眠りたくなくて寝不足に悩む「リベンジ夜更かし」への心理学的対処法7選

どうしても眠る気にならなくて、ついつい夜更かしをしてしまう。明日がツラいとわかっているのに寝る気になれない。それは「リベンジ夜更かし」です。そのメカニズムと心理学的対処法をまとめました。

  • 「リベンジ夜更かし」はやめられない?
  • 意志力が働かない時間の復讐
  • ゆったりした時間を取る
  • やらなくていいことを見つける
  • プライベートと仕事の時間を分ける
  • 早く寝る理由を書き出す
  • 布団やベッドにタブレットや携帯の持ち込みを禁止する就寝までのルーティンをつくる
  • 細かなToDoリストつくる

「リベンジ夜更かし」はやめられない?

「リベンジ夜更かし」という言葉を聞いたことがあるでしょうか? 「リベンジ」は復讐という意味ですので、“復讐の夜更かし”といった少し不思議な言葉です。

これは日中の生活をコントロールできない人が、深夜の自由な時間を確保するために夜更かしすることを指します。昼間に自由な時間を取れなかった“復讐”を夜中に果たすといった意味合いです。

最近の研究では、「リベンジ夜更かし」の定義を3つ提唱しています。
①夜更かしによって睡眠時間が短くなっていること
②病気や騒音などの「正当な理由」なく、自分の意思で夜更かししていること
③夜更かしが悪い影響を及ぼすと知って深夜まで起きていること

つまり次の日が休みで、寝坊ができるといった状況で起きていたり、なかなか寝付けないという場合は、リベンジ夜更かしには当たりません。

眠れないわけでもなく、自分の意思で起きているなら問題ないだろうと思う人もいるかもしれません。しかしグーグルで「リベンジ夜更かし」を検索すると、「やめたい」「やめられない」とキーワードがサジェストされるのです。つまりやめたくてもやめられなくて、日々夜更かしをしている人がけっこう多いということでしょう。

意志力が働かない時間の復讐

近年の研究によれば、自分の自由な時間を昼間に確保できない人や先延ばしの傾向のあるひとほど、「リベンジ夜更かし」をしやすいのだそうです。

眠りたいのに自分の意思で眠れないという行動は、意志力のメカニズムと密接に関連があります。というのも意志力は、使えば使うほどエネルギーが減ってしまう性質があります。朝は満タンだった意志力のエネルギーも、さまざまな判断や決断、我慢のたびに減っていき、夜になるころにはすっからかん。そうなると意志力が働きにくくなってしまうのです。
ランチ時には我慢できたコンビニのスイーツでも、帰宅時に見かけると購入してしまうのは、意志力のエネルギーが減ってしまっているからです。

つまり昼間に意志力でねじ伏せていることが多い人ほど、夜には意志力を働かせることができなくなり、寝なくちゃいけないのはわかっているけれど、ゲームを止められないといったことになってしまうのです。昼間は「こんな仕事やりたくない!」「自宅で映画でもみたい」という気持ちを抑え込み、頑張っているからこそ、意志力を使い果たした夜には、もう誘惑をはねのける力も残っておらず、翌日の体調より今の気分を優先してしまうわけです。

では、リベンジ夜更かしにどう対処するのか、心理学が突き止めた対策法を、紹介していきましょう。

①ゆったりした時間を取る

私たちは日々かなり忙しく動き回っています。仕事をし、キャリアアップのために勉強し、家族のためにも時間を使います。充実した生き方ではありますが、私達にはダラダラとYouTubeを見たり、SNSに投稿している時間も大切なのです。

ついつい切り捨てがちなゆったりした時間、非生産的に見えるけれど自分にとっては大切な時間を取り戻しましょう。
生産的な時間で埋め尽くされている1日に、あえてゆったりした時間を夜中以外で作ってみましょう。“復讐”したいと思わせないように、1日のタスクを調整する必要があります。

②やらなくていいことを見つける

ゆったりした時間を取り戻そうとすると、ついつい優先度の低いタスクをカットしがちです。例えばキャリアのための勉強などです。キャリアのための勉強を1日サボっても、短期的には誰も困ることがないからです。しかし人生における重要度が高く、優先度が低い、言い替えれば緊急性が高いわけではないタスクの時間を削ってはいけません。むしろ優先度が高いけれど、やらなくてもいいこと、やる必要のないことを見つけましょう。何となく慣例でやっているタスクの意味を、改めて考え直してみるのもお勧めです。

③プライベートと仕事の時間を分ける

テレワークが増える中で、より線引きが難しくなった感のある仕事とプライベートの区別ですが、きっちりと分ける必要があります。ダラダラと仕事をしてしまって、ずっと仕事漬けといった生活をやめましょう。テレワークでも時間を区切って、プライベートな時間を確保することが大切です。

④早く寝る理由を書き出す

どうして夜更かしをやめるべきなのかを、書き出してみましょう。「次の日の朝がツライ」「仕事でミスをしてしまう」「日中にイライラしてしまう」など、夜更かしの悪影響をしっかりと認識しましょう。
リベンジ夜更かしをしたくなったときは、このネガティブな影響一覧を眺めましょう。抑止力になります。

⑤就寝までのルーティンをつくる

就寝までの決まった儀式「ルーティン」をつくりましょう。歯磨きをしたり、お茶を飲んだり、肌の手入れをしたり、ストレッチやマインドフルネスを実行したり、どんなものでも構いません。とにかく続けることが大切なので、実行していて気持ちがいいと感じるルーティンを決めて、就寝時間から逆算して行動を開始しましょう。

ただし就寝の最低30分前には、PCや携帯の使用をやめましょう。これは画面から出るブルーライトが覚醒を促してしまうからです。目がさえてしまうようなルーティンは、言うまでもなく逆効果です。

⑥布団やベッドにタブレットや携帯の持ち込みを禁止する

携帯などを持って布団やベッドに入ると、ついついいじりたくなります。そうしたことを防止するために、携帯やタブレットはベッドや布団から手の届かない位置に置くようにしましょう。
「リベンジ夜更かし」をする人の中には、ベッドや布団の中で携帯をいじって数時間起きているといったケースもあるようです。寝床に入るときは、潔く電子機器を手放しましょう。

⑦細かなToDoリストつくる

充実感がない日々も「リベンジ夜更かし」の原因の一つです。
そこで「やらなくちゃいけないこと」に加えて、「やりたいこと」などもToDoリストとして書き出し、終わったら線を引いて消していきましょう。そうした一覧を見直すと、日中に自分がしっかりと行動していたことを実感できます。

日々の生活の認識を、ToDoリストを使って変えてみましょう。けっこうダラダラと過ごしてしまったと思っても、じつは最低限の活動をしていたりするものです。自分を卑下するような意識を変えていくことで、夜中に復讐したいといった気持ちが収まるかもしれません。

今日は眠る気にならない「リベンジ夜更かし」の対処法などをまとめました。無理に起きていようとしなければ、けっこう眠ることができる「リベンジ夜更かし」ですが、止めるのに苦労することもあるようです。ただ夜更かしの影響はけっこう大きいので、ツライと感じたら気に入った対策を試してみましょう。

心のしくみについて興味のある方は、こちらもご覧ください。

監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会

参考:「Up Late for No Reason? Sounds like Revenge Procrastination」(Theresa E. DiDonato Ph.D./Psychology Today)/「What Is Revenge Bedtime Procrastination?」(Kendra Cherry/Verywellmind)/「The psychology behind ‘revenge bedtime procrastination’」(Lu-Hai Liang/BBC)/「What Is Revenge Bedtime Procrastination?(John Cline/Psychology Today)

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