どうすれば幸福になれるのか、そのヒントはポジティブ心理学によって明らかになっています。そこで幸福のキーポイントを、いくつかピックアップしてみました。参考にしてください。
- ①幸福な人の近くにいる
- ②サポートは「受ける」よりも「する」
- ③多様な人間関係を持つ
- ④自己開示をする
- ⑤計画的に動く
①幸福な人の近くにいる
米国マサチューセッツ州で20年にもわたって行われている研究によれば、自分に近い知人が幸福だと、自分の幸福度が約15%アップするそうです。さらに「知人の知人」が幸福な場合でも、8%自分の幸福度が増加するのです。
つまり幸福は人から人へ伝染する性質があり、人を一人介しても、幸福が伝わることが判明しているのです。こうした幸福のメカニズムから考えると、幸福な人とつき合うことが幸福への近道だとわかるでしょう。
よく「人付き合いを大切にするように」と言われていますが、幸福になるためにも重要な教訓なのです。あまり人付き合いがなく孤独だと感じているようなら、少し勇気を出して人付き合いをしてみるのもいいでしょう。
②サポートは「受ける」よりも「する」
幸福について考えると、多くの人は「サポートを受けられるか」を気にします。たしかにいろんな人からのサポートはありがたいことですが、サポートすることが幸福につながっているのを忘れていけません。
親友が困っているときに駆けつけて援助するのは、自分の幸福にもつながっているというわけです。
とはいえ常に助けるだけでは、人間関係を維持することが難しくなるでしょう。相互に助け合いができる人間関係が、幸福を得るためには重要です。
そしてサポートについては、もう一つ意外な側面があります。じつは相手が困ったときだけサポートするだけでは、幸福な人間関係を維持できないのです。重要なのは喜びも分かち合うこと。友人が喜んでいたら一緒に喜ぶ。そうした態度が人間関係にとって、とても重要だそうです
夫や妻が嬉しそうに話しているときに、無関心なのは最悪です。恋人同士を対象にした心理調査によれば、相手の喜びに関心を示さない場合、破局が近いそうです。
幸福になりたいなら、喜びも悲しみもサポートするように心がけましょう。
③多様な人間関係を持つ
どんな人との人間関係が幸福度に影響するのかは、国よって変わってきます。米国のように家族と友達との関係が影響する国もあれば、イランのように家族だけが関係する国もあるそうです。
日本の場合は、幸福との関係が強い順に、家族、友人、地域住民、職場の同僚となっています。やはり家族を大切にすることは、幸福度を考える場合は重要なのでしょう。
さらにどんな人間関係が幸福に影響を与えるのかという調査では、人間関係の多様性が大切だとわかったのです。これは意外に思う人も多いでしょう。性別、国籍、職業などの異なる人を友人に持つ人は、たくさん友人がいる人より幸福度が高いそうです。
会社の同期など、同じような集団に属している人だけとつき合うのではなく、いろんなタイプの人と人間関係を築くようにしていきたいですね。
④自己開示をする
自分のことを他人に知ってもらう自己開示が、幸福につながっているという研究もあります。
思い出してみればわかる通り、自分の情報を相手に伝えれば、より関係性が深くなります。だからこそ関係性を深めていく中で、自分の情報をどれだけ開示するのかに、慎重になることも多いでしょう。あまり個人的な情報を開示すると、距離を詰め過ぎだと相手が感じてしまう可能性もあるからです。
あまりかっこつけないで、自分をさらけ出せる友人がいれば、幸福感は高まっていきます。自己開示を進め、人間関係を深めていくことが幸福感アップにつながりやすいことは覚えておきたいものです。
⑤計画的に動く
計画的に動くことが、幸福度を高めることもよく知られています。イェール大学のジュディス・ロダン氏は、老人ホームの高齢者が自分たちの環境を選択できるようにすることで、93%の入居者の活動が機敏になり、幸福感も増したと報告しています。
ここで重要なのは、自分の生活を自分がコントロールしているという感覚だそうです。日々、計画を立てて効率的に動くことで幸福感がアップするのだそうです。逆に不幸な人は、何もせず、ダラダラと無計画に過ごしてしまいがちとのこと。
日々の計画を立てて、締切りを設定し、それを守るために動いていく。一見、窮屈そうな生活が幸福を生み出すようです。
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監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:『「幸せ」について知っておきたい5つのこと NHK「幸福学」白熱教室』(エリザベス・ダン ロバート・ビスワス=ディーナー/KADOKAWA)/「The Secrets of Happiness」(Psychology Today)