「私ってダメだなー」「どうしてきちんとできないんだろう」。気づくと自分を攻撃するような言葉をつぶやいていませんか?そうした自己否定の言葉は、考えている以上に自身のエネルギーを削ってしまいます。そんな人に試してほしい3つのメソッドを紹介しましょう。
- ネガティブな独り言を止めるポイントは「感謝」
- 日本人に米国式は効果がない
- 効果のある3つのメソッド
ネガティブな独り言を止めるポイントは「感謝」
自己否定の言葉は心身にマイナスの影響を与えると言われています。ツイッターでネガティブなつぶやきをしている地域は、肥満や喫煙などよりも心疾患の死亡率が高いというデータもあるほどです。
また自分を攻撃するようなネガティブな独り言は、幸福感を下げてしまうそうです。もちろん、そうしたネガティブな想いが失敗を少なくするなどプラス面もあるかもしれません。しかし幸福を感じないままでは、人生を虚しく感じてしまうかもしれません。
心理療法士のDonald Altmanは、こうした状態を改善するには感謝の気持ちが大切だと説いています。感謝しやすい人は、ストレスに強く、うつ状態にもなりにくく、心理的な充実感を持ちやすいことがわかっているからです。
つまり感謝をするようになれば、ネガティブな独り言が止まるだけではなく、幸福で充実感に溢れた人生を送りやすくなるというわけです。
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じつはDonald Altmanは、感謝の気持ちを示すためのメソッドも公開しています。1日の終わりに感謝できる事柄を見つけ、その理由を書き留めたり、そうした感謝の気持ちを週末に再確認したり、友人と共有する方法です。
それほど難しいメソッドではありません。
日本人に米国式は効果がない
しかし近年の日本の研究で厄介なことがわかってきたのです。というのも米国式の感謝は、日本人の幸福感アップにつながらないことがわかってきたからです。
筑波大学の相川充教授は、この原因を日本人の負債感情から説明しています。どうやら日本人は、感謝の対象者に労力をかけたなと感じると、感謝とともに申し訳ないと思ってしまい、自身の幸福度がアップしないようなのです。
実際、日本人はお礼のときに、「すみません。ありがとうございます」といった形で、一緒に謝罪することが少なくありません。
例えば道をたずねたとき、わざわざ道案内までしてくれたとしましょう。目的地に着いたとき何と言いますか?「どうもすみませんでした。ありがとうございました」と言いませんか?
米国式にならって、こうしたシチュエーションを思い出しながら感謝の思いを口にしたり、紙にかき出しても、ネガティブな独り言を止めるのにあまり効果はないようです。
効果のある3つのメソッド
では、日本人に適した感謝のメソッドはどのようなものですしょうか? 相川教授が発表している方法をご紹介しましょう。
①最低でも週1回程度、感謝すべき出来事を思い出す
このときのポイントの一つは、面倒だと感じるほど頻繁に実施しないこと。義務感でメソッドを実施するようだと、自分の幸福度アップにはつながらない可能性があります。
そしてもう一つは、感謝すべき相手ではなく、出来事に意識を持っていき、自分にどんなよいことが起きたのかに集中することです。というのも感謝の対象者に注意を向けると、「申し訳ない」と自動的に考えてしまう可能性があるからです。そうするとメソッドが効果を発揮できません。
②感謝の気持ちを相手に伝える
メールや手紙で相手に伝えるのはもちろん、実際に会って感謝の言葉を伝えることも有効です。
こうした感謝のメソッドは、米国だけではなく、さまざまな国の人々の幸福度を上げることに成功しています。
直接会って言うのが恥ずかしい方は、メールやラインなどで感謝の意を示すことから始めてみましょう。
③他人に優しくする
感謝したときには、申し訳ないと思わないよう注意する必要がありました。しかし他人から感謝される分には、何の心配もありません。ですから感謝してもらえるように、他人に優しく接することは、自分の幸福度を高めることにつながります。
人生をより充実したものにするポジティブ心理学の研究において、感謝が重要なよく知られています。ただせっかく感謝を生活に取り入れるなら、日本人に合った方法で取り入れてみませんか?
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参考:「The Single Word That Stops Negative Self-Talk」(Donald Altman/『Psychology Today』)/「感謝するとwell-beingは高まるのか?」(相川充)