くよくよ系社員の成績がいいワケ―不安と自己否定はエネルギーの源!

どんなに職場がポジティブ思考を称揚しても、前向き社員ばかりにはなりません。些細なミスでくよくよしてしまう社員は、どこにでもいますよね。でも意外や意外、そういう社員に限って、全体的にはミスが少なかったり、営業成績がよかったりします。慎重派で、ち密だからでしょうか?いいえ、不安や自己否定自体が、エネルギーの源だからです。

  1. 「私なんて」が超うざい社員の営業成績がいい……嫌味?
  2. 不安は全力で頑張るための生理的な反応
  3. 自己卑下は有能さの自覚がもたらす
  4. 「そんなことないよ」と、もう言ってあげなくても大丈夫

「私なんて」が超うざい社員の営業成績がいい……嫌味?

「全然勉強してないよ、どうしよう」とテスト直前に言っていた友達が、余裕で学年トップを飾っていた、なんて記憶はありませんか。「本当は勉強してたくせに、ちょっと卑怯だよな」と、イラつきましたよね。そういう人は、社会に出てもいます。

「営業は慣れない、いつも不安だよ」「●●くんはすごいね。私なんてミスばかりで」などと言っていた自信なさげな同僚が、成績トップで社長賞をもらったら……「嫌味かな?」なんて思ってしまいます。

こういった人は、別に自分の能力を隠そうと考えて不安を口に出したり、自己卑下を繰り返したりしているわけではありません。本心からくよくよしていることが多いのです。では、なぜそんなネガティブ社員が良い成績を収めることがあるのでしょうか。

不安は全力で頑張るための生理的な反応

スタンフォード大学の研究者、ケリー・マクゴニガル教授は、著書の中で「不安」が与える力について書いています。不安に付随する症状全てが、人を成功に導くための原動力であるというのです。その症状とは動悸、発汗、興奮といったもので、いずれも人が極限まで集中力を高めたいと欲したときに出る反応と同じです。

集中力が高まればアドレナリンが放出され、次に来るべき事態に備えることができます。くよくよ社員は「うまくいくかどうか不安」と周囲にこぼすことで大きなプレッシャーを自らに与え、最高のパフォーマンスをするための準備をしているのだと考えられるのです。

ケリー氏は、「心拍数が激しく高くなる警官のほうが、人質を間違えて撃つといった致命的なミスをしない傾向がある」という研究結果も伝えています。ビビりな警官なんて頼りにならなさそうですが、人は見かけによらないものですね。

自己卑下は有能さの自覚がもたらす

また、自己卑下は有能さを自覚しているからこその反応であることを、心理実験が実証しています。心理学者のゴルウィツアーは、学生群を対象として次のような実験を行いました。

様々な活動に参加している学生たちに「もしもその活動についての能力テストを課した場合、あなたは同じテストを受ける人よりもどれほど劣っていると思いますか?できるだけ、ネガティブに推定してください」と尋ねました。すると、その活動に属し、訓練している年数が長いほど、より自己評価が低いという結果が出ました。

またゴルウィツアーは、別の複数の実験から、より明確で達成された自己像を持つ者ほど、謙遜して自己卑下を行う傾向にあることを指摘しています。自分の有能さをよくわかっており、また「本当は、まだまだ自分はイケるはず」と思っているからこそ、ネガティブ発言が出るわけです。

想像してみれば、実際に自分が頼りない存在だと思っていて、これ以上努力してもたかが知れていると感じているとしたら、謙遜や自己卑下なんてできませんよね。自分の無能さを確実に認めるようなものだからです。そういう人は、たいがい自分を大きく見せようとしてイキがります。

「そんなことないよ」と、もう言ってあげなくても大丈夫

いつもくよくよしている同僚や部下が、「大手との打ち合わせが不安です、どうしよう」とつぶやいていたら、それは戦闘準備OKのサインです。むしろ頼もしく思っていいでしょう。また、「どうせ私なんか」という発言は、その人なりの向上心からくるものです。「そんなことないよ」などと言ってあげる必要はありません。

このように、自信のない人は、その自信のなさを武器に、いや本能的に自信のなさを利用して自らを高めようとしています。なだめたり、イラついたりせず、彼らなりの闘いをそっと見守りましょう。

参考:『スタンフォードの心理学 人生がうまくいくシンプルなルール』(日経BP社)p.216「対人社会心理学重要研究集6」p.71

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