気分が落ち込んで何にもする気になれない「抑うつ」状態でも、仕事をしなければならない日もあります。そんなときに集中力を回復し、仕事を終わらせる方法をまとめました。
- 元気がなくても仕事はこなさなくてはいけなくて……
- 楽しい時間を予定に組み込む
- 作業環境を整える
- タスクをなるべく細かく分割する
- 難易度の違う仕事を混ぜる
- ご褒美を用意する
- 運動をする
- ルーチンをつくる
- 「頭の声」と反対のことをする
元気がなくても仕事はこなさなくてはいけなくて……
気持ちが落ち込んで、どうしようもない日は誰にもあります。そんなときには仕事を休めればいいのですが、現実的には休めないことも多いでしょう。まして元気の出ない日が続いているとなれば、その間どうやってモチベーションをあげていくのかが問題となります。
もちろんうつ病の疑いがあるなら医師などの専門家に相談し、仕事を休むのが一番です。ただ、どうも元気がでないといった状況だと、ある程度の仕事をこなしながら休息時間を増やすといった形で対応することもあるでしょう。
そこで元気がないときに仕事をこなす方法について、まとめてみました。
①楽しい時間を予定に組み込む
うつ病の心理療法でも達成感や喜びを感じられる活動を、日々の生活に組み込むことがあります。朝日を浴びて深呼吸をする、窓際でモーニングコーヒーを飲む、掃除をするなどなど。短い時間で自分の気持ちが上向く活動を2種類、できれば1日3回ずつ組み込んでみましょう。
まず、どんな活動が自分のメンタルヘルスにプラスなのかを考えて、可能性のあるものを書き出します。自宅や職場で考えがまとまらないようなら、お気に入りのカフェなどで書き出してもいいでしょう。そのリストから、なるべく簡単にできるものを選んで、ルーチン化していきましょう。
何も思いつかない場合は、手を洗ったり、掃除をしたりするのはどうでしょうか? どちらも気分をスッキリさせることが、心理学的に明らかになっています。実際に試して、自分に合っているのか試してみましょう。
また料理などの家事に関しては、Web上にびっくりするほど簡単にできるテクニックが公開されているので、そうした情報も参考してみてください。
選択のポイントは、面倒に感じなくて、完了すると嬉しくなること。他人からは簡単に見えるのに、自分にとっては苦痛に感じる行動は選ばないようにしましょう。
②作業環境を整える
環境は思っている以上に人に影響を与えます。作業している場が散らかっていると、頭も混乱しやすくなるようです。米国の精神科医であるアメリアアルビン氏が「雑然と思考が絡み合う」と表現しています。とにかく仕事のスペースを清潔でシンプルにしましょう。いらないものは捨て、目が届く範囲がスッキリするように整理します。
捨てるか取っておくのか判断に迷ったときは、そうしたものだけ段ボールなどにまとめてしまいましょう。まとめてみたら1年間箱を開けなかったといったことも起こるものです。そうした結果があれば、資料も捨てやすくなるでしょう。
またどうしても書類などが片づけられない場合は、横置きではなく、縦置きにするだけで一気に片付いたように見えます。
③タスクをなるべく細かく分割する
できる限りタスクを分割しましょう。取り掛かりやすくなります。またタスクを分割すると、先延ばししたくなるポイントが見えてくるかもしれません。例えば郵便を送るのがイヤだなと感じている場合でも、実際におっくうだと感じていたのは、宅配便の店舗に行くことだったりするものです。
自身のエネルギー量が下がっているときは、予想外のことがやりにくかったりするもの。元気なときには感じない大変さを感じてしまうからです。
そうした仕事を周りの人に頼むといったことも有効ですが、そのとき苦手な行動をピンポイントで理解していると、頼む仕事も少なくて済みます。すべての郵便を出してほしいとお願いするのと、宅配便の店舗に行ってほしいというのでは、随分と仕事量が変わりますよね。
自己理解のためにも、できるだけタスクを分割してみましょう!
④難易度の違う仕事を混ぜる
エネルギーがわかないからといって、簡単な仕事だけをしていると飽きてしまうものです。「こんな仕事しか手に付かなくて、やっぱり自分はダメだ」と落ち込んでしまう原因になるかもしれません。
逆に難しい仕事をばかりを並べると、いつものように成果の上がらない自分にイライラしてしまうことも……。
だからこそ仕事の難易度を考えて、難しい仕事、簡単な仕事、中程度の難易度の仕事をバランスよく配置しましょう。また難易度を意識して計画を立てると、朝は難しい仕事がいいなど、自分の頭が働きやすい時間帯を知ることにもつながります。さらに時間帯によって変わるモチベ―ションの波をとらえることができるかもしれません。
⑤ご褒美を用意する
タスクが完了した時のご褒美を用意しましょう。仕事が終わったタイミングで一杯のお茶を飲む、同僚と5分話すといったことでもよいでしょう。職場で実行しにくいときは、1日の終わりにご褒美を用意するので構いません。
タスクごとに値段を付けて、完了したタスクの数に合わせて「ご褒美」を購入するといった方法もあるでしょう。
⑥運動をする
体を動かす時間をつくりましょう。
ネットの動画サイトには、ハードなものから簡単なものまで揃っています。ハイテンションなインストラクターの動きに合わせて、ダンスや体操をしてみるのもお勧めです。
運動が難しいなら散歩でもかまいません。帰宅時に少し歩いて遠回りしたり、一駅歩いてみたりといったことも気晴らしになります。普段は通らない小路で意外な店を発見するなど、散歩はまちの意外な楽しみを教えてくれます。
運動がメンタルヘルスに良いことは、さまざまな研究が明らかにしています。テンションが上がらないからといって、ずっと座ったままといったことをなくしましょう。
⑦ルーチンをつくる
なるべく気持ちに左右されない行動を増やすために、ルーチンをつくりましょう。日課となっている仕事の時間を決めて、日々続けていると、モチベーションと関係なくこなせるようになります。
もちろん時間を固定すると、効率が落ちてしまうこともあるでしょう。しかし「抑うつ」状態であるなら、優先事項は効率ではありません。自分への負荷をどうやって下げられるのかが、最重要ポイントになります。
⑧「頭の声」と反対のことをする
ネガティブなときは、よりネガティブなことをしたくなります。ずっとベッドで寝ていたいし、きちんとした食事を取りたくないし、夜は眠りたくなかったりします。
そうした「頭の声」に逆らってみましょう。もちろん「頭の声」に逆らえないこともあるでしょう。しかし一つでも逆らって行動すると、その結果に驚くかもしれません。逆らってみれば、意外に難しくないと感じることもあります。
今日は元気がでないときに仕事をこなす方法をまとめました。精神的にショックなことが起きたり、忙しさで疲れが抜けなかったり、季節的にイマイチだったりと、さまざまなことで元気は奪われるもの。そうした状態で役立つ方法をまとめました。
仕事を減らすために周りに協力してもらったり、休暇を申請するといった方法も選択肢に入れながら、無理のない範囲で仕事を片付けていきましょう。
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監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:How to Get Something Done When You’re Feeling Down」(Alice Boyes/Harvard Business Review)/「How to Be Productive at Work when You’re Depressed」(wikiHow)/9 Strategies to Handle Depression While at Work to Be Productive(Vara Saripalli/PsychCentral)