普段何気なく選んでいる服や小物の色も、自分の性格やその日の心理状態を示しているとしたら面白いですよね。好きな色からわかるパーソナリティー研究のまとめは星の数ほどありますが、研究者たちの言葉がそのまま読める場所はなかなかありません。心理学者が提唱する、好きな色とパーソナリティーの関係とはどのようなものか、覗いてみました。
- 好きな色で分かる性格診断なんて、占いの域を出ないと思っていない?
- 心理学者が提唱するパーソナリティー診断
- 身につける色に気をつければ、「なりたい性格」になれる?
- 朝、なぜ自分がその服を手にとったのか考えてみると面白い
好きな色で分かる性格診断なんて、占いの域を出ないと思っていない?
「好きな色診断なんて、ただの占いでしょう?」と決めつけている人はいませんか。色彩心理学は、れっきとした心理学の分野の一つです。五感のうち、目から入る情報が圧倒的に多い人間にとって、目にする色はとっても大事な要素。性格に影響を及ぼすのも、当然といえるでしょう。
色彩と人の心理について研究する心理学者は、好む色と性格との関係をどのように捉えているのでしょうか。研究者の言葉を、そのまま拾ってみましょう。
心理学者が提唱するパーソナリティー診断
・千々岩英彰
(1)明色を好む人は、社会経済的にあまり恵まれていなくても楽天的に生きるタイプ。
(2)逆に暗色を好む人は、それらの条件に恵まれている割に不満が多く、情緒的安定を欠くタイプ。
(3)刺激的な強い色を好む人は、自己に自信を欠き、しり込みするタイプ。
(4)逆におとなしい色を好む人は、自信家で社会的適応がうまいタイプ。
(5)紫色を好む人は、生活や考え方にゆとりのあるタイプ。
(6)逆に紫色を嫌う人は、流行を否定的に捉え、考え方も狭いタイプ。
(参考:『色彩学概説』千々岩英彰、東京大学出版会)
・シャイエ
(1)数色が好きで、色の好みに統一感がある――精神が安定している人
(2)好きな色が1色、または2色と、好みがはっきりしている――頑固型の人
(3)数色が好きで、色系統に統一感がない――優柔不断で自信がない
いかがでしょうか。色彩心理学の研究者たちは、色そのものとパーソナリティーを結び付けるのではなく、好きな色が醸し出す印象や色数、統一感などを大事にしながら性格診断をしていることがわかります。
身につける色に気をつければ、「なりたい性格」になれる?
それでは、プロのパーソナリティ診断を頼りにしながら身につける色に気をつければ、人はなりたい性格になれるのでしょうか。例えば、内気で出不精な女性が、モダンな色味の服を着ることで活発になったり、おとなしい色味の服を着ることで自信が出てきたりするのでしょうか。
なりたいパーソナリティーに沿った色を身につけることで性格が変化するかどうかは、まだよくわかっていないようです。しかし、目に映る色の印象は、自分の気分を少なからず動かすのではないでしょうか。
例えば、赤や黄はエネルギッシュで、モチベーションを高める色といわれています。やる気を高めたいときに赤い小物を持つのは、自分の気分を上げるのに有効でしょう。また、青は沈着冷静を表す色です。カッとなりやすい人が青を身につけると、自分の気持ちをコントロールしやすくなるかもしれません。
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朝、なぜ自分がその服を手にとったのか考えてみると面白い
上に示したように、色の印象を利用することによって自分の気分をバランスよく保てるのなら、人は無意識のうちにそういった色を選んでいるかもしれません。朝、何気なく手にとる服が、その日の自分を精神的にサポートしてくれていると考えられるのです。
その日のコーディネートを鏡に映して、「ああ、今日の私はこんな気分なのだな」と、確認する時間をとるのも面白いでしょう。例えばビビッドな色味を選んだ日は、ちょっと自分に自信がなくて、服の力を借りたくなっているのかも。自分の無意識下にある情報を手繰り寄せ、自分の気分を深く理解して、一日一日を過ごしましょう。きっと、穏やかな毎日を手に入れられますよ。