仕事はバリバリできるのに、職場の人間関係はなぜかぎくしゃくしてしまう人、「人づきあいが苦手なんだよね」と諦めてしまっていませんか。その悩み、心理学で解決できるかも! キーワードは「ちょいゆる」です。
- 仕事ができてもコミュニケーションが苦手だと評価が下がる時代
- 心理実験でも実証されている「しくじり効果」
- ミスはみんなと近づくチャンスと捉えると、仕事も人間関係も楽になる
- 「ちょいゆる」が出世の足掛かりになるかも?
仕事ができてもコミュニケーションが苦手だと評価が下がる時代
採用条件に「コミュニケーション能力のある人」と記載されているのが当たり前の時代になりました。どんなに仕事ができたとしても、コミュニケーション能力に難があれば、それは仕事ができることにはならない。コミュニケーションが苦手な人には厳しい時代です。
お昼休み、いつの間にか自分を置いてみんながランチに出かけてしまっているという人は、「どうやってみんなとコミュニケーションを取ったらいいのかわからない」と思っているかもしれませんね。スキのない仕事をしているつもりでも、そのスキのなさが、どんどん人を遠ざけているとしたら、どうでしょうか。
ちょっとだけ「完璧」の糸を解放してみると、新たな可能性が生まれます。心理実験でも実証されている、失敗の効果を取り入れましょう。
心理実験でも実証されている「しくじり効果」
カリフォルニア大学の心理学者、エリオット・アロンソンは、次のような実験を行いました。実験の参加者たちに、学生が常識クイズに答えているテープを聴いてもらったのです。クイズに答えている学生は、どんな難しい問題も楽々クリアして、90%を超える回答率を誇りました。さらに学生が自分の履歴について語ると、かなりの学歴を持つ優秀な人物らしいということがわかります。
さて、録音テープは2種類が用意されていました。一つは、学生がクイズに答えて経歴を語るまでを収録したものです。もう一つは、経歴を語った後、学生がコーヒーカップをひっくり返し、スーツを台無しにしてしまうまでが収録されたものです。
もちろん実験のためにわざとコーヒーをこぼしたのですが、テープを聴いてもらってから学生の好感度について調査したところ、コーヒーカップをひっくり返すまでを収録したテープを聴いた参加者のほうが、圧倒的にその学生に好感を持ったことがわかりました。これを実験者は「完璧な人でもしくじることがあるとわかると、人は共感を持つことができ、親しみがわくのでは」と捉えています。
コーヒーカップをひっくり返したことそのものが好感度アップにつながったわけではありません。その証拠に、クイズの正答率が30%程度で、学歴もそれなりの学生が同じことをしたテープを参加者に聴いてもらっても、好感度が上がることはありませんでした。
ミスはみんなと近づくチャンスと捉えると、仕事も人間関係も楽になる
いつも完璧な仕事を心がけているあなたは、もしかしてミスをするのが怖いのではないでしょうか。「ただでさえコミュニケーションが苦手なうえに、仕事でミスをしていたら、もう完全に見捨てられる」と思っているのだとしたら大間違い。その逆です。たまの失敗は、あなたの魅力につながります。
失敗して上司に叱責されれば、同僚も後輩も「あの人も、あんなミスをするんだ」と意外に思う反面、親しみを感じることになるかもしれません。ミスをした後は同僚らと話をするのが気まずいと考えてしまうかもしれませんが、勇気を出して話しかけてみてください。きっと、あなたが思っているよりも暖かく迎え入れてもらえますよ。
このように、ミスはみんなと近づくチャンスと捉えることができれば、仕事も人間関係も、ぐっと楽になります。きっと、思い切った仕事も受けることができるようになるのではないでしょうか。
「ちょいゆる」が出世の足掛かりになるかも?
ちょっとしたミスをものともしない態度で仕事に臨んでいると、その「ちょいゆる」が出世の足掛かりになることもあります。あたりを見渡してみても、大きな仕事を成功させ、たくさんの人に支持されている人は、周りを巻き込みながら突き進んでいくタイプが多いのではないでしょうか。
あなたはそんな人を、みんなにフォローされなければ成り立たないの?と冷たい目で見ているかもしれません。しかしそんな人こそ、人に好かれ、仕事を回していく才能にあふれているのです。ちょっとのミス、ゆるい態度でコミュニケーションを活性化させ、真に「仕事のできる」人間へと変貌しましょう!
参考:『ココロの謎が解ける50の心理実験』(王様文庫)