ハローワークの職業訓練は、「会社員だった人向けのもの」と思っていませんか。雇用保険に入っていなくても、原則無料の職業訓練を受けられる可能性があります。主婦や無業、自営を廃業したなどといった事情のある人でも受けられる求職者支援訓練についてご案内します。
- 若年無業者、およそ71万人!
- 「公共職業訓練」は会社員だった人向け、「求職者支援訓練」はその他の人向け
- 求職者支援制度を受けられる人
- 受講料は無料、お金のサポートもあり
- 地味な職業の訓練ばかりじゃない!フローリスト、ネイリストなども
- 「手に職がない」と諦めず、公的支援の力を借りよう
若年無業者、およそ71万人!
令和元年版の子供・若者白書によると、15歳から39歳における無業者数は、約71万人を数えます。これは15歳から39歳の人口のうち2.1%となっており、大変な数です。
仕事に就かない自由としては、「病気やケガのため」が半数弱を占めますが、「知識・能力に自信がない」とする人も10~15%ほどいます。知識や能力に自信がなかったら、自信をつければ、就職する勇気が湧いてくるということではないでしょうか。
また、子どもに手がかからなくなり「そろそろ、また働き始めたい」と考える主婦層にとって、ネックになるのはやはり自信です。オフィスワークのあり方一つとっても、ここ数年でかなりの変化が見られます。新しいやり方になじんでいけるのか?そう不安に感じ、再就職をしり込みしてしまう人も少なくありません。
「公共職業訓練」は会社員だった人向け、「求職者支援訓練」はその他の人向け
ハローワークは、職業訓練を行っています。職業訓練にも種類があり、「公共職業訓練」は主に雇用保険を受給している求職者向けである一方、「求職者支援訓練」は雇用保険を受給できない求職者や、受給が終わった人向けの職業訓練です。
ハローワークの職業訓練といえば、「会社で正社員をしていた人が、雇用保険によって失業手当をもらいながら通うもの」と思い込んでいませんか。実際には、雇用保険受給者向けと、そうではない人に分けて職業訓練を行うのが、ハローワークなのです。
求職者支援制度を受けられる人
求職者支援訓練であれば、以下のような人も職に就くためのスキルを手に入れられます。
・何年も職業ブランクがある主婦
・一度も職に就いたことのない無業の人
・自営をしていたが廃業した人
・雇用保険の受給が終わっても再就職できなかった人
・雇用保険の加入期間が足りず、失業給付を受けられない人
受講料は無料、お金のサポートもあり
求職者支援制度は、金銭面でのサポートが充実しています。主に、次の3つによって、自活できるよう支援が行われます。
1.求職者支援訓練の受講料は無料
テキスト代以外は原則無料で受講できます。
2.職業訓練受講給付金
一定の支給要件を満たす場合は、給付金が支給されます。支給額は、受講手当として月額10万円、通所による交通費(上限あり)、寄宿手当として月額10,700円です。要件は以下の通りです。
【受講手当の支給要件】
・本人年収が月8万円以下
・世帯全体の収入が月25万円以下
・世帯全体の金融資産が300万円以下
・現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
・全ての訓練実施日、あるいは1か月のうち8割以上の出席率がある
・世帯の中に同時にこの給付金を受給して訓練を受けている人がいない
・過去3年以内に、偽りその他不正の行為により特定の給付金の支給を受けたことがない
【寄宿手当の支給要件】
・通所困難などにより同居配偶者などと別居して寄宿する場合で、ハローワークが必要性を認めたとき
3.求職者支援資金融資
給付金だけでは訓練受講中の生活費が足りない場合には、審査のうえ融資を受けられます。貸付額は、単身者の場合は月額上限5万円、配偶者や子、父母と同居している場合は上限10万円で、受講予定訓練月数に応じて貸し付けがなされます。貸付利率は年3%で、期限は貸付日から5年以内、貸付額が50万円以上の場合は10年以内です。最終弁済時の年齢は、65歳となります。
地味な職業の訓練ばかりじゃない!フローリスト、ネイリストなども
「国のやっている職業訓練は、地味な物ばかりなんじゃないの?」と思っている人もいるかもしれません。確かに、求職者支援訓練は、PCスキルを学ぶなど事務系の訓練コースが多いのが特徴です。PCスキルはどんな会社に行っても今や必要不可欠といえるものですから、こういったものに重点を置くのもうなずけますし、実際にニーズも多いでしょう。
でも、求職者支援訓練で扱っているのは、事務系の講座ばかりではありません。ユニークな科目も、なかにはあるのです。例を挙げてみましょう。
・フードビジネス科
調理の知識・技術、作物や商品の流通開拓、加工業の商品開発や販売マーケティングを学ぶ。
・アロマビューティ・ボディケアセラピスト科
精油学、ボディケアの知識及び技能・技術を習得する。
・ネイリスト科
ネイルの仕事に関する専門知識・技能・技術を習得する。
・ファッションデザイン科
アパレル全般に関する知識、リメイク、リフォームの基礎知識を習得する。
募集している科目は、訓練所や開講日程によって違います。自分が住んでいるところではどんな科目を受講できるのか、調べてみましょう。
【ハローワーク インターネットサービス 職業訓練検索】
https://www.hellowork.mhlw.go.jp/kensaku/GECA150010.do?action=initDisp&screenId=GECA150010
なお、職業訓練が終わった後は、得たスキルを活かせるようハローワークが支援してくれます。
「手に職がない」と諦めず、公的支援の力を借りよう
一度も働いたことがない、離職して何年もたつなど、自信のなさから就職することに躊躇してしまうあなた。公的支援の力を借りて、学びの機会を得ましょう。きっと、自分の可能性をフルに開花させることができる場所が見つかるのではないでしょうか。
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