親が70代後半、「後期高齢者」なら、子世代は30代から40代といったところではないでしょうか。仕事を続けながら親の介護も両立させるために、介護保険で使える基本的な介護サービスの種類と内容についてまとめました。
【介護が生じたら……まずはケアマネージャーに相談!】
・ケアプラン作成
介護が生じると、ケアマネージャー(介護支援専門員)がケアプランを作成してくれます。ケアプランとは、介護保険を利用した介護計画のこと。本人や家族の希望をヒアリングしながら、スムーズに生活できるようなプランを立ててくれます。
【杖や車いすが必要になったら……用具貸与と住宅改修】
・福祉用具貸与
介護制度により、車いす、歩行器、介護ベッドなど福祉用具のレンタルが可能です。
・特定福祉用具購入
排泄のための福祉用具(大人用のおまるなど)はレンタルになじまないため、購入が必要です。こういった特定福祉用具が介護保険などにより一部負担で購入できます。
・住宅改修
手すりの取り付けやスロープの設置など、被介護者の生活に欠かせない改修工事の費用が介護保険などにより一部支給されます。
【日常生活がちょっと怪しくなってきたら……訪問型サービス】
・訪問介護
自宅でホームヘルパーによる介護を受けることができます。食事や排泄、入浴介助のほか、洗濯や掃除などの生活援助も受けられます。
・訪問入浴介護
自宅へ車で専門の浴槽を持ち込み、入浴介助を行ってくれます。
・訪問リハビリテーション
理学療法士や作業療法士などアリハビリの専門員が訪問し、リハビリテーションを行ってくれます。機能回復と日常生活の自立支援が目的です。
・訪問看護
看護師が訪問し、健康状態の観察や介護士ではできない医療処置を行ってくれます。
・居宅療養管理指導
医師や看護師といった医療の専門家が訪問し、健康管理や療養のための相談を受けてくれます。
【常に他人の手が必要になってきたら……通所型サービス】
・デイサービス
通所介護の別称が、デイサービスです。デイサービスセンターなどに通って、生活指導や訓練、入浴、レクリエーションなどを受けることができます。ときには美容師が入り、散髪を行ってくれることもあります。
・デイケア
通所リハビリテーションの別称が、デイケアです。医師が常駐しているデイサービスセンターなどに通って、身体機能の維持や回復、改善に向けてリハビリを行います。
・ショートステイ
短期入所生活介護、あるいは短期入所療養介護の別称が、ショートステイです。短期入所生活介護では、老人福祉施設などへ数日入所し、介護を受けられます。短期入所療養介護では、老人保健施設などへ短期間入所して、リハビリを受けることができます。
・小規模多機能型居宅介護
デイサービスを中心として、訪問介護やショートスティも一つの施設で利用可能としたものです。
【家での生活が危険になる前に……施設サービス】
・特養
介護老人福祉施設の別称が、特養です。入浴や排泄、食事といった日常生活の介助を行います。定員が29名以下の施設は、地域密着型介護老人福祉施設と呼ばれ、施設と同一市町村に住んでいる人が対象となります。
・老健
介護老人保健施設の略称が、老健です。日常生活の介護のほか、リハビリテーションを受けることができます。機能を回復させ、再び自立した生活を送ることが目的の施設なので、「終の棲家」とはなりません。
・ケアハウス
地方自治体や社会福祉法人が運営し、比較的安い料金で日常的な介助が受けられる施設がケアハウスです。軽費老人ホームとも呼ばれます。
・グループホーム
とくに認知症の高齢者が共同生活を送る施設が、グループホームです。入居者たちは最大9人のグループに分かれる「ユニット」を組んで、料理、掃除といった家事を分担しながら生活します。地域密着型サービスの一つです。
・有料老人ホーム
高齢者が暮らしやすいように介護サービスを受けられるよう設計された住まいが、有料老人ホームです。「介護付」「住宅型」「健康型」の3タイプに分かれ、日常的に介護が必要な場合は「介護付」が利用しやすいでしょう。「住宅型」は、介護が必要になれば外部スタッフとの連携で介護サービスを受ける必要があり、「健康型」は、介護を必要とする高齢者のためのものではありません。
・サ高住
サービス付き高齢者向け住宅の略称が、サ高住です。定期的な安否確認や、生活相談を受けることができます。サービスの種類は施設やプランによって違い、食事が提供されたり、買い物代行があったり、病院付き添いがあったりなどさまざまです。
介護度によって利用できるサービスが違い、回数の限度もある
以上、ご紹介した施設やサービスは、支援度や介護度によって利用できる種類や回数が違うことに注意したいものです。介護度とサービスの関係は複雑であり、親のために自分がケアプランを立てるのは困難を極めます。必ずケアマネージャーに相談し、プランを立ててもらいましょう。ケアプランの作成は無料です。
参考:
社保審-介護給付費分科会 第143回(H29.7.19)参考資料
「介護老人福祉施設」