「片付け」と並んで対策本の多い「先延ばし」。そこで対策本を購入し、比較的簡単に試せる対策をまとめてみました。多くの人が悩んでいる「先延ばし」の改善に向けて一歩を踏み出しましょう!
- 「先延ばし」は失業も引き寄せる!?
- 完璧主義者が先延ばしをするわけではない
- 最初の一歩を踏み出すために
- 行動の区切りを変える
- 脳内コントラスティング法とは
- 気が散るタイプにはこの対策!
「先延ばし」は失業も引き寄せる!?
「先のばし」対策の本は、非常に多く出版されています。それもそのはず。カルガリー大学ビジネススクールのピアーズ・スティール教授は、自著(『ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか』 CCCメディアハウス)の中で
「さまざまな調査によると、95%ぐらいの人は、ものごとを先延ばしするときがあると自分で認めている。およそ4人に1人ぐらいは、先延ばしが慢性化して自分の特徴の1つになっていると答えている」
と書いているのです。
これだけ多くの人が「先延ばし」に悩んでいるのであれば、直すほどの悪癖でもないのではと思うかも知れませんが、じつはそうもいかないようです。というのも「先延ばし」癖のある人は失業率も高いとも、ピアーズ教授は書いているからです。
完璧主義者が先延ばしをするわけではない
また、この本はこれまでの「先延ばし」の定説を覆しています。 例えば、
「『先延ばし人間=完璧主義者』説にはデータの裏づけがない」
というもの。なんと買い揃えた11冊の書籍のほとんどが触れている論理が、最新研究によって否定されたことになるのです。
むしろ「先延ばし」の原因として注目されているのは、「衝動性」とのこと。衝動に負けやすいヒトは、計画的に作業を進めるのが苦手な上に、せっかく仕事を始めても気が散ってしまう。そのため「先延ばし」が習慣化しやすいというのです。
そこで旧来の対策本からの引用は、ピアーズ教授の主張と矛盾しないものを選んでみました。
最初の一歩を踏み出すために
旧来の対策本で、よく書かれていた対策が2つあります。
・タスクを小分けにすること
・とにかく手をつけて「作業興奮」という作用による「やる気」の出現を待つこと
「タスクを小分けにすること」は、最も簡単にできる「先延ばし」対策の1つでしょう。作業を始める最初の一歩を踏み出せないのが、「先延ばし」の大きな特徴なので、最初に手を付ける作業はなるべく小さくしておきましょう。
一方、やる気が出なくてもとりあえず作業を始めることで脳が刺激され、結果やる気が出る「作業興奮」を狙って、最初の一歩を踏み出すようにするのは、やや難しいかもしれません。というのも、やらないと困ったことになるとわかっていても、最初の一歩が踏み出せない。それが「先延ばし」癖のやっかいなところだからです。
行動の区切りを変える
この最初の一歩を踏み出す方法を、産業療法士の菅原洋平氏が自著(『すぐやる! 『行動力』を高める“科学的な”方法』文響社)で紹介しています。
菅原氏が勧めるのは、行動の区切りを変えること。
会社から帰宅したら資格の勉強をしたいのに、疲れてダラダラと過ごしてしまうという相談者に、彼は次のようなアドバイスを贈りました。
『帰宅したら鞄から参考書とノートを出して、1行目に日付を書く』ということです。日付を書いたあとは自由にだらだらして構わないという条件です」
たった、これだけのことですが、相談者は毎日最低でも30分は勉強時間が取れるようになったそうです。会社から帰って鞄を置いて着替え、いったんソファに座ってしまえば、ダラダラした時間が始まってしまいます。ところが、ほんの少しでもやらなければならない行動を手がけるようにすれば、最も難しい最初の一歩を踏み出すことができるというのです。
脳内コントラスティング法とは
では、『ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか』には、どのような対策が書かれているのでしょうか?
「先延ばし克服の行動プラン」は5つ紹介されていますが、そのうちの1つ、「脳内コントラスティング法」を紹介しましょう。
まず邪魔の入らない状態で腰を下ろして、自分が送りたい人生の未来像を思い描きます。次に仕事や家族など、未来を構成する要素に目を向け、その未来像が魅力的と感じる理由を具体的に思い描きます。さらに現在の自分と理想の未来の自分を比べてギャップをハッキリ認識。その上で、どんな行動が必要なのかを明確にします。
なりたい自分があり、そこに向けてどんな努力が必要なのかが理解できれば、先延ばし癖に悩まされることが少なくなるとのことです。
気が散るタイプにはこの対策!
さて、冒頭に示した衝動性が強く、集中しにくいタイプは、どんな対策が必要なのでしょうか?
『いつも時間がないA君と片づけられないBさんへ』(サニー・シュレンジャー 著/幻冬舎)には、面白い対策法が書かれていました。それは自分の決めた仕事の枠内で、他に注意を移すこと。
完成まで時間が必要な仕事の中に、すぐに終わりそうな仕事を入れ込み、適当に目先を変えることで、仕事以外に興味が流れてしまうのを防止するのだそうです。
いかがだったでしょうか?
記事が気に入ったら、「先延ばし」対策を「先延ばし」にすることなく、とりあえずやってみせんか? 少しでも効果が出たら、その対策が書いてあった本を購入してみましょう。さらに本格的な対策に知ることができるでしょう。
参考:
『ヒトはなぜ先延ばしをしてしまうのか』(ピアーズ・スティール 著/CCCメディアハウス)
『すぐやる!『行動力』を高める“科学的な”方法』(菅原洋平 著/文響社)
『いつも時間がないA君と片づけられないBさんへ』(サニー・シュレンジャー 著/幻冬舎)