思い出すだけでも恥ずかしいことや腹の立つことはありませんか?もう忘れてしまいたいのに、忘れることができない。そうした記憶に悩まされている人もいることでしょう。そんな困った記憶の消去法について調べてみました。
- 記憶が消える2つの理由
- 緊張感が記憶を残す
- 忘れる技術を紹介
記憶が消える2つの理由
人の記憶はどうして消えたり残ったりするのでしょうか?これは諸説あるようなので、いくつか紹介してみましょう。
まず脳科学的には、記憶が消えるのには2つの理由があると、ネゲヴ・ベン=グリオン大学のTalya Sadeh助教授は指摘しています。
1つは鮮やかな建築物が色あせるように、記憶が時とともに衰退していくこと。もう1つは似た記憶同士が干渉することです。
時間とともに記憶があやふやになるのは、誰もが経験していることでしょう。また記憶の干渉も、同じ日に初対面の人に数多く会ったといった状況を思い出せば理解できるでしょう。誰と最初に話したのかを思い出そうとすると、ごっちゃになってしまうような記憶です。そして、この2つの「問題」は記憶が収まる脳の部位の特性と関係があるというのです。
しかし記憶の難しいところは、こうした忘却がすべての記憶に同じように働かないことです。「妙な記憶だけ残っていて」とか、「忘れたいのに……」といった思いは、脳が記憶を識別していることが原因です。
緊張感が記憶を残す
では、どうして一部の記憶は、衰退することなく鮮明に残っているのでしょうか?
心理学ジャーナリストの佐々木正悟さんは、その原因を緊張感だと解説しています。例えば、派手に転んでケガをしたといった記憶は、
「緊張感とともに固まって保存されている」
のだというのです。逆に緊張感を解くことができれば、記憶も流れ去るそうです。例えばメモのないところで記憶した名前などは、書き出すことで忘れてしまうとのことです。「忘れてはいけない」という緊張感が、記憶の衰退を防いでいたというわけです。
精神科医の岡野憲一郎さんは、「頭の記憶」と「体の記憶」がバラバラになると忘れられなくなると説明します。
「頭の記憶」とは日時や名前、場所、風景などの具体的なデータを指します。一方の「体の記憶」は、感覚でとらえた印象や気持ちです。通常、この2つの記憶は深いつながりを持っています。例えば、「公園の木々の緑がきれいで心弾んだな」といった記憶は、そのときの情景や公園の名前、位置情報が「頭の記憶」として刻まれます。一方「心弾んだ」といった気持ちは、「体の記憶」として刻まれます。
ところが強いショックなどが起きると、この2つの記憶はバラバラにしまわれ、忘れさられることもなく保存されてしまうのだそうです。
忘れる技術を紹介
では、上記のような頑固な記憶を消していくのには、どうしたらいいのでしょうか?
先述の岡野憲一郎さんの著作『精神科医が教える 忘れる技術』からいくつか紹介していきましょう。
①忘れたい刺激を遠ざける
これは最も簡単な方法でしょう。
ダイエットなどもお菓子を目につかないところに隠すことで、随分と成功率があがります。また別れた彼女を早く忘れたいなら、写真や思い出の品などの記憶を呼び覚ます可能性あるものを片付けるだけで、思い出しにくくなるそうです。
②怒りやフラストレーションを何かにぶつける
怒りなどに焼き付いている記憶を消し去りたいときは、怒りを収めることで思い出しにくくすることができるようです。
・シャワーを浴びる
・サンドバックを叩く
・運動をする
・お茶を飲む
・甘いものを食べる
といった方法で怒りを発散したり、癒されたりすることで怒りを忘れ、記憶も薄らぐようにすることができるとのことです
③人に話す
カウンセリングなどを受けて、体験を話すことで記憶は徐々に忘れられるものに変質していくことがあるそうです。あるいは同じような体験をした人同士の自助グループで話し合うことも効果的だと、岡野さんは紹介しています。
④相手を許す
恨みとともにある記憶を薄れさすためには、その相手を理解して許すのがいいといった治療法もあるそうです。復讐心を抑え、相手の立場を理解しようと努めて、相手に共感する。
なかなか難しそうな方法ですね。この手法は、自分の心の傷を深くしてしまう可能性もあると書いてありました。無理はしないようにしましょう。
今日は忘れたい記憶を消し去る方法について紹介してみました。
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