攻撃的な人に振り回されない考え方

職場で不機嫌さを顔に出したり、声を荒げたりという攻撃的な人はけっこういるものです。ただ、それに振り回されてしまうのかどうかは、個人の物事のとらえ方も深くかかわっています。そこで攻撃的な人からダメージを受けないための考え方を解説していきましょう。

  • 事実と解釈の違い
  • 全か無で考える
  • 一般化のし過ぎ
  • べき思考
  • 空気を読み過ぎる
  • パワハラは許されない

事実と解釈の違い

攻撃的な人と一緒にいるのは、あまり気持ちのよいものではありません。しかし、そうした相手に振り回されてしまう人と、けっこう平気に過ごせる人がいます。その違いは何なのでしょうか?

例えば、上司に挨拶をしたとき返事が返ってこないとします。そのとき「自分が何かしてしまったのかも」と考えると、上司の機嫌に自分の気持ちが振り回されてしまいます。しかし実際には、出社する前の家族といさかいがあったから機嫌が悪いのかもしれないし、ボーっとしていて挨拶が聞こえなかったのかもしれません。

つまり「挨拶が返ってこない」という事実を、どう解釈するのかで物事の見え方が変わってくるのです。攻撃的な人に振り回されがちな人は、相手の不機嫌さなどに接したときに、自分の責任だと感じる傾向があります。

しかも自分を責めてしまういくつかのパターンがあるのです。これは考え方のクセのようなものなので、無意識に事実を脚色してしまう可能性があります。

そんなパターンにはまっていないのかを、考えてみましょう。


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①全か無で考える

営業の方法で上司から怒られたとき、「自分は営業に向いていないんだ」と考えてしまうのが、この思考パターンの典型です。例えば商品説明が一部間違っていたとしても、営業に関わるすべてが間違っていたわけではありません。

また一度失敗しても、通常であれば取り返すチャンスは山ほどあります。

一部を全部と考えてしまう。一時を未来永劫と考えてしまう。そうした考え方は、攻撃的な人に振り回されてしまう可能性を高めます。

「もうだめだ」と思ったときに、「これは失敗したけれど、ここはできる」「今はできないけれど、慣れれば大丈夫」といった風に、物事を捉え直すことができれば、気持ちもラクになるでしょう。

②一般化のし過ぎ

「いつも怒られているな」「みんなできているのに」といった思考は一般化のし過ぎです。とくに気を付けたいのは、次の3つの言葉。

・「みんな」……相手の一般化
・「いつも」……時間の一般化
・「絶対」……可能性の一般化

どの表現も正確に現実を表しているわけではありません。それなのに「みんな」「いつも」「絶対」といった言葉で、自分を追い詰めてしまう思考のクセを持っている場合があります。

「たしかにできる人は多いけれど、〇〇さんと〇〇さんはできないし、そもそもできないことを気にしていない」とか、「よく考えてみたら、怒られたのは1週間ぶりだ」という発見があれば、一般化に悩まされる可能性は減ります。

③べき思考

「~すべき」という考え方です。「メールは1時間以内に返信すべき」「上司を立てるべき」「この仕事は1時間で終わらせるべき」など、自分で決めたさまざまなルールが自分を追い込んでしまうケースがあります。

でも、実際にそうしたことが必要なのかは、改めて考えてみる必要があるでしょう。緊急の案件でなければ、メールの返信を1日の終わりにまとめても問題ないのかもしれません。

攻撃的な人からの注意を、すべて「~聞くべき」として考えるとプレッシャーは高まってしまいます。本当に「~すべき」ことなのかをもう一度考えてみましょう。

また「べき思考」を持つ人は、他人にも「~すべき」を押し付けがちです。「べき思考」のクセを持っている人は、自分のルールを他人に押し付けていないのかも、考えてみるといいでしょう。

④空気を読み過ぎる

「少し表情が曇ったから口にしない方がいい」といった気遣いは、多くの人がするもの。しかし空気を読み過ぎて、自分の意見や感情を表現できなくなると、ストレスが溜まっていきます。

しかも空気を読み過ぎた上に被害妄想的になってしまうと、余計に攻撃的な人に振り回されてしまいます。相手を刺激しないために、自分がすべて我慢しなければいけないといった考え方は健全ではありません。そこまで空気を読む必要があるのか、行動を我慢する必要があるのか、本当に自分が責められているのかを冷静に考えてみましょう。

相手の意見を聞いた上で、「私はこんなふうに思います」と自分を主語にして主張するといったことも重要でしょう。「あなた」を主語にして話すと、相手は責められたように感じてしまいます。

パワハラは許されない

もちろん自分が考え方を変えても、攻撃的な人の態度が収まらないケースもあります。それが仕事であればパワハラかもしれません。別の上司に相談したり、相談窓口に出向くといったことも大切です。

パワハラが許されないのは、広く知られるようになっています。つらいと思ったら、一人で抱え込まずにいろんな人に相談してみることも大切です。

日常生活に役立つ心理学の知識に興味のある方は、こちらもご覧ください。

監修:日本産業カウンセラー協会

参考:『こんなの理不尽! 怒る上司のトリセツ』(宮本剛志/時事通信社)

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