心理実験で明らかに!
社会人になると、なかなか友人をつくるのが難しくなりますよね。知り合っても、仲を深めるのが難しいものです。そこで親密度を上げたいときに参考となる心理実験をご紹介しましょう。
①共通の敵を見つける
心理学にとって人間関係は、重要な研究テーマの一つです。そのため人間関係を深められるような心理実験がいくつもあります。それを活用しない手はないでしょう!
共通点があると親しくなりやすいといった話は、聞いたことがあるかもしれません。昔からいろいろな国で心理実験が行われていますが、フランスのブルターニュ大学ではSNSでも共通点が多い方が友達になりやすいことを明らかにしています。
しかしもっと面白いのは米国オクラホマ大学のジェニファー・ボッソン氏による人生で最初にできた親友を、大学生に思い出してもらう実験でした。この実験では、その親友と「お互いに共通して嫌いだったことや人物」と「お互いに共通して好きだったことや人物」をあげてもらったのです。
結果、お互いに嫌いだった人の名前を挙げた人が16.33%だったのに、お互いに好きだった人の名前を挙げた大学生は、わずか4.56%だったのです。
「敵の敵は味方」といった言葉もありますが、共通の敵は人間関係を深めるのに有効なのです。共通の敵を見つけることで、より関係性が深くなる可能性は高まります。もちろん「共通の敵」は身近な人物でなく、芸能人やアニメなどのキャラクターなどでもいいでしょう。
②困ってそうな人に声をかける
親切にされれば、親近感がわくのは当然でしょう。ただ、親切にするのもタイミングが……と思っている人に知ってほしい心理実験があります。
カナダのトロント大学で、学部生の勉強や生活の困りごとを解決するアドバイザーに集まってもらいました。そして、学期中にどれぐらい学生が自分のところに相談に来るのか予想してもらったのです。そして学期の終わりに実際に相談に来た人数を報告してもらったところ、予想人数より大幅に少なかったのです。
助ける役割を担っていても、助けを求める側の躊躇を完全に理解できるわけではありません。助けを求めるのはちょっと恥ずかしいという気持ちを過小評価しがちなのです。つまり「何か困ってない?」といった声掛けを積極的にすることで、助けを求められない人の声を拾うことができるのです。
困っているけれど「助けを求めたら相手にも悪いし、体裁も……」などと考えてしまっているかもしれない人に、一声かけてみましょう。話すだけで悩みが解決するケースもありますし、そこから人間関係が深まることもおおいにあるでしょう。
困っていそうだなと思ったら、ちょっと声をかけてみる。そんなちょっとした勇気が人間関係の距離を縮めるかもしれません。
③バカげたことを一緒に
米国のニューヨーク州立大学のバーバラ・フライ氏の実験は、お互いに面識のない同性ペアをつくり、バカげたことを一緒にさせるといったものでした。片方がストローを嚙みながら、ダンスのステップを言葉だけで相手に伝えるという課題は、ストローのおかげで声は変になるし、なかなか正しいステップが伝えることができず大盛り上がりだったそうです。
その後、相手にどれだけ親近感を感じたかを調べたところ結果は良好。「バカげたこと」が効果的だったとわかったのです。比較するために、面白くもない作業を一緒にする実験も行ないましたが、ペアの親近感は高まりませんでした。
まあ、当然の結果かもしれません。
新型コロナウイルスの影響によって、なかなか実現は難しいと思いますが、パーティーも親近感を高めるには有効です。バカみたいなことに、一緒に参加してみるといった機会を持てれば、心理的な距離が縮まりやすいことは、ぜひ知っておきましょう。
対人関係に強くなる心理学の活用法に興味のある方は、こちらもご覧ください。
監修:日本産業カウンセラー協会
参考:『世界最先端の研究が教える もっとすごい心理学』(内藤誼人/総合法令出版)