幸福になりたいとは、誰もが思っていることでしょう。ただ近年の研究では幸福を求めすぎる人こそ、手にすることができないといった傾向も明らかになっています。そこでどんな風に幸福を求めるのが危険かをまとめました。
- 幸福を取り逃がす考え方とは
- ①の「もし過去を変えられたら~」に「はい」と答えた人の危険性
- ②の「幸せになれるのか心配~」に「はい」と答えた人の危険性
- ③の「自分が幸せになれない理由を~」に「はい」と答えた人の危険性
- ④の「贅沢に暮らせるお金があれば~」に「はい」と答えた人の危険性
- ⑤の「幸福な生活とは、起きて居る時間ずっと~」に「はい」と答えた人の危険性
- 幸福を生み出す行動って?
幸福を取り逃がす考え方とは
不幸になりたいと思っている人は、まずいないでしょう。しかし幸福への思い入れが強すぎると、不幸になる可能性が高まってしまうことを知っていますか? というのも幸福を気にし過ぎると、幸せを取り逃がす考え方にはまりやすくなってしまうのです。そうした考え方を知るために、まず次の質問に「はい」か「いいえ」で答えてみてください。
①もし過去を変えられたら幸福になれるのにと感じる。
②幸せになれるのか心配になる。
③自分が幸せになれない理由を把握している。
④贅沢に暮らせるお金があれば幸福だ。
⑤幸福な生活とは、起きて居る時間ずっと幸せな気持ちでいることだ。
カリフォルニア大学バークレー校の心理学者フェリシア・ゼスワス氏は、幸せを望む人が陥りやすい「ワナ」を、心理実験で明らかにしています。そして幸福を取り逃がしやすい思考パターンを表したのが、上の5つの質問です。一つでも「はい」があったら要注意! その理由を詳しく説明していきましょう。
①の「もし過去を変えられたら~」に「はい」と答えた人の危険性
幸福について考えたとき、「もし~だったら」と過去の失敗に思いを巡らせてしまうようなら要注意です。というのも現在の幸福は、過去の失敗とは関係ないからです。例えば過去に投資で巨額のお金を失ってしまったとしましょう。それ自体は不幸なことかもしれませんが、だからといって現在の生活が不幸になるわけではありません。そうした失敗で借金を抱えたとしても、幸福を感じることはできるからです。
②の「幸せになれるのか心配~」に「はい」と答えた人の危険性
幸福について考えたとき、自分が十分に幸福なのかを気にし過ぎ人は、長期的にも幸福を得にくいと、フェリシア・ゼスワス氏は指摘しています。
人の成長には逆境がプラスに働くことも少なくありません。試合に負けたアスリートが、その経験を糧に強くなったといった話はよく聞くパターンです。一方、幸福を達成するのにネガティブな感情はマイナスに働くことがわかっています。極端な話、どのような状況でも幸福を感じることはできるので、幸福になれるのかを心配する必要はありません。
③の「自分が幸せになれない理由を~」に「はい」と答えた人の危険性
失敗の要因を分析することは、たいがいプラスに働きます。しかし幸福については、幸福になれない理由を探すこと自体マイナスに働いてしまいます。というのも、ある条件が満たされれば幸福になれるという考え方が間違っているからです。
「青い鳥」ではありませんが、幸せはすぐ近くにあり、それに気づくことこそ重要なのだそうです。例えば、目の回るような忙しさであっても、家族の寝顔を見たら幸せといったこともあるでしょう。生活時間のほとんどがハードモードでも、幸せを手にすることができることを知っておきましょう。
④の「贅沢に暮らせるお金があれば~」に「はい」と答えた人の危険性
お金がたくさんあれば幸せだという思い込みは、幸福について間違った思い込みの典型だそうです。
というのも年収は、ある一定の範囲を超えるとあまり幸福度に差がなくなり、むしろ増えすぎると幸福感が下がることが知られています。幸福感の変わらなくなる年収については、さまざまな説がありますが、800万円程度とよく指摘されています。
またお金は自分のために使うよりも、他人のために使った方が幸福だということが研究でわかっています。
お金を幸福感の少し意外な関係を知っておくことで、幸福になれない生活を目標に掲げる可能性がさがるでしょう。
⑤の「幸福な生活とは、起きて居る時間ずっと~」に「はい」と答えた人の危険性
幸福度を上げたいなら、ネガティブであれ、ポジティブであれ自分の感情を受け入れることが重要なのだそうです。幸福な生活とは起きている時間すべて幸せだと感じることではなく、「ツライ」という気持ちも受け入れることから始まるのだそうです。
幸福を生み出す行動って?
結局のところ幸せになるためには、目の前にある小さな幸せに気づき、小さな幸せを生みだす努力をすることが重要になります。じつは「成功するから幸せになるのではなく、幸せだから成功するのだ」といったことも心理学の研究で明らかになっています。
まず、次にあげる幸せを感じやすい行動を起こしてみましょう。
① 楽しみな予定を入れる
お気に入りの映画を見ることを想像しただけで、幸福感を生み出す脳内ホルモン「エンドルフィン」のレベルが27%もアップしたという研究成果もあります。手帳やカレンダーなどに、楽しみな予定を入れてみましょう。
②意識的に人に親切にする
意識的な親切が幸福感をアップさせると、心理学者のソニア・リュボミルスキー氏が指摘しています。1週間に1日、5つの親切をしてみましょう。けっこうな数のようですが、小さな親切なら意外に難しくありません。
③運動をする
運動もエンドルフィンを出すことが知られています。体を動かすことが好きなら、幸福を味わうためにも運動をしてみましょう。
④マインドフルネスをする
瞑想でもあるマインドフルネスが幸福感を高めることも知られています。現在はマインドフルネスに誘導する音源も豊富なので、気軽に試せます。続けることで成果が表れるものですので、焦りは禁物です。
今日は幸福を遠ざける考え方を紹介しました。
人の心のしくみについて興味のある方は、こちらもご覧ください。
監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会