どんなにゆとりのある〆切が設定されても、「明日できるからいいや」と先延ばししてしまい、結局作業が間に合わなくて〆切をずらしてもらうことになる……よくある光景です。しかし、それが続くと大問題で、信用をなくすことにつながってしまいます。先延ばしに悩んでいる人は、心理学的効果を使ってうまく自分をのせていきましょう。ある心理実験から導き出される自己管理術を紹介します。
- なぜ人は先延ばしをしてしまうのか
- 大学レポートの〆切実験でわかる自己管理のコツ
- 「締め切りがあるから」ではなく「自分で決めたから」を基準にしよう
なぜ人は先延ばしをしてしまうのか
先延ばしにするのは、辛い仕事が嫌だからですよね。でも、いやだからって放っておいても、その仕事が消えてしまうことはありません。それがわかっていて先延ばしをするのだから、精神衛生上これほどよくないことはないでしょう。どんなに楽しいことをしていても、常に「やらなければならないこと」が頭に引っかかっているのですから。
たまには早めに仕事をズバッと終わらせて、憂いなく楽しいことに没頭できれば、「もう一度あの開放感を味わおう」と必死になれるものです、しかし、先延ばし癖のある人は、そういった成功体験に乏しいため、うまく自分の気分をのせられません。
大学レポートの〆切実験でわかる自己管理のコツ
行動経済学者のダン・アリエリーは、自らが勤める大学のゼミで、学生たちを相手取って密かに心理実験を行いました。3つのレポートについて、「それぞれの〆切を自分で決めさせ、遅れたらペナルティーを科す」グループと、「どのレポートも締め切りは学期末まで」とするグループと、「3つそれぞれの〆切をきっちり教授が決める」グループに分けたのです。
果たして、一番成績の良いグループはどれだったでしょうか。トップは「3つそれぞれの〆切をきっちり教授が決める」グループでしたが、2番目は「それぞれの〆切を自分で決めさせ、遅れたらペナルティーを科す」グループで、最下位が「どのレポートも締め切りは学期末まで」とするグループでした。
このことから、ダンは「最終的な〆切だけを決めるよりも、自分で〆切を設定させた方が成績に優位性が見られる」とし、決意表明が先延ばしの抑止剤になる可能性を示唆しています。
「締め切りがあるから」ではなく「自分で決めたから」を基準にしよう
もしかしたら、教授が細かく〆切を決めたように、最終的な〆切だけではなく中間〆切についても上司がきっちり管理してくれたら、先延ばしの問題はなくなるのかもしれません。でも、学生じゃないんだから、そこまで目上の人に頼っては情けないですよね。
最終〆切が提示されたら、その日のうちにスケジュールを立て、細かく中間〆切を設定しましょう。決意表明が、自分の中の動機づけを一段と強くします。「この日までにやれと言われている」から、「自分はこの日までに必ずやる」へ。〆切の朝を涼しい顔で迎えられるよう、自分をうまくコントロールして!
参考:『予想どおりに不合理』p.203