すぐに使えるコミュニケーションの心理学的方法4選

コミュニケーションが重要なことは、多くの人が知っています。ただ、コミュニケーション能力を上げていくポイントは、意外に難しいものです。そこで比較的簡単に実行できるコミュニケーション能力アップの方法を集めてみました。

  • 説得したいときには「イエス」を重ねる
  • 信頼を得たいときにはメリットとデメリットの両方を伝える
  • 相手に腹が立ったら事実だけを考えてみる
  • 相手の威嚇は無視する

①説得したいときには「イエス」を重ねる

仕事でもプライベートでも、相手を説得したいと思ったときには、まず相手が「イエス」と答えてしまうような質問をするようにしましょう。

「今日は暑いね」とか「いい天気ですね」というのは、その典型でしょう。さらに「最近、仕事忙しそうだね」とか、「新しいアルバイトの人が入りましたね」と、「そうなんですよ」と肯定せざる負えない質問を繰り返すのです。相手からしたら、適当な世間話をしているようにしか感じませんが、肯定を続けることで本題に「イエス」と答える可能性は高まっていきます。

これは「イエス肯定話法」と呼ばれるもので、小さな「イエス」を積み重ねることで、大きな「イエス」を言いやすくなる環境をつくるものです。優秀な営業マンは、この方法で本題に入る前の世間話の段階で自分に有利な環境をこしらえているようです。

仕事だけではなく、家事の分担やお小遣いの交渉など、プライベートのちょっとしたことで効果を試してみてはいかがでしょうか?

②信頼を得たいときにはメリットとデメリットの両方を伝える

いい話ばかりを並べる人に、「何だか怪しい」と感じたことはあるでしょう。プラスもあればマイナスもある。それが当たり前だからです。だからデメリットを隠そうと、メリットの話だけをすれば、相手に不信感を持たれてしまします。

そうならないためにも、物事のメリットとデメリットは両方伝えるようにしましょう。特に慎重なタイプの人に話をするときは、この方法が役立ちます。

そしてポジティブ面とネガティブ面の両方を伝えるときには、ポジティブな面が後の方がいいと言われています。それはプラスの話で終わった方が、好印象を与える可能性が高いからです。

そこで「ネガティブ⇒ポジティブ」の形にするか、「ポジティブ⇒ネガティブ⇒ポジティブ」の形で話をするといいでしょう。

最悪のパターンはポジティブなことだけ並べて、相手の質問でネガティブな話をすることになり、そのまま会話が終わるパターンです。相手に話をする前に、どんな順序で何を話すのかを決めて、話し合いに望みましょう。

③相手に腹が立ったら事実だけを考えてみる

他人に腹を立てるとき、起こった事実だけではなく、そのとき「感じたこと」やその「解釈」が付いて回ります。

例えば外で会ったのに無視されたとしましょう。そのとき「イヤな奴だ」と腹が立つのは、「なんだあの態度は」といった感情や、「挨拶もできない非常識な人だ」という解釈が含まれているからなのです。しかし事実は「挨拶せずに通り過ぎてしまった」ことだけ。

相手は慌てていて周りが見えなくなっていたのかもしれませんし、人通りが多くてあなたに気づかなかったのかもしれません。

事実だけを抜き出して、自分が感じた解釈とは別の解釈がないのかを考えてみることで、違った側面が見えるかもしれません。

「そういえば目が悪かったな」とか、「ボーっとしていることが多かったな」といった解釈に気づき、相手が意図的に意地悪をしたのでないとわかれば怒りも収まるのではないでしょうか。

相手に悪感情を抱けば、それはコミュニケーションではマイナスに働きます。プラスに解釈できる部分がないのかを、腹が立ったときに探してみてはいかがでしょうか?

④相手の威嚇は無視する

相手がマウンティングをしてきたり、威嚇してきたりといったことは、さまざまなシチュエーションで起こります。そうした場合は、とにかく無視するのが一番です。

じつは交渉で威嚇したときにどんな結果が生まれるのかについては、有名な心理実験があります。
その結果によれば、利益が高い順番は以下の通りです。

1.双方とも威嚇をしない場合
2.片方が一方的に威嚇をする場合
3.互いに相手を威嚇する場合

つまり相手の威嚇にのってしまえば、利益は余計に減ってしまうのです。「はいはい」と受け流しながら、相手の威嚇に乗らないことは、自分の利益確保にもつながることを知っておきましょう。

今日は簡単に使えるコミュニケーションの心理学的方法を集めました。ぜひ活用してみてください。

日常に役立つ心理学に興味のある方は、こちらもご覧ください。

監修:日本産業カウンセラー協会

参考:『自分を活かすコミュニケーション力』(荒木晶子 藤木美奈子/実教出版)/『一流の人はなぜモノの言い方にこだわるのか?』(齊藤勇 監修/宝島社)

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