実は、家族のケアのなかでも一番難しいのが、働きながらペットの介護をすることではないでしょうか。介護の対象がペットでは、介護休暇も介護休業も取得できません。それでも、介助が必要なのは人間と一緒。そんなペットの介護について考えてみました。
かなり大変なペットの介護
ケアと仕事の両立が、働き方改革のテーマの一つとなって早や数年。育児と仕事の両立なら「育児休暇」や「時短制度」を利用して、介護と仕事の両立なら「介護休業」や「テレワーク」を活用するなど、労働者の間でもイメージが固まりつつあります。
では、ペットの介護についてはどうでしょう。 薬も自分で飲めないので、人よりも手がかかるかもしれません。とくに一人暮らしで、日中ペットが一人ぼっちになるケースでは、仕事が手につかないほど悩んでしまうのではないでしょうか。
食事台を使って食べやすさをプラス
もしも、飼い猫がえさを食べてくれないことに悩んでいたら、エサ皿の高さを変えてみてください。ネコは、年を取るにつれて前かがみの姿勢が辛くなってきます。飼い猫が楽にえさを食べられるような高さに、食事台を作ってあげましょう。それだけで食欲がアップし、こまめにえさを与えてあげる必要がなくなる可能性があります。
カリカリをふやかしてウェットに
ペットがえさを食べないのは、噛む機能が衰えているからかもしれません。若い頃からお気に入りのドライフードを、そのままあげていませんか。試しに、お湯でふやかしてウェットにしてみましょう。
フードを温めて食欲を刺激する
ペットがえさを食べないのは、嗅覚が衰えてえさの臭いがわからなくなっているのかもしれません。フードを電子レンジなどでさっと温めてあげると、香りが立つので食欲が刺激されます。朝の忙しい時間帯でも、それだけならできそうですね。
トイレの数を増やす
ペットが粗相をするようになったら、毎日掃除が大変になります。仕事で疲れて帰ってきて、部屋がおしっこまみれだったら、気分が落ち込んでしまいますよね。ペットが思い立った時にいつでも排泄ができるよう、トイレの数を増やしてあげましょう。とくにいつも寝ているお気に入りの場所の近くがおすすめです。
バリアフリー対策でケガをなくす
仕事に行っている間に、ペットにケガをされてしまうのが、一番困りますよね。犬はとくに、若い頃なら何でもなかった段差でつまずくことも増えてきます。部屋をなるべく片付け、段差には小さいステップを設けるなど、バリアフリー対策を心がけてみてはいかがでしょう。
投薬器や投薬用の餌を使って忙しい朝のストレスをなくす
ペットの服薬はとても難しいものです。とくに忙しい朝、薬をあげたいのにいやがって逃げ回られるとストレスを感じてしまいがちです。弱っているペット相手にイライラしなくても済むよう、スムーズに投薬できる道具を使いましょう。注射器の形をした経口投薬器のほか、錠剤を包み込んでそのまま与えられるフードも売られています。
エアコンをつけて出かけて、寒暖差をなくす
高齢のペットは体調を崩しやすいため、予防の観点から寒暖差をなくしてあげることも大事です。夏場や冬場は、エアコンをつけて出かけましょう。とくに暑くなる昼や、寒くなる夕方にエアコンが作動するよう予約運転を利用するのも手です。
冬は加湿器をプラスして風邪予防
エアコンをつけるだけでは、部屋が乾燥してやっぱり風邪をひいてしまうかも。冬はとくに、加湿器をプラスしてあげましょう。保温と保湿が大事なのは、人間と一緒ですね。
水のいらないシャンプーの利用で、ペットも飼い主も身体への負担を減らす
排泄物で身体を汚しがちな高齢のペットには、シャンプーが欠かせません。でも、もともと体が弱っていると、シャンプー自体がペットの負担になることも。飼い主の負担も増えてしまいます。水のいらないシャンプーを使って、双方の負担を和らげましょう。
ときにはペットシッターのお世話になることも考えて
出張が重なってなかなか家にいられないときなどは、ペットシッターのお世話になることも考えてみましょう。一日に一度、エサを与えがてら様子を見に来てくれるほか、犬の散歩を行ってくれるところもあります。きっと、出張先でいつもより安心している自分に気づくはずです。ただ、投薬までやってくれるところは案外少ないかもしれません。事前に問い合わせてみましょう。
ペットの介護と仕事の両立を、笑顔で!
最終的には、ペットホームなどの利用を考えるようになるかもしれません。でも、ペットは飼い主と家が大好きですから、可能な限り家で面倒を見てあげたいものです。時間がなくてもできるケアを有効活用して、ペットの介護と仕事の両立を、笑顔で乗り切りましょう。
参考:
『ねこのきもち』(ベネッセコーポレーション)