夫婦や恋人など長い付き合いのパートナーとの関係性を、よりよく保ち続けるにはどうしたらいいのでしょうか? 心理学が明らかにしたパートナーと円満な関係を続ける秘訣をまとめてみました。
- 大事なのは仲が良い時
- 愛情を貯める5つの方法
- 平穏な日々に注目する
大事なのは仲が良い時
唐突ですが、あなたのパートナーとの関係はうまくいってますか? もし円満な関係だと思えるなら、よい関係が長続きできるように動き出す必要があります。
人間関係の維持にはコミュニケーションが大切だと多くの人が指摘します。
2022年に明治安田生命が実施した夫婦円満の秘訣に関するアンケート(「『いい夫婦の日』に関するアンケート調査」)でも、トップは66.4%の「よく会話をする」でした。納得の結果ではありますが、じつはコミュニケーションはパートナーとの関係性が悪い時に、効果的に働いてくれると限らないという側面があります。
例えばストレスがかかっているときはパートナーともコミュニケーションの質が低下し、ケンカの可能性も高まります。しかしこうしたときほど、良質のコミュニケーションを取ることが必要だとわかっているのです。
しかしピリピリとした状態のときに、互いに落ち着いてコミュニケーションを取るのは簡単ではありません。もちろん、そうしたコミュケーション能力を持った人はいると思いますが、コミュニケーションを取ったことで状態を悪化させてしまう人も少なくないでしょう。何に怒っているのか理解できないままに話しかけ、「説明してほしい」というお願いが余計に苛立たせてしまうケースや、あえて機嫌が悪いことに触れないような話し方が問題を複雑化させてしまうといった場合もあります。
だからこそミシガン大学のエイミー・ゴードン博士は、関係性が良いときにしっかりとコミュニケーションを取り、問題が起きたときに互いを許し合える状態に持っていくことを提案しています。
エイミー・ゴードン博士は、愛情は銀行預金のようなものだと解説しています。平常時に愛情を貯蓄していれば、突発的なことが起きたときにも安心して対応できるからです。逆に日々カツカツの生活をしていると、愛情の預金のないままケンカに突入し、関係性が悪化するといった事態が発生してしまうのです。
じつは直接の原因が大事ではなくなくても、これまでに積み重なってきた不満が爆発するというのは誰にでもあるものです。それは預金ではなく、借金を重ねていたようなものです。「こんなことで怒るなんて」と相手に反論しても、受け入れてくれる可能性は低いことでしょう。
愛情を貯める5つの方法
では、具体的にどのように愛情を貯蓄していけばいいのでしょうか? 効果のあると言われている方法を紹介しましょう。
①パートナーに感謝する
幸福学でも「感謝」が幸福感を高めると言われていますが、パートナーの間でも感謝の意を示すことは、二人の関係性にプラスです。当たり前に生活している陰で、パートナーが尽力していることはけっこうあるもの。そうしたことに感謝の念を持つようにしましょう。日々当たり前に生活している陰で、パートナーが努力していることを考えるのも秘湯の方法でしょう。
②一緒に新しいことを始めてみる
新しいことを一緒に始めると、決まりきった日常とは別の感覚でパートナーをとらえることができます。パートナーをより近くに感じるきっかけになるかもしれませんし、パートナーの新たな側面を発見できるかもしれません。新鮮な日常を得るためにも、新しいことにチャレンジしてみましょう。
③パートナーを褒める
私たちは自分が考えている以上に、褒められるのが好きなようです。特にパートナーのような特別な関係にある人からの褒め言葉は、けっこう心躍るものです。もちろん心にもない褒め言葉は、ゴマをすっているように聞こえてしまうかもしれません。しかし相手のことをしっかり観察し、素敵な部分を探して褒めるようにするのは、互いにとって大きなプラスになるでしょう。
④パートナーの話を聞く
相手の話に耳を傾けてみましょう。じつは私たちは、自分の話を聞いてもらいたい生き物です。そのため聞き上手の人は、老若男女問わず人気があるものです。エイミー・ゴードン博士は、忙しいときでも5分はパートナーの話を真剣に聞くよう勧めています。その短い時間を取ることが、自分が気遣われており、自分を理解しようとしているサインだと感じるからです。
私たちは常にパートナーに十分な時間を確保できるわけではありません。だからこそ忙しくても最低限の努力を怠らないことが重要だといえそうです。
⑤一緒に笑う
笑い合うことは、パートナーとの関係を維持するのにとても重要な役割を果たします。別に自分が笑わせなくても、一緒にコメディー映画を観たりして、互いに大笑いできる体験談を思い出すだけでもいいようです。重要なのは、一緒に笑える時間を持つことです。
平穏な日々に注目する
パートナーとの関係性が怪しくなる要因の一つに、焦点の当て方があるという説があります。というのも私たちは平穏な日常に注意を向けず、問題点を探し出す傾向があるからです。
もちろんこうした性質は、日々命の危険にさらされてきた人類の祖先にとって重要でしょう。しかしいきなり命を落とすような危険とやや距離のある現代人にとっては、マイナスに作用する可能性があります。
例えば、パートナーがいつも夕食をつくってくれることには鈍感なのに、自分の口に合わないとことには苛立ってしまう。つまり不満の種を探してしまっています。人間関係を円満にするポイントは、何が欠けているのかを探すのではなく、何が足りているのかを探すことだそうです。
些細な意見の相違に目を向けるのではなく、意見が一致している部分に目を向けましょう。
それでも対立がない平穏な日々に感謝しづらいと感じる人は、過去に経験した最悪の人間関係と比べることを、エイミー・ゴードン博士は推奨しています。というのもマイナスの状態の人間関係と比べると、現在の人間関係の満足度が高まることが研究でわかっているからです。さらに何が対立を引き起こしていないのかを、過去の人間関係と比べると、さらにパートナーへのプラス感情が高まります。
例えば昔の恋人は、常にイライラして食事中に不機嫌な態度を示すことが多かったけれど、今のパートナーはニコニコしてくれていることを発見したら、味がどうのという不満も消えていくというわけです。
またパートナーの素晴らしい点を確認した後に、どれぐらいの期間で問題に焦点を当てる態度に戻るのかを振り返り、そうした行動に出たきっかけを考えると、より足りている部分に注目して暮らしていけるようになるそうです。例えば、お腹が空いていると相手の粗を探してしまう、仕事でミスをすると文句を言いたくなるといった、マイナスの行動パターンを知るだけで、パートナーとの関係に悪影響を及ぼす可能性のある行動を防止できるようになるそうです。
今日はパートナーとの関係を維持するための方法についてまとめました。細かなことかもしれませんが、続けることでより大きな幸福を手にできるのかもしれません。
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監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:「If You Need a Relationship Boost, Try This Simple Exercise」(Amie M. Gordon, Ph.D./Psychology Today)/「Five Relationship Boosts You Can Try Today」(Amie M. Gordon, Ph.D./Psychology Today)/「Want a Relationship Boost? Look for the Absence of Conflict」(Amie M. Gordon, Ph.D./Psychology Today)