親の介護が始まり、仕事と両立させるためにデイサービスへ預けることを決意したけれど……。不安が尽きない人もいるでしょう。そこで介護福祉士を取得した筆者が、デイサービスでの一日の流れを詳細にレポートします。
9:30 送迎バスでデイサービスへ到着、まずはお茶でホッと一息
利用者の反応はさまざまですが、所員はあの手この手を使ってみんなが楽しく過ごせるように工夫しています。では、朝のお迎えからスタートです。(※実体験をもとに一般的な一日の例をご紹介しています。全てのデイサービスが同じサービスを提供しているわけではありません)
自分で歩行できる人から送迎バスを降りてもらい、玄関口へ。歩行困難者や車いすの人は、スタッフが介助してゆっくり施設の中へ入っていきます。コートや帽子は名札をつけてコート掛けへかけておきます。
お茶、コーヒー、紅茶、オレンジジュースなどのなかから、今日の気分でドリンクをセレクトしてもらいます。ホットとアイスが選べます。高齢者の方はホットを好まれると思いきや、意外とアイス派も多いものです。
10:00 朝の挨拶後、レクリエーションを楽しみながら各自排泄や入浴へ
本日勤務している所員の紹介と、スケジュール確認が行われます。いわば朝礼のようなものです。朝の挨拶後は、塗り絵と「間違い探し」、クロスワードパズルが配られて、お楽しみの時間の始まりです。
この間、歩行困難者の排泄介助と、希望者のための入浴が行われます。ときには美容師さんが来て、散髪を行ってくれることも。順番で排泄や入浴となるので、みんなでレクリエーションを行うというよりは、各自楽しむスタイル。多くの人はおしゃべりに興じていますが、「クロスワードも、間違い探しも、全部やっちゃったよ~」という人も出てきます。室内で楽しんでもらえるようなことをいかに提供するかが、所員の腕の見せ所です。
所内には健康器具もあるため、器具を使って身体のリフレッシュと健康増進を図る人もいます。その際には、必ず所員が付き添います。
12:00 昼食・服薬・歯磨き
お昼ご飯の時間です。普通食や刻み食、トロミ食など、各自の健康状態や口腔状態に合わせた食事が提供されるので、同じメニューでも見た目は人それぞれ違います。食事の介助が必要な人は、スタッフが介助して見守ります。そして高齢者に必須なのが、食後の服薬。忘れず服薬できるよう促します。また、歯磨きも行います。
13:00 買い物・散歩・ビデオ鑑賞
アウトドア派、インドア派、シティ派それぞれ好みの自由行動をとってもらいます。外に出て散策を楽しむアウトドア派、所内でビデオ鑑賞を行うインドア派、近くのスーパーやドラッグストアまで買い物に出かけるシティ派。自力では買い物に行くことができない方などは、「週に一度のデイサービスで、身の回りの物を買うのが楽しみ」と喜ばれます。
なお、季節によっては散策や買い物を午前中に行います。夏は午前中の涼しい時間帯、冬になったら午後一番が理想です。
14:30 おやつタイム
アウトドア派、シティ派がデイサービスへ帰ってきたところで、おやつタイム。おまんじゅうやバナナなどをつまみ、好みのドリンクを飲みながら、レクリエーションタイムまでしばし歓談です。
15:00 レクリエーションタイム
みんなでレクリエーションを楽しむ時間です。身体を使った体操のほか、3つのヒントから都道府県を当てるクイズ(ヒバ・マグロ・リンゴ→「青森県」の特産品など)、床に的を描いた座布団をひき、お手玉を使ったダーツをするなど、日替わりで様々なレクリエーションを楽しみます。身体を動かすのが苦手な人、頭を使ったものでないと楽しめない人、競争が好きな人など、さまざまな嗜好に合わせられるよう、バランスを考えたレクリエーションが行われます。
16:20 帰りの挨拶
一日の締めくくりに、誕生日が近い人のお祝いをしたり、次の日や次週のレクリエーションの紹介を行ったりします。その間、スタッフは送りの準備を行います。
16:30 送迎バスへ
コートや帽子など身支度を整え、送迎バスへ乗り込みます。忘れ物がないようスタッフがチェック。家まで送り届けたら、玄関先やベッドまで誘導します。
「今、お風呂に入ってる頃かな?」などと想像しながら、不安なく仕事したい
親がデイサービスでどんな風に過ごしているか、具体的に思い描くことができれば安心して仕事に打ち込めるのではないでしょうか。日中、ちょっと不安になってしまったら、時計を見てみて。夏の午前中なら、ちょっと散歩に出かけているかも。午後3時ごろなら、おやつを食べているかも。4時なら、クイズに頭をひねっている頃かも……。
そしてできれば、帰宅後や次の日の朝に「デイはどうだった?」と声をかけてみて。忙しい毎日でも、家族が会話できる時間をきちんととることが、不安の解消につながります。