新型コロナウィルスの影響が続いています。長期で会社を休まざるを得なくなった人もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで有給休暇の日数や、特別休暇の種類について知っておきたいという人のために、労働者が取得できる休暇・休業についてまとめてみました。
- 法定休暇と特別休暇
- 法定休暇の種類
- 特別休暇の種類
- 休業手当に関するルール
- 法定休暇の取得は労働者の権利
法定休暇と特別休暇
労働者に認められている休暇には、法定休暇と特別休暇があります。法定休暇の代表的なものが年次有給休暇です。労働基準法などによって労働者の権利として認められた休暇なので、労働者が法定休暇を申し出れば、事業者は原則として拒否することができません。
対して特別休暇とは、個々の企業が制度として採用している休暇を指します。リフレッシュ休暇などがそれにあたり、制度がある場合は就業規則に明記するなどして労働者に周知させておかなければなりません。
「法定休日」という言葉もあるため、「法定休暇」と混乱する人もいるかもしれません。法定休日とは労働基準法等によって定められた、事業者が労働者に与えなければならない休日のことで、週休1日が原則とされます。サラリーマンにとっての土日祝日など、いわゆる一般的な休日のことです。
法定休暇の種類
法定休暇には、以下のような種類があります。年次有給休暇以外は、無休とするか有給とするかは事業所にゆだねられています。
・年次有給休暇
いわゆる有給です。労働をしなくても賃金が支払われる休暇日を指します。半年間継続して雇用されている労働者は、全労働日の8割以上の出勤で10日の年次有給休暇を取得できます(労働基準法第39条)。利用目的を問わず取得可能です。
また、正社員のみならず、6ヶ月間の継続勤務と8割以上の出勤、週5日以上の勤務(週4日でも週の所定労働時間が30時間以上であれば可)という3条件を満たすことで、正社員と同様に有給休暇を取得できます。また、労働時間や日数が満たされていなくても、労働日数に応じた日数の有給休暇が付与されます。
・産前産後休業
産前休業は、出産予定日の6週前(多胎の場合は14週前)から取得できます。産後休業は、出産の翌日から8週間までです。ただし、産後6週間後に本人が請求して、医師が認めた場合には働くことができます。
・育児休業
男女どちらでも、労働者は原則として子どもが1歳になるまで、また一定の条件に会えば2歳まで育児休業を取得できます。両親がともに育児休業を取得するなら、子が1歳2か月になるまでの間で、一年間の育児休業を取得できます(パパママ育休プラス)。
・生理休暇
生理で辛いときには生理休暇を利用できます。時間単位で行うことも可能です。雇用形態は問いません。
・介護休暇
介護を理由として、1日あるいは半日単位で休みをとらなければならないとき、1年につき対象家族1人当たり5日の休暇が認められています。対象家族が2人以上の場合は10日間となります。日雇いではない労働者が取得できます。
・介護休業
要介護状態にある家族を介護するために、対象家族一人につき年3回まで、最長で通算93日間の休業取得が認められています。日雇いではない労働者が取得できます。契約社員など期間を定めて雇用されている人は、1年以上の雇用実績があり、介護休業後、半年のうちに雇用期間切れとならない場合に取得できます。
・子の看護休暇
未就学児の看病のためにとれる休暇です。1人当たり年間5日まで、2人以上は10日まで取得できます。日雇いではない労働者が取得できますが、一日の所定労働時間が4時間以下であれば、半日単位での取得はできません。
特別休暇の種類
特別休暇は会社ごとに定められる休暇なので、さまざまな種類があります。基本的なものから、かなりユニークなものも含めてご紹介します。対象となる雇用者や、有給とするか、無休とするかは、それぞれの事業所にゆだねられています。
・慶弔休暇
結婚式やお葬式のために取得できる休暇です。お葬式の場合、何日休めるかは社員自身との続柄によって定められていることが多いでしょう。
・年末年始休暇、夏季休暇
多くの企業が取り入れている年末年始休暇や夏季休暇も、特別休暇の一つです。
・病気休暇
慢性的な疾病や急なケガなどのとき、治療や通院のために取得できる休暇です。通院でがん治療をするのが当たり前になってきた現代において、必要性が叫ばれている休暇制度といえます。
・リフレッシュ休暇
いわば「お祝い休暇」ともいえるのが、リフレッシュ休暇です。「勤続〇年目を迎えたから」などといった節目に、慰労目的で付与される場合が多いでしょう。
・ボランティア休暇
労働者が自発的に社会貢献活動を行う際に、付与される休暇です。災害の多い日本において、体力の充実している働き世代が、時間を気にせずボランティアに取り組める制度として注目されています。
・誕生日休暇
誕生月に1日、休暇を申請できる制度です。「アニバーサリー休暇」として、子どもの誕生日や結婚記念日にも活用できるとする企業もあります。
休業手当に関するルール
ちなみに、コロナ騒動でお休みとなるときのように、会社側から要請があって休業となる場合には、休業手当は出るのでしょうか。労働基準法第26条には、こうあります。
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。
つまり、会社都合で休業となった場合には、賃金の60%以上が保証されなければならないというのです。ただ、コロナ騒動については国の要請が会社の活動に影響を与えている面があります。この場合、果たして「会社都合」といえるのかどうか。事態が落ち着くまで待たなければ、結論は出ないかもしれません。
法定休暇の取得は労働者の権利
法定休暇を取得することは、労働者の権利です。にもかかわらず、とくに有給に限っていえば、日本の年次有給休暇取得率は5割程度にとどまっています。有給は理由を問わず取得できる休暇なので、有効に使いたいですよね。
もちろん、特別休暇も、会社側が用意した福利厚生の一つです。さまざまな理由で休まざるを得ないとき、欠勤扱いではなく休暇にならないかを、まずは就業規則で確かめてみてはいかがでしょう。
働く人の支援に興味のある方はこちらをご覧ください。
参考:平成30年就労条件総合調査の概況(厚生労働省)/「休日と休暇・休業」(神吉知郁子)/「労働条件・職場環境に関するルール」(厚生労働省)