もいれば、文句ばかり言って逃げ回っている人もいます。この違いは何なのでしょうか?違いの原因に関係しているフラストレーション(欲求不満)について考えてみました。

  1. 思い通りにいかなくても淡々と仕事をこなせる?
  2. ⑤パターンのフラストレーション反応
  3. 2週間で効果のでた方法とは

思い通りにいかなくても淡々と仕事をこなせる?

ビジネスでは思い通りのならないことの連続です。ムチャぶり上司に働かない部下、予算の納期もない仕事。すべてを投げ出したくなることもあることでしょう。ところが、そんな逆境などものともせず、淡々と仕事をこなせる人もいれば、子どものように拗ねて現実逃避を繰り返す人もいます。どちらに仕事を頼みたくなるのかは、言うまでもないでしょう。

欲求不満となると、人は緊張します。その緊張を解消しようと、怒ったり、すねたりしてしまうのです。本来であれば、状況を冷静に判断して対処すべきなのに、ある種の逃避行動によって事態は一層悪化していきます。そして冷静になったときに、自分のバタバタぶりに落ち込んだり……。

どんな事態でも、しっかりと落ち着いて対処したい。それは多くの人の望みでしょう。だからこそ、まずフラストレーションを感じたとき、人がどのような行動を取るのかを紹介しましょう。

⑤パターンのフラストレーション反応

フラストレーションへの反応は、目白大学の渋谷昌三教授の書いた『他人の心理学』(西東社)によれば、大きく5つのタイプに分かれます。欲求不満になったとき自分がどんな反応を示しやすいのか、5つのタイプから見つけてみましょう。

①攻撃的反応

周りを攻撃するパターンです。「あいつが悪い」「環境が悪い」「おまえが悪い」などなど、状況が悪化すると悪口を言いだす人はけっこういるのではないでしょうか。ただし、このような対応はピンチのときに最悪です。部下などからの信頼を失うことも考えられます。

②退行反応

子どものように駄々をこねたり、拗ねたりする反応です。ピンチのときに、いい大人がこんな行動を取ったら周りはどん引きです。対処に困るという意味でも、評価を下げるフラストレーション対処方法です。

③逃避反応

さまざまな形での逃避があります。ボーッとする人もいれば、ゲームなどに興じて時間を潰す人もいるようです。さして緊急でもない仕事を始める人も。攻撃的反応や退行反応のように周りを巻き込むことがないのはいいのですが、事態は一向に改善しません。

④抑圧反応

フラストレーションそのものを思い出さないように抑圧します。社会人としては必要な対処法ですが、ずっとフラストレーションを抱え込んでいるため、限界がきたときに爆発してしまいます。

⑤固着反応

意味のない行動を繰り返します。爪を噛む、ニキビを潰す、貧乏揺すりなど、少し眉をひそめてしまうような行動を繰り返してしまいます。

自分がどんなパターンでフラストレーションに対応しているかわかりましたか? 攻撃的反応や退行反応は周りも迷惑するので、やはり改善が必要でしょう。また抑圧反応は、自分が欲求不満だという認識がないだけに自分を追い込んでしまう可能性があるので要注意です。

2週間で効果のでた方法とは

さて、フラストレーションに負けず冷静に対処する力を、フラストレーション耐性と呼びます。これは人によって違うので、同じような状況であっても攻撃的反応で怒鳴り散らしている人もいれば、淡々と事態に対処できる人もいるというわけです。

そしてフラストレーション耐性は筋肉のように鍛えることができるのです。

耐性強化の参考になりそうな実験が、『スタンフォードの自分を変える教室』(ケリー・マクゴニガル 著/)に載っています。

ノースウェスタン大学の実験によれば、食事やドアを開閉を利き手以外で行う、汚い言葉を使わないといった面倒くささを感じる日々を我慢した実験参加者は、わずか2週間で恋人とのいさかいがあっても以前のようにカッとしなくなったというのです。

日々の生活でフラストレーション耐性を高めると、問題が起きても冷静に対処できるようになる。これは朗報でしょう。できれば習慣にしてしまいたい行動で、フラストレーション耐性を高めたいですね。

『スタンフォードの自分を変える教室』によれば、耐性を高めるトレーニング課題は、あまり重要ではないことの方が苦痛を感じずに続くそうです。本書には次のようなトレーニングを推奨しています。

・汚い言葉を使わない

・口癖を言わない

・座っているときに脚を組まない

・食事やドアの開け閉めに利き手を使わない

・母親に毎日電話する

・5分間の瞑想を行う

ぜひ試してみてください。

監修:日本産業カウンセラー協会

参考:『スタンフォードの自分を変える教室』(ケリー・マクゴニガル 著/大和書房)/『他人の心理学』(渋谷昌三 著/西東社)

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