信頼できない彼氏や彼女と将来を考えることはできないもの。信頼できる相手とつき合うのは大切です。ただ、どんな人が信頼できるのかは判断しづらいものです。そこでカップル間の信頼の成り立ちと、判断ポイントを心理学的にまとめました。
- 恋愛が続くポイントは利益とコストの均衡!?
- 信頼感がマイナス情報を打ち消す
- 気持ちを共有できる
- きちんと謝罪する
- あなたにしっかりした態度で向き合う
- しっかりと話を聴いてくれる
- 相手の質問が心地よい
- 心がザワザワしない
恋愛が続くポイントは利益とコストの均衡!?
心理学的に恋人同士がうまくいくポイントを調べてみると、受け取る利益と支払うコストが釣り合っているのかどうかだ、という説がありました。「恋愛に利益やコスト?」と思うかもしれませんが、恋愛の初期においては重要なポイントになるそうです。
実際、「いつも彼は自分の好きな場所でしかデートしない」「自分の事ばかり話して、ちっともこちらの話を聞いてくれない」といった、利益とコストの不均衡による不満から二人の関係が崩れていくことに、心当たりがある人は多いかもしれません。
つまり付き合い始めの恋人は、自身の損得を細かく計算しているのです。ところが二人に信頼感が生まれると、互いの損得をカウントするのを止めて、「自分がこれをしたら、相手もこれをするだろう」と考えるようになるそうです。
実際こうした関係性の変化は心理実験でも確かめられています。カップルのどちらかにお金を渡し、二人が達成した作業量に合わせて分配するようにお願いすると、比較的付き合いが浅く、相手をチェック期間中の二人は作業分量がわかるよう工夫するそうです。一方でチェック期間を卒業した二人は、分量の見分けがつかないようにする人が多かったのです。
つまり相手がきちんとお金を分配するか不安なカップルは、ごまかされないように予防線を張っているというわけです。
信頼感がマイナス情報を打ち消す
チェック期間を経て信頼感の芽生えた二人は、相手に反感を抱いたときには気持ちを和らげ、二人にとって問題になりそうなことも「たいしたことがない」と思えるようになります。また利益が相反する問題でも、相手の望みを真剣に聞き、二人が受け入れられる解決策を見つけようとする意識が高いそうです。さらに相手が自分のために動いてくれたことを、通常以上に評価する傾向もあります。
これは長期的な関係を維持するために生まれる心理的な変化だと分析されています。疑わしいことがあっても気にならないだけでなく、恋人の犠牲的な行動を他の人より高く評価するのですから、長期間の交際に有利なのは当然でしょう。
逆に恋愛で信頼が芽生えると、悪い相手に引っかかりやすくもなってしまうのです。
だからこそ将来を見据えた付き合いを希望するなら、相手を信頼できるのかをしっかりと見極める必要があります。
夫婦間に信頼感がない場合は、言うまでもなく関係性が悪化します。相手の行動を逐一見張っているわけにはいかないだけに、浮気や経済問題などを日々心配することになるからです。
さらに夫への信頼感が高い妻の娘は、父母とのかかわりをプラスに評価し、抑うつが低く、幸福感が高まるといった研究もあります。つまり夫婦の信頼関係は当人だけではなく、親子関係にも影響を及ぼすのです。
それでは、相手が信頼できるかどうかを判断するポイントを紹介していきましょう。
①気持ちを共有できる
互いの気持ちに共感を示し、素直に自分の気持ちを表現できる人とは信頼関係ができているといえるでしょう。自分だけではなく、相手も自分と気持ちを共有したいと思っているように感じたら、それは信頼の証です。
②きちんと謝罪する
間違いがあったときに、しっかりと謝罪できる人は誠実な関係を築きたいという願望があります。逆に信頼できない人は、物事を隠したり、ウソをついたりして、防御的な態度になります。
間違いが起きたときに、どんな態度を示すのかは信頼度を測る意味でも大切です。
③あなたにしっかりした態度で向き合う
一緒に過ごす時間に、相手がどんな態度を示すのかも大きなポイントです。しっかりと目を見せて話す、あなたの行動に注目して必要なときはフォローしてくれるといった態度は信頼に値する態度です。逆に腕を組んだり、腰に手を置くようなボディーランゲージは拒否を示すポーズですので、頻繁に示すようなら信頼関係についても注意が必要でしょう。
④しっかりと話を聴いてくれる
話すよりも聴く方が労力を使うものです。そのため通常、人の話を聴くよりも、自分が話すことに夢中になりがちです。だからこそ、しっかりとあなたの話を聴こうとする人は、あなたとの信頼関係を強めたいと思っているケースが多いのです。
⑤相手の質問が心地よい
信頼が揺らいでくると、無意識に相手の気持ちや行動を探ろうとし始めます。結果として、質問が尋問に変わってしまいがちです。相手の質問に居心地悪さを感じるようになったら、相手があなたの信頼感を疑い始めているのかもしれません。逆に自分の質問の言葉尻が強くなっていると感じたら、相手への信頼が揺らいでいるのかも! 二人に何が起こっているのかを、改めて考える必要があるかもしれません。
⑥心がザワザワしない
信頼を判断する元になるのは、2種類の情報です。1つは理性的に集められた情報、もう1つは何となくのカン。「根拠もなく疑うなんて!」と思うかもしれませんが、信頼に関してはそれなりに当たる可能性がある、とノースイースタン大学のデイヴィッド・デステノ教授も書いています。
先にも書いた通り、カップルに信頼感が生まれると、些細なマイナス情報も気にならなくなります。一方、不審に感じ始めると、見過ごしていたマイナス情報にも注意が向くようになり、相手の「本性」を確かめようとし始めます。そんなとき心がザワザワし始めるのです。
何となく「アレ、おかしいかも」と気づく、ザワザワした気持ちで相手に疑いを向ける。そんな流れです。もちろん、ここから「勘違いだった」と信頼感を取り戻すケースもありますが、けっこう確かな証拠を見つけてしまうケースが少なくないのだそう。
今日は恋人同士の信頼について調べてみました。パートナーの選択は重要なので、本当に信頼できるのかを判断するメカニズムを、私たちは持っているようです。ただ好きだからこそ信じたいという思いが強く出てしまうこともあるので、ちょっとおかしいなと思ったら現実をしっかり見つめてみることも重要かもしれませんね。
心のしくみについて興味のある方は、こちらもご覧ください。
監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:『信頼はなぜ裏切られるのか』(デイヴィッド・デステノ/白揚社)/「11 Signs You Can Totally Trust Your Partner」(Marissa Laliberte/Reader’s Digest)/「夫婦間の信頼感と両親からの支持的関わりが若者の心理的健康に与える影 響の男女差」(大島聖美/発達心理学研究)