部下のメンタルヘルス不調が気になったとき上司にできること

「あれ? 部下の様子がちょっと変だ」と気づくことはあるかもしれません。そのとき多くの人が「自分に何ができるのだろう」と考えるようです。そこで部下のメンタルヘルス不調に何ができるのかを考えてみました。

  • メンタルへルス不調15のサイン
  • できるのは部下の話を聴くこと
  • 日常のコミュニケーションも変わる

メンタルへルス不調15のサイン

厚生労働省の発表した「患者調査」によれば、2014年の精神疾患の患者数は396万人でした。2017年はさらに増えて422万人となっています。また退職率の高さでは、「がん」「メンタルヘルス」「脳血管疾患」の3つが目立っているといった報告もあります。しかもメンタルへルス不調の場合、当人が医療機関にかからないために悪化し、様子がおかしいことに気づきながら周りも何もできないといったこともあるようです。

では、メンタルへルス不調のサインは、どんなものがあるのでしょうか?

①顔色・表情がさえない、あるいは険しい
②出勤がいつもより遅い
③早退が多くなっている
④寝不足の様子である(仕事中上の空の様子である)
⑤報告や会話が少ない、あるいは多すぎる
⑥被害的なことを口にする
⑦食欲がなさそうである(昼食がおいしくなさそうである)
⑧話題に乗ってこない(乗ってきても無理している様子である)
⑨話に脈絡がない、あるいは飛躍が多い
⑩気分のムラが目立つ・落ち着きがなくなってきている
⑪仕事でミスが増えた(それをまた気にする)
⑫残業が増加している(ルーチンの仕事に時間がかかる)
⑬行動が機敏でない(どうしてよいかわからない様子がみられる)
⑭身だしなみが乱れてきた
⑮出勤時酒臭がすることが多い

※「メンタルヘルス不調者の早期発見・早期対応の手引き」(産業医学振興財団)

上記のような症状が出たら要注意です。もちろん病気と決まったわけではありませんが、当人がいつもと違う状態に戸惑っている可能性もあります。

できるのは部下の話を聴くこと

さて、こうした状態の部下にどう接するべきなのでしょうか?

社内に産業医やカウンセラーがいて協力体制を築けるケースやメンタルへルス不調者の対応窓口があれば、まず上司である自分が何をすべきなのかを相談することができます。しかし多くの企業では、そのような体制は整っていないかもしれません。

また産業医が居ても、当人がメンタルへルス不調の面談を受けたくない場合つなぐことも難しくなります。それでも早期の対処が、その後の流れに大きな影響を及ぼすことを考えれば、上司としてもできる範囲のことはすべきではないでしょうか。

こうしたケースで上司ができることは、まず個室で当人から話を聴くことだそうです。相手に共感を示し、部下の状況や気持ちを受け止めることが重要になります。「それは大変だったね」といった言葉が、使いやすいかもしれません。

話を聴くことで部下が落ち着く場合もあれば、自分の状況を認識して病院に行ってみようと思うかもしれません。ただ、その決定はあくまでも部下の意志が尊重されてなくてはいけません。

相手から情報を得ることが目的ではないので、相手のペースに合わせて、ゆっくりと話を聴きましょう。こうした聴くための技術は「傾聴」と呼ばれ、カウンセラーの重要なスキルの一つであり、コミュニケーションの土台でもあります。

日常のコミュニケーションも変わる

傾聴はカウンセラーになるための大学の講義などでも学ぶことができますが、仕事をしながら身につけたいなら、産業カウンセラーの資格取得がおすすめでしょう。厚生労働省が企業での実施を義務化しているストレスチェックの法律でも、相談業務の一部を担うことができるとして法律にも書かれている資格です。

そして産業カウンセラーの資格取得者の志望動機で多いのは、部下や同僚のメンタルヘルス不調に何もできなかったという後悔の念です。少し早めに自分が話を聴くことができれば、退職することはなかったのでは、といった想いを多くの方が抱いて資格を取り、そのスキルを仕事にも活用しています。

受講生の声を紹介しましょう。

「観察することが講座では求められる。相手が話している内容だけではなく、言い方、表情、態度・・。こんなに表現してくれているのに自分は相手を観ていなかったなぁと、つくづく思った。職場でも観察することを心掛けると色々と気づくことがあった。管理者として部下の不調や状態に気づく感度が高まったことは、とても役に立っている」(43歳 流通 男性)

「講座で傾聴のトレーニングを始めて、自分の聴き方は思い込みや先入観からのものであることに気が付いた。それだと話し手が聴いてほしいところに話が進まず、私の独りよがりの満足感に過ぎないことに愕然とした。これまでは周囲の人が私に合わせてくれていたのかもと思い猛省した。相手が何を伝えたいのかに注力するようになり、職場でのコミュニケーションが各段に良くなったことだ」(32歳 商社 男性)

メンタルへルス不調者が休職した場合、その後の復職でも上司の果たす役割は小さくありません。そして講座を受講していれば、経験豊富な講師から対処法のアドバイスを得ることも可能です。

新型コロナウイルスの蔓延など、メンタルへルスへの影響が懸念される状況で傾聴のスキルを身につけておくことは、今後、仕事を続ける上でもプラスになるでしょう。もちろんセカンドキャリアに向けた資格取得という意味でもプラスになります。

メンタルへルスやコミュニケーションに興味のある方は、こちらもご覧ください。

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