フラストレーション(欲求不満)が溜まると攻撃的になることが知られています。イライラして怒鳴られるというのは、最もよく目にする状況でしょう。このフラストレーションと攻撃には、4つの法則があるので紹介しましょう。
- フラストレーションとは
- 攻撃に変わるときは法則がある
フラストレーションとは
イライラしている人を見ると、「なんか人生うまくいってないかな?」と思うことありますよね。じつは、そんな推測はかなり当たっています。フラストレーションが溜まると、攻撃的になることは心理学ではかなり昔から知られている事実です。
そもそも「フラストレーション」とは、「したいことがあるのに、何らかの原因で満足にできない状態」を指します。モヤモヤしている状態ですね。
寝たいのにうるさくて眠れない、飲みに行きたいに仕事で参加できないといった、さまざまなフラストレーションは、「イライラ」や「モヤモヤ」を生み出すのです。
攻撃に変わるときは法則がある
では、フラストレーションと攻撃的な言動には、どんな法則があるのでしょうか?
じつは心理学者のミラーとダラードは、4つの法則を見つけていますので紹介しましょう。この法則を知っていれば、自分のフラストレーションがどんな形で攻撃的な言動として表面化するのか、また他人がどんな形で攻撃してくるのかがわかるでしょう。
それでは、一つずつ説明していきましょう。
① 攻撃の強さはフラストレーションの量に比例する
つまりフラストレーションが溜まっている人ほど攻撃的になるというわけです。自由に仕事をしたいのに、上司の縛りがきつくて非効率な仕事しかできない。そんな環境に居続けると、毎日フラストレーションが溜まっていきますので、どんどん攻撃的になっていくのです。
逆に自分がどんどん攻撃的になってきているなと感じたら、フラストレーションがどんどん溜まっている証拠です。限界を超えてしまう前に、環境を調整する必要があるかもしれません。
② 原則、攻撃は原因をつくった人に向く
これは簡単な法則ですね。フラストレーションを感じると、イライラの原因に怒りを爆発したりするのは、よくあることでしょう。
典型的になのは、ミスをした部下を上司が叱責するケースです。もちろん日々失敗が繰り返されるようなケースは、上司のフラストレーションも溜まっているので、より攻撃的な言動で怒ります。
③ 攻撃は、予期される罰、愛情の問題に比例する
怒ろうと思っても上司だと降格が怖い。好きな人からは嫌われるのが怖い。そんな状況になると、攻撃は弱くなるということです。つまり立場の強い人は攻撃を向けられにくくなりますし、好感を抱かれている人は怒られにくくなります。これが同じようにフラストレーションが溜まっても、相手への攻撃的な反応が変わる一つの理由です。
好き嫌いで対応が変わってくるのは不公平な感じがしますが、じつは自分自身もそんな形で怒りなどの攻撃性を表に出しているケースが多いので注意しましょう。
④原因をつくった人を攻撃できないと、形を変化させたり、対象を置き換える
上司が怖くて反撃できないと、酒の席での陰口になったりするのは、この法則のせいなのです。さらに悪質なのは対象を置き換えることでしょう。
これは当然のことながら、攻撃しやすい弱者が対象になります。少し前に問題になった「女性に体当たりする中年男性」などは、まさにこのパターンでしょう。自分のフラストレーションの原因に攻撃することができないので、反撃されそうもない相手を対象に攻撃しているのです。
中高年がキレる理由として、フラストレーションをためやすい社会環境が影響していると分析されているのは、こうした法則があるからなのです。自分は関係ないのに怒られたりする場合は、フラストレーションのはけ口にされているケースがあるかもしれません。
また、自分がイライラと怒りをぶつけてしまうケースも、もしかしたら対象を置き換えて攻撃しているのかもしれません。最近イライラして怒鳴ってばかりいるなと感じたら、フラストレーションの八つ当たりをしていないかを考えた方がいいかもしれません。
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参考:『図解雑学 人間関係の心理学』(齊藤勇/ナツメ社)