ペットを飼うと結婚ができなくなる。そんな話を聞いたことはありませんか? じつはペットと恋愛・結婚の関係は心理実験の対象となってきました。そこでペットと恋愛・結婚の関係について、心理学の観点からまとめてみました。
- ペットは結婚にプラス? マイナス?
- かわいいペットが出会いを生む
- ペットが魅力を増大させる
- ペットに好かれないと恋人になれない
ペットは結婚にプラス? マイナス?
「ペットを飼うと結婚できない」といった話を、聞いたことがある人も多いでしょう。「街コンレポート」というwebサイトが紹介している300人を対象としたアンケート結果では、ペットを飼うと結婚できないと考えた人は51%、関係ないと考えた人は46%と、結婚できない派がやや優勢です。しかし、あまり差がないというのが正直なところでしょう。
アンケートで結婚にマイナスと答えた人の理由としては、「ペットのおかげで寂しくなくなり恋愛をしなくなる」「ペットの世話で早めに帰宅しがち」といった意見が見られました。逆にペットが結婚にプラスになると答えた人は、「ペット好き同士で話が弾む」「ペットを飼っている人の方が結婚に向いていそう」といった意見が見られました。
どちらも納得の理由ですが、心理学には結婚にプラスという研究結果がいくつもあるのです。
かわいいペットが出会いを生む
西オーストラリア大学の研究によれば、ペットの飼育は新たな出会いを生み、友人をつくる傾向が強まるそうです。2500名以上の成人に電話アンケートをした結果でも、犬の散歩は新たな出会いにつながる重要な方法の一つとなっているそうです。
「恋愛・結婚調査2019」(リクルートブライダル総研調べ)によれば、結婚できないと思う理由のトップは「出会いのなさ」ですので、犬の散歩が出会いにつながるならかなりのプラスになるかもしれません。
もちろん犬の散歩で出会いなんてと思うかもしれません。しかしデボラ・ウェルズの研究によれば、女性がテディベアや植物の鉢植えを持っているときより、犬を連れていた方が話しかけられ、笑顔を引き出したそうです。また逞しく勇敢なロットワイラーよりも優しくて穏やかなラブラドール・レトリバーの方が、笑顔の会話を引き出したという結果も出ています。
つまりイカツイ犬よりもかわいい犬を連れていた方が、出会いの可能性も高まるというわけです。
じつは、かわいいものがコミュニケーションを活性化するという実験結果は、日本もあります。こちらは幼児用のおもちゃを使って実験ですが、かわいいものがあると、笑顔や会話の量が増えるというのです。
ペットが魅力を増大させる
さらに先程紹介した「ペットを飼っている人の方が結婚に向いている」という意見を支持する研究者もいます。
恋愛科学の第一人者であるヘレン・フィッシャー博士は、犬を飼育できることは、散歩やエサのためにしっかり帰宅する人物であり、生き物を愛する人だと示している、と語っています。
また大手出会い系サイトのMatch.comのアンケート結果によれば、犬を飼っていることで相手の魅力が増していると、1200名の3分の1近くが回答したそうです。
確かに散歩やエサの時間が決まっている犬を飼っている人は、結婚に向いているという印象があるのかもしれません。
ペットに好かれないと恋人になれない
じつはペットと恋愛の関係において最も大きな影響がありそうなのが、恋人選びのときでしょう。
米国のペットフードブランド「Zesty Paws」が2000人を対象としたアンケート調査を、「【調査結果】ペットがNG出したら交際終了!?」が報じています。
その記事によれば、「ペットが認めてくれなければ交際を解消する」を67%が選択し、68%は「交際相手選びの最終決定権はペットにある」と回答したというのです。
つまりペットに好かれなければ、3人に2人は恋愛対象から外されるというわけです。さらに衝撃的な結果な事実は次の通りです。
「自分よりもペットの判断を信頼」 71%
「友人よりもペットの判断を信頼」 68%
「自分の家族よりもペットの判断を信頼」 67%
つまりペットから好かれないと、かなりの確率で恋愛には進めないというわけです。「そんな理不尽な……」と思う人もいるかもしれません。
しかし博報堂のアンケート調査によれば、「ペットも家族の一員だと思う」と答えた人は、2020年は59.0%でした。この割合は1998年からほぼ変化がありません。さらに20代は64.9%が肯定しており、全体より約6ポイント高くなっています。
つまりペットの反対は、6割の人にとって「家族の反対」であり、20代ほどその傾向が強まるのです。ペットを飼っている人を射止めたいと思ったら、ペットに好かれるよう努力をすべきかもしれません。
人の心のしくみについて興味のある方は、こちらもご覧ください。
監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:「10.家族について、あなたにあてはまるものを教えてください。」(生活定点1992-220)/「人と動物の相互関係がもたらす恩恵に関する新たな研究成果」(マース ジャパン リミテッド)/「「かわいい」ものが引き起こすふるまい ̶ある幼児用動物玩具を題材として ̶」(岡田真奈 小高 直樹 阪田 真己子)/「【調査結果】ペットがNG出したら交際終了!?」(Hanami Nishijima/TABI LABO)/「犬を飼えばモテるって本当?」(Women’s Health)/「ペットを飼ってると結婚できない?」(まちコンレポート)/「The facilitation of social interactions by domestic dogs」(Deborah L. Wells)