なかなか決められない、優柔不断な自分に悩んでいませんか? 意思決定できないことで、大きなチャンスを逃してしまったという人もいるでしょう。では、なぜ意志を決められず、どうすれば決められるようになるのでしょうか? 4つにまとめてみました。
- ①優柔不断な性格のタイプを知る
- ②意思決定の数を減らす
- ③素早く決定する
- ④自分の価値観を知る
①優柔不断な性格のタイプを知る
意思決定ができない理由として、多くの人が考えるのが性格でしょう。自分の行動に自信がなく、慎重に選ぼうとすることで、どんどん意思決定が延びてしまう。そんな自分を歯がゆく思っても、なかなか変えられないと感じている人もいるでしょう。
性格的に決められない人は、答えを出すのに時間がかかるタイプも居れば、答えが出ていても言い出せない人もいます。また、あえて答えを出さないで先延ばしにするタイプもいます。
答えを出すのに時間のかかる人は、慎重に物事を判断します。さまざまな可能性を考え、その選択肢を潰していくと人より多くの時間を費やしてしまうのです。というのも人間には「速い思考」と「遅い思考」があり、「速い思考」は直観的に本能的に選択します。どんなことで満足できるのかを、瞬時に判断する思考です。一方で「遅い思考」は論理的で分析的な判断です。これは合理的な判断が下せますが、時間がかかるし、日常的にすべての選択肢を考慮できないので、実用的ではないこともあります。
いろいろと考えてしまい素早く決定できない人は、意識的に「速い思考」を選択するといいでしょう。慎重に判断しなければならない場面は、それほど多くはありません。例えば今日のランチに何を選ぼうと、大勢には影響がないからです。またしっかりと考えて合理的な判断を下したと思っても、人にはさまざまなバイアスがあるため、必ずしもしっかりと判断できないもの。影響の少ない選択から、思い切って直感で選んでみましょう。
決定を言い出せない人は、判断が遅いのではなく、自信のなさや周りの人との関係性に影響を受けます。自分の意思を表明できない理由を考えてみるのも解決策の一つでしょう。
決定後の現実に直面したくなくて決定を先延ばししている人は、その行為がマイナスに働いていないのかを考えてみる必要があります。たいがいのことは素早く決定して処理した方が、問題も小さく済むものです。しっかりと現状を分析して勇気を出す。それでも決定できないなら、人に相談するといったことが必要でしょう。
②意思決定の数を減らす
人によっては、最近優柔不断になったと感じている人もいるかもしれません。身心が疲れているときにも起きるので注意が必要ですが、そもそも意思決定の数が多すぎるのかもしれません。
意思決定の力は、使えば使うほど弱まってしまいます。つまり夕方より朝の方が、意思決定の疲れていないため素早く決断ができるのです。こうした意思決定の疲労を抑えるために、意図的に決定の数を減らす人もいます。Appleの創業者でもあるスティーブ・ジョブズが、毎日のように同じデザインの服を着ていたことは有名です。これは意思決定の疲れを防止するための処置だったと言われています。
服装だけではなく、日々のルーチンを決めて、選択にかかる労力を減らすことで、意思決定が素早くなる可能性があります。もちろん心身が疲れていると感じるならまず休むことが先決ですが、どうも優柔不断だと感じたら日々のルーチンを決めてみるのもいいでしょう。
また、信頼できる人に決めてもらう方法もあります。例えば服が決まらないならパートナーに決めてもらう、といったことは意思決定の疲れ対策の一つです。
③素早く決定する
「意思決定が遅れたから優柔不断になる」という話は、少し納得しにくいかもしれません。そこで意思決定と時間について、少し説明しておきましょう。
ダイエットや禁煙などを決断したとき、「明日から」と思う人も多いでしょう。これは目の前の確実な快楽に負けて、長期的な快楽(痩せた自分やタバコを吸わない自分)を棚上げにしたことで起こります。そもそも生物は不確かな明日のご褒美より、目の前のご褒美に負けやすいのです。
そして目の前の快楽や不安に負けて意思決定を先延ばしすると、決定を下す確率が下がることも知られています。禁煙日を遅らせた喫煙者は禁煙の成功率も低かったことが、禁煙の調査で判明しているからです。
つまり意思決定の確率を上げるためには、素早い意思決定が必要になってくるというわけです。もちろんじっくりとあらゆることを考慮しての意志決定が大切なときもあるでしょう。しかし意思決定の専門家が、新規ビジネスなどを始めるときに資格や自信がなくても素早く意思決定すべきとアドバイスするのは、意思決定を先延ばしにすれば行動しないままに放置する可能性が高くなるからです。
意思決定が必要ならば先延ばしにするのではなく、やり始めてからやり方を調整するといった方法もあるでしょう。
④自分の価値観を知る
自分の価値観を知ることは、意思決定には重要です。
ノースダコタ州立大学の研究によれば、自分の好みや得意な分野を知っておくことで、自分にとって幸福な決定を下す可能性が高まるそうです。飲み会の誘いをレストランの種類で決めたり、仕事の契約をメンバーで決めたりしたとき、意外に満足感が高かったということもあるでしょう。あるいは仕事でも自分の得意分野なので、業務内容がストレスにならないといったこともあるかもしれません。
自分にとって重要な価値観をしっかりと整理して、それに沿って意思決定をすると、問題があったとしてもそれなりの満足感を得ることができるでしょう。例えば利益こそ少ないけれど、楽しく仕事ができたといった具合です。
自分の価値観がイマイチわからないという人は、どんな選択をしたときに満足したのかを考えてみましょう。また逆に、どうしても満足できなかった選択を書き出してみましょう。すると一般的な判断基準とは別に、自分が納得する選択の基準が明らかになってくるでしょう。
今日は意思決定が不得意な優柔不断な人の原因と対策をまとめました。参考にしてみてくださいね。
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監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:「3 Tips to Tackle Decision Paralysis」(Mark Travers Ph.D./Psychology Today)/『今さらだけど、ちゃんと知っておきたい「意思決定」』(佐藤耕紀/同文舘出版)