最近、耳にする機会の増えた「春バテ」。知っていますか?「夏バテは聞いたことがあるけれど……」という方も要注意。どうも春になると元気がないなと感じる人に、その原因と対策を紹介します。
- 7割以上が体験する「春バテ」
- 春バテを引き起こす2つの原因
- 負荷がかかっている自律神経
- おすすめの対策5選
7割以上が体験する「春バテ」
2020年2月に実施したウーマンウェルネス研究会の発表によれば、3~5月の不調は、身体面で7割弱、精神面でも5割以上の人が感じているとのこと。かなり多くの人が春になると心身の不調に悩まされているのです。
しかも、その症状が多岐にわたっています。
だるさ 47.1%
気分が落ち込む 46.1%
疲労感 37.7%
イライラする 34.3%
倦怠感 32.0% (複数回答)
こうした不調に、やっかいな花粉症などの症状が重なるのですから、「春はイヤだな」と感じるのも致し方ないかもしれませんね。
春バテを引き起こす2つの原因
では、心身の不調を招く春バテの原因は、何なのでしょうか? 順番に説明していきましょう。
① 変わりやすい天候
春の天候が変わりやすいという話は聞いたことがあるかもしれません。冬型の気圧配置が崩れると、高気圧と低気圧が交互にやってくるようになり、天候が目まぐるしく変わってしまうのです。
こうした変化に身体が参ってしまうのが、春バテの大きな要因といわれています。
実際、2021年3月1日~27日の東京では、1日の最高気温と最低気温が10度以上あった日が14日もありました。温度差の最大は14.4度です。
2日に1回は、大きな気温の変化があったのです。もちろん早朝の最低気温は布団の中に居て影響を受けなかったという人もいるでしょう。しかし昼は暖かかったのに、夕方から一気に肌寒くなったというパターンも少なくありません。ここ1ヵ月間、けっこう体に負荷をかけてきたのかもしれないのです。
また最高気温が前日と5度以上差があった日は、2021年3月1日~27日の東京で4回。5度という温度差は、ハッキリと肌で感じるほどの差であり、生体機能にかなりの負荷がかかるといわれています。ちなみに最大の温度差は、11.1度でした。
気象庁の1ヵ月予報によれば、3月末は平年より高い気温が続くと予想され、4月10日~4月23日は寒の戻りも予想されています。安定した天候とは言い難いようです。
「春バテ」に要注意な時期は、まだ続きそうです。
②生活の変化
入学や入社、引っ越しと大きな変化以外にも、新入社員の入社や移動などが加わります。これまでの同じようなパターンでは生活できないケースが増えてくるのです。
こうした変化は心身に少なからずダメージを与えます。
気候の変化で体にダメージが蓄積し、環境の変化がストレスを生み、心身のエネルギーを消耗させてしまいます。
じつはストレスの尺度表では、人事異動のストレスはかなり高い水準にランクされています。なんと「友人の死」とほぼ同じ。人事異動のメンタルヘルスへの影響を低めに見積もるのは危険です。
環境の変化は、自分が思っているよりストレスになっているかもしれません。
負荷がかかっている自律神経
天候が急変しても、私たちは当たり前に生活しています。それは環境の変化に合わせて体が調整してくれているからです。
特に外部の環境に合わせて身体を調整する自律神経には負荷がかかってしまうのです。自律神経は、意思とは無関係に自動的に働きます。暑いときには発汗して体温上昇を抑えたり、動き始めた体に対処すべく心臓を早く動かし筋肉に大量の血液を送るのも、この神経の働きです。
つまり春バテは、自動調整機能を使い過ぎて、バランスが崩れてしまった状態といえるでしょう
ちなみに一般社団法人日本臨床内科医会によれば、自律神経の乱れは「熱っぽい」「しびれ」「息切れ」「動悸」「頭痛」「眠れない」「食欲不振」「肩こり」「腰痛」「下痢」「腹痛」といった症状も引き起こすとのこと。
いろんな不調の可能性を持つのが春バテなのです。
おすすめの対策5選
今日からでも始めたい春バテの対策法を紹介します。
① 規則正しい生活
よく言われていることですが、まずは規則正しい生活をしましょう。夜更かしはよくありません。体のリズムが狂ってしまうのが春バテなので、整えられる環境から、しっかりコントロールしていきましょう。
②適度な運動
無理のない範囲で軽い運動をすることは、ストレス解消にもつながります。また自律神経系の調整にも効果的と言われています。
② ゆっくり入浴
少しぬるめのお湯にゆっくりとつかりましょう。炭酸ガス入りの入浴剤も効果があるという研究結果があります。
③ 目元の加温
蒸しタオルなどで目元を40度程度に温めます。自律神経が集中しているのは目元。そこを温めることでリラックスできます。寝る前に試すと、入眠しやすくなるそうです。
⑤防寒対策
今日は暖かいからと気を抜いていけません。羽織る衣類を持っていくなど、気温が変化したときの対策をしっかりしましょう。
まだコロナ禍にあり、ストレスの多い日が続いています。春バテで体調を崩さないように注意しましょう。
◆心理学の知識を活用して、より健康になりたいと感じるかたは、こちらもご覧ください。
監修:日本産業カウンセラー協会
参考:「長期化するコロナ禍で症状悪化に要注意! 激しい寒暖差とストレスによる不調 『春バテ』を6 割以上が経験 自律神経を整える“温めケア”と“リラックス”で春バテに備えよう」(ウーマンウェルネス研究会)/「28日ごろ春の嵐 かなりの高温 4月に入ると高温傾向弱まる 1か月予報」(白石圭子/日本気象協会)