謝り方は意外に難しいものです。謝罪会見などでも、それが元で「炎上」してしまうこともあります。友人や恋人、家族から謝られても、「なんかモヤモヤする……」と思ってしまうこともあるでしょう。そんなスッキリしない謝罪をしないための方法を紹介します。
- 「戦略」に気付かれると効果激減
- 謝罪するめには3つの肯定が必要
- 自分を成長させる謝罪4つのポイント
「戦略」に気付かれると効果激減
謝られたのに、どうもスッキリしないなと感じることありませんか。
その要因の一つは「戦略的な気持ち」にあります。わかりやすく書くと、「こうすれば許してくれるんでしょう!」といった気持ちです。もちろん許してほしいから謝るのですが、こうした「戦略」が相手に気付かれると、謝罪の効果は大きく損なわれるそうです。
「心がこもっていない」といった感情が相手に芽生えてしまうと、許してあげようという気持ちが減ってしまうのは当然でしょう。つまり純粋に申し訳ないという気持ちが伝わるのかどうかが、非常に重要になるのです。
「電話で謝罪するときにも、しっかり頭を下げるように」といった手法も、口先だけの謝罪と思わせないためのものなのです。
つまり謝罪の基本は、まず申し訳ないという気持ちをつくることが重要になってくるのです。
謝罪するめには3つの肯定が必要
謝る気持ちがあったとしても、全面的な謝罪ではないことで、さらに問題が深刻化するケースがあります。そうしたことを防ぐためには、謝罪が「釈明行為」の一つだと理解することが重要です。
「釈明行為」には、「否認」「正当化」「弁明」「謝罪」と4つのパターンがあるので、謝る気持ちの低いものから紹介していきましょう。
①問題に関連したことを認めるか → 否定 → 否認
↓肯定
②関与した事象が不適切だと認めるか → 否定 → 正当化
↓肯定
③自分の責任を認めるか → 否定 → 弁明
↓肯定
④謝罪
つまり謝罪は、不適切な問題に関与した責任をすべて認めることで成立するのです。
謝罪のときにNGワードとされる「誤解を与えてしまって申し訳ありません」は、自分の責任を認めず、弁明しているために相手の怒りを買ってしまうのです。
自分を成長させる謝罪4つのポイント
ビジネスでは、ときに過ちを認めないことが短期的なプラスになることはあるようです。米スタンフォード大学のビジネススクールで行われた研究では、自分の犯したミスの責任を取らない人の方が、ミスを謝る男性より短期的には第三者から力があると思われる、といった研究結果もあるそうです。
しかし長期的にはマイナスに働くことは明らかです。
まず、謝罪がなければ当事者の怒りは増幅しますし、自分自身も間違った経験から学ぶことが難しくなりがちです。しかも自分の犯した失敗が、自分からエネルギーを奪ってしまうという悪循環から逃れられなくなる場合もあるそうです。
そこで謝罪のテクニカルな手法ではなく、自分を成長させ、失敗から立ち直るきっかけを与えるような謝り方のポイントを紹介してみましょう。
① 謝罪すべきことをしたと認める
先にも説明した通り、まず認めるが第一歩です。不適切な問題に関与した責任をすべて認め、正当化や弁明をしないことを誓う必要があります。
②自分の行動の結果と謝罪相手の損害を知る
相手にどんな精神的なダメージを与え、経済的にはどんな問題を引き起こしたのかを、しっかりと確認しましょう。自分の行為の結果を知らないと、本心からの謝罪は生まれません。
③失敗から得られる気づきを考える
二度と同じような問題点を起こさないように、問題の原因や問題に関係したよくない習慣などを書き出してみましょう。同じ過ちを繰り返さないためには、その原因に気付くことが重要です。
④相手にできること申し出ましょう
さらに相手がどんなことをしてほしいのかをたずね、相手の損害にどんな補償をするのかを話し、同じ失敗を繰り返さないためにどう努力するのかを話し合います。
失敗への対応によって、関係性がより強くなることは少なくありません。ただ、最悪の状況から関係をプラスに転換するには、真摯な対応と反省が必要です。上記の4つは、そのためのステップを具体化しています。参考にしてみてください。
心理学を生活に活用したいなと感じたら、こちらもご覧ください。
参考:『失敗しない謝り方』(大渕憲一/CCCメディアハウス)/『スタンフォードの心理学講義 人生がうまくいくシンプルなルール』(ケリー・マクゴニガル/日経BP社)