ストレスのとらえ方を変えるだけで悪影響が消える!?

ストレスは排除すべきものだと思っていませんか? じつは、その考え方がストレスによる悪影響を招いているのかもしれません。ストレスに対する捉え方は準備の仕方で、影響が変わってくるという心理学の情報をお伝えしましょう。

  • 問題はストレスの認識
  • 挑戦したいストレスのとらえ方
  • ストレスの管理法4選

問題はストレスの認識

ストレスが悪影響を及ぼすこと自体、疑う人はほぼいないでしょう。メンタルヘルスの悪化の主要原因がストレスであることは、誰もが知っていることです。しかし「ストレス=悪者」という考え方こそが、大きな問題を引き起こしているのを知っていますか?

死亡状況を8年間追跡した調査では、18万2000人の早死について「ストレスは体に悪いという考えが影響した」
」と発表しています。ポイントはストレスそのものが原因ではなく、ストレスに対する認識が悪影響を及ぼしていた点です。

確かにストレスがかかる状況になると、精神的にも肉体的にもマイナスな影響が出ているように感じるものです。食欲不振や頭痛、吐き気、下痢、皮膚のかゆみ、腰痛、肩こりなどが、ストレスが原因で引き起こされるという実感がある人も多いでしょう。

またストレス過多の兆候についても、さまざまな情報が世の中に溢れています。
例えば心理面では、憂うつ感や不安感、モチベーションの低下、無力感などがポイントの一つとしてあげられています。身体的には、寝つきが悪かったり、途中覚醒があったり、動悸があるなどが危険な兆候だと言われています。さらに行動面でも消極的になり、あまり他人との交流をしないようになるそうです。身だしなみに構わなくなるといったことも兆候の一つとしてよく報じられています。

つまりストレスの危険性に関する情報は、いろいろな形で出回っているのです。

ストレスの現状については、2022年9月に江崎グリコが、全国の20代〜60代の働く男女500人を対象に調査しています。結果、男性の68.0%、女性の77.6%がストレスありと回答していました。
ストレスの原因トップ3については以下の通りのです。

仕事 54.1%
金銭面 43.7%
コロナなど
 病気への感染リスク 41.2%

かなりの人がままならない現実の中で、ストレスを抱えていることがわかるでしょう。また、ストレス対策として行っていることは、1位が44.8%の「睡眠」、2位が30.5%の「ショッピング」、3位が30.2%の「旅行やドライブ」となっており、続いて「映画・動画鑑賞」「友人との会話」「運動・筋トレ・ストレッチ」「家族との会話」「音楽鑑賞」「暴飲暴食」となっています。

つまりストレス対策のメインは、ストレスから目をそらし、気分転換をする行動です。それはストレスが悪影響を及ぼすという意識があるからでしょう。こうした考え方を変えることこそが、ストレス対策の重要なポイントになるという指摘もあるのです。

挑戦したいストレスのとらえ方

女性のエンパワーメントの専門家であるミーガン・ダラ・カミナは、ストレスについて、次のように捉えることを推奨しています。

①ストレスでパフォーマンスと生産性が向上する
適度なストレスがパフォーマンスを向上させることは、心理学者のロバート・ヤーキーズとJ.D.ドットソンがネズミを使った実験で明らかにしています。電気ショックでストレスを与える方が、ストレスがない状態より迷路を攻略する確率が高くなるという実験結果ですが、厳しい上司やコーチの方が居た方が結果も出やすいといったことは多く人が体験しているかもしれません。

こうした知識を元にストレスが成長のチャンスだと捉えられると、ストレスの悪影響も減少するでしょう。

②ストレスで健康と活力がアップする
すべてのストレスは健康に悪いものと多くの人が思っているので、ストレスが健康アップにつながるとは考えにくいでしょう。しかし実際に健康にプラスに作用するストレスもあります。
「良いストレス」とも訳される「ユーストレス」は、心身の健康維持に役立つともいわれています。「ユーストレス」はジェットコースターに乗っているときのようなものという説明もあります。ジェットコースターに乗るとドキドキするなどのストレスを感じていますが、それを楽しむことで気持ちもスッキリするというわけです。

ストレスには「ユーストレス」(良いストレス)と「ディスストレス」(悪いストレス)があり、適度なストレスであるユーストレスであれば、体にもプラスの影響をもたらすということは知っておきましょう。

③ストレスは活用できる
冒険をしようすると、期待と不安を同時に感じることでしょう。適度なストレスは、こうした冒険の始まりに似ています。不安や面倒くささを感じたりすることも多いとは思いますが、これまでにない結果を生み出す環境かもしれないのです。
そうした環境を積極的に活用してみましょう。

ここまでストレスのプラス面について書いてきましたが、ストレスがプラスに作用するのは適度な「刺激」であり、慢性的な「刺激」ではないことも重要です。耐えられないほどのストレスや、ストレスを受けている状態が続いているのは問題です。ずっとストレスを感じているのに、これが成長の糧になると思うのはやめましょう。

ストレスの管理法4選

ストレスが身心にプラスに働くという意識を持つと、ストレスの管理方法も変わってきます。そこで新しいストレスの管理方法について、まとめてみましょう。

①ストレスを認める
ストレスをないものとして扱うのはやめましょう。緊張したり、身心に負荷がかかっていることから目を逸らそうとすると、最善の選択肢を取ることができず、問題が深刻化する可能性があります。
ストレスがかかっていることを認めた上で、適度なストレスはプラスの影響もあるのだと思い出しましょう。そうした思考によって、プラスの影響を引き出します。

②ストレス対応に使える自分の「強み」を探そう
ストレスを感じている原因を特定し、その対処に自分のどんな強みが活かせるのか考えてみましょう。トラブルを法的に解決する知識があるとか、対人関係の調整能力を活用できるなどなど。、自分の強みをストレスの対応にどう使うのか考えてみましょう。

③ストレスの発生を事前に知る
ネズミを使った実験では、ストレスが発生することが事前にわかっていると、ストレスによる悪影響が減少したそうです。自分にとってのストレスが、いつ、どのタイミングで襲ってくるのか知るだけでも、ストレスによる悪影響をコントロールすることができます。
見通しの見えないストレスは、精神的にもキツイもの。しっかりとストレスの発生を予測できるようにしましょう。

④自分の居場所を確保すること
ネズミを使った実験では、仲間がいるとストレスによる悪影響が低いことがわかっています。人間の場合は、家族や友人など会社など、自分の居場所をしっかり確保することでストレスをコントロールしやすくなると言われています。

ストレスを感じる状況があっても、自分が生き生きできる場所があると思えることは重要でしょう。ストレスを感じる前から、自分の居場所をしっかりと確保するようにしたいですね。

本日はストレスのとらえ方によって、その悪影響を抑えられることを報告しました。ストレスがまったくない状況で生きることは難しいものです。だからこそ、まずストレスのとらえ方をかえてみてはいかがでしょうか?

心のしくみについて興味のある方は、こちらもご覧ください。
監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会

参考:「The Surprising Truth About Stress」(Megan Dalla-Camina/Psychology Today)

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