落ち込んでいるとき出口が見つからないと思うことはありませんか?何をするのも面倒だし、すべきことははかどらない。何だか人と話すのも面倒だったり。そんな人にお勧めしたい元気になるための4つステップを紹介します。
落ち込んでいる人の目標の特徴って?
英国リヴァプール大学のジョアン・ディクソン博士の実験は、うつ病の患者と目標に着目したものでした。
実験参加者に「達成したい目標」と「避けたい未来」を90秒以内に思い浮かぶだけ書いてもらい、うつ病の人と健康な人を比べました。うつ病の人は「達成したい目標」の数が少なかったのでは? と予想する人も多いでしょう。
しかし目標の数は、うつ病の有無に関係なかったのです。
明かな差が出ていたのは「具体性」と「明確な理由」でした。うつ病の人は、「達成したい目標」と「避けたい未来」が漠然しており、なおかつその理由も具体的ではなかったのです。
具体的ではないから目標の達成がおぼつかず、それがさらに落ち込みの原因になるという悪循環が起こっていることを、この実験は示しました。そして、この実験結果はうつ病に関係なく、憂鬱な気持ちに支配されている人にも応用が可能とも指摘されています。
ステップ①目標を細かく設定し、達成したい理由を定める
重要なのは、「いつ」「どこで」「どうすれば」目標を達成できるのか、そして、そもそもどうして達成したいのかを明確にすることです。うまく目標設定ができないと感じるなら、友人や同僚などに目標設定を手伝ってもらうのもいいでしょう。
1日の目標を2つ、週の目標を4つ、月の目標を6つ掲げてみましょう。そして定期的に目標設定できるように、その作業時間をできる限り心地良い場所でできるように割り振りましょう。
ステップ②やる気を当てにしない
計画を立てても憂鬱なときに動けないこともあるでしょう。それはやる気がないからだと、さらに絶望的な気分になることがあるかもしれません。しかしウェイルコーネルメディカルスクルールのロバート・リーヒー教授は、「何かをやり遂げるためには、やる気が必要だ」という思い込みこそが、抑うつ状態の問題だと指摘しています。
たしかにやる気がなくても、私たちは電車に乗って会社に向かいますし、必要な電話をかけています。つまり「やる気」にフォーカスし過ぎるのが問題なのです。そもそも人は身体を動かすことから、「やる気」を生み出すことができます。最初の一歩さえ踏み出せば、そのあとはどんどん仕事がはかどったという経験は、多くの人が持っているのではないでしょうか?
①で立てた目標の達成にはやる気が必要だという思い込みを捨てましょう。やる気が有無に関係なく動いてみる。その結果がどうなるのかを、自ら観察してみましょう。
ステップ③目標達成のご褒美を用意する
ほんの小さい一歩を踏み出したときにも、自分へのご褒美を用意しましょう。
何となく元気がないときに、自発的に散歩に行くことはとても大変なことです。しかし散歩を褒めてくれる人は、まずいないでしょう。
だから自分でほめてあげましょう。ちょっとした一歩を踏み出せたら、必ずご褒美をもらう。そうやって自分のやる気を育てていきましょう。
ステップ④落ち込んでいなかったときを思い出す
普通に動き回っていたときの自分を思い出してみましょう。どんな人と行動をともにし、何をしていましたか? 落ち込んでいなかったときの行動を書き出し、それを実践してみましょう。
じつは落ち込んだときの行動が、より落ち込みを招くことがあります。もちろん休息が必要なこともありますが、少し落ち込みが続いていると感じたら、元気だったときの行動をマネてみるのもいいでしょう。
人によっては元気を取り戻すのに、意外なほど時間がかかることもあるでしょう。だからこそ自分を励まし続け、一歩一歩、足を前に出すことが重要になります。そのために必要なのがご褒美なのです。
いつもと違って、落ち込みが長く続き、日常生活や社会生活に支障を来しているようであれば、病院に行く必要がありますし、休息が大切です。しかし何となく元気がないといった状態であれば、上記の4ステップを試してみるのもいいかもしれません。
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監修:日本産業カウンセラー協会
参考:「How to Build Motivation to Overcome Depression」(Robert L. Leahy Ph.D./Psychology Today)/「People with depression tend to pursue generalized goals」(ScienceDaily)