ちょっと嫌なことがあるとクヨクヨしてしまい、気分が落ち込んでしまう。楽しい時間に罪悪感を抱くことがある。そんなネガティブな意識から抜けられない人に、楽しい気分になる方法を紹介しましょう。
- 低い自己評価が悪循環に
- 自分の気持ちを記録する
- メモを見直す
- 自分の心を見つめる
- 楽しい気分を大切にする
低い自己評価が悪循環に
失敗したときに、「本当に自分はダメな奴だ」と責めていませんか? あるいはちょっとした失敗を引きずって、長時間、気分が晴れないといったことがありませんか? それは自己評価が低くなっているからかもしれません。
ストレスがかかる状況では怒りや哀しみなどのネガティブな感情が大きくなり、自己評価が低くなってしまうケースもあります。じつは高い自己評価は、気分のサーモスタットの役割を果たしていると、精神科医のクリストフ・アンドレは指摘しています。嫌な気分になっても、自己評価が高ければ気分を変えやすくなるというわけです。
一方、自己評価が低いと、気分を変えることができないまま、どんどんネガティブになっていき、沈んだ気分にはまり込んでしまいがちです。楽しい時間が訪れても、「今はそんな気分に浸っているはいけない」と感じたり、「自分は何をしてもうまくいかない」とあきらめたりもします。このような無力感が湧いてくると、より自己評価が低くなり、気分も悪くなってしまうという悪循環にはまってしまうのです。
そんな低い自己評価からくるネガティブ感情に悩まされている人に、気分をよくする実践法を4つ紹介しましょう。
①自分の気持ちを記録する
手帳を1冊用意して、定期的に起こった出来事とそのときの感情を記録していきます。何があって、どんな気分になり、どんな考えが浮かび、どんな行動をとったのかを簡単にメモりましょう。1日1回でも十分です。
②メモを見直す
記録が溜まってくると、どうして気分が落ち込んだのかが分かるようになります。そして出来事と気持ちとの関係を調べると、そこまで落ち込むことなのかと感じるものも出てくるでしょう。
例えば挨拶したけれど無視されたという出来事は、本当に気持ちを落ち込ませるものだったのでしょうか? もしかしたら相手が聞こえなかったのかもしれませんし、機嫌の悪かった相手が自分だけではなくすべての人の挨拶を無視していたのかもしれません。
あるいは、天気など予想外のものが気分を落ち込ませていたのかもしれません。
こうした事実がわかると、気分が落ち込んだとしても、自分を必ずしも責める必要がないとわかってくるでしょう。天気が悪いのは、少なくとも自分のせいではありません。あるいは根拠ない思い込みで落ち込んでいたと、バカらしくなることもあるでしょう。
日々記録し、定期的に見直して、出来事と気持ちの関係を考えてみる。これだけでも、意味もなくクヨクヨ悩む機会が減っていきます。
③自分の心を見つめる
夜、寝る前の10分でいいので静かに目を閉じて、自分について考えてみましょう。自分の感情の動きをとらえて、感情に距離を置くことができるようにするためにも有効です。
自分の気持ちについて考えることが難しいと感じるなら、マインドフルネスを試してみるのもお勧めです。マインドフルネスについては、Web上に音声ガイダンスなどもあるので、気になるものを試してみるといいでしょう。
④楽しい気分を大切にする
「楽しい気分を大切にして」と言われても、できないから困っているという人も少なくないでしょう。そういう人は、まず気分転換の大切さを知る必要があります。
気分が落ち込んでいるときこそ、自分にご褒美をあげるべきだと考えましょう。楽しい気分になる食事や映画、入浴剤などを企画し、自分を喜ばせてあげましょう。気分が落ち込んでいるのは、頑張った証拠でもあります。ご褒美をもらう理由としては十分でしょう。
ただ、自分にご褒美をあげても、罪悪感を抱いてしまう人もいるでしょう。
例えば、何かを失敗して落ち込んでいるときに、楽しい気分になろうとアロマをたいたとしましょう。そんなとき「こんな失敗した自分が高価なアロマをたいているなんて」と思ったら、その考え方自体が間違っていることを、しっかりと自分に説明します。
「失敗を繰り返さないことが重要なのですから、落込んだ気分でいる必要がない」とか、「元気な方が失敗を取り戻せる」など、罪悪感に根拠がないことを理解する努力を続けましょう。
どうもネガティブな状態が続いていると感じたら、どれも簡単にできるので上記の4つのステップを試してみてはいかがでしょうか?
人の心のしくみについて興味のある方は、こちらもご覧ください。
監修:日本産業カウンセラー協会
参考:『自己評価メソッド』(クリストフ・アンドレ/紀伊國屋書店)