大人になると、イヤなことをしなければならない機会も出てくるものです。ただ我慢を重ねればいいというものではありません。そこでなるべく楽しく積極的に、イヤなことを実行できるような方法を調べました!
- ①楽しく実行する自分を思い描く
- ②楽しそうに実行している人を意識する
- ③少額のお金をご褒美に
①楽しく実行する自分を思い描く
イヤなことを全て避けられるなら、それは幸せなことです。しかし、ほとんどの人は、そんな幸運には恵まれません。何かに我慢しながら、イヤなことをこなしているものです。
とはいえただ我慢をしつづければいいというものではないようです。というのも人は我慢すればするほど、我慢のためのエネルギーを使ってしまい、自制が効かなくなってしまうからです。夜になると、ついついテレビやネットを見てダラダラしてしまい、資格の勉強が進まないといった現象は、我慢のためのエネルギーを昼間に使い果たしてしまっているケースが少なくないのです。
もちろん我慢を重ねることで、より我慢強くなるという研究結果もありますが、できれば本当に重要なことに自制のためのエネルギーを残しておきたいですよね。
英国ポーツマス大学の研究者は、トライアスロンの選手を対象に、面白い実験をしています。それは辛い練習が楽しくなるように、メンタルトレーニングを指導したのです。方法は簡単。楽しく練習している自分の姿を思い描いたり、「私は練習が好きなんだな」と自分に話しかけるようにしただけ。
しかし、こうしたメンタルトレーニングをした選手は、しない選手に比べて練習時間が延びたというのです。
このテクニックを使わない手はありません。嫌いな作業を楽しくやっている姿を頭に思い描いたり、「私は○○が好きなんだな」と感情を込めて自分に語りかけてみましょう。
②楽しそうに実行している人を意識する
イヤな作業を楽しく実行する2つめのテクニックは、まず自分にとって苦痛な作業を楽しげに楽々と終わらせている人を見つけます。そして、どうして楽しげにできるのかをたずねてみるのです。
作業を早く終わらすことができるコツを見つけた人もいれば、意外な楽しみを感じている人もいるでしょう。いずれにしても、その詳細を聞き、その姿を思い描けるようにします。もちろん聞いた話を活用して、楽しく作業ができるようになればベストですが、聞いたことが自分に合わなくても問題ありません。
実は頭に思い描いたことは、無意識のうちに行動にも影響を与えます。オランダのユトレヒト大学の研究者は、図書館という単語を意識させた人の声が小さくなるのを確認しています。また老人を意識した人は、歩く速度がゆっくりになったという研究結果もあります。これはプライミング効果と呼ばれており、自分で無自覚のままに行動が変わることがわかっています。
つまり自分が目指しているような行動をしている人を意識すれば、自動的に同じような行動を取ろうとするようになるのです。しかも上手くすると、楽しく作業ができるコツまで身に付けられるかもしれません。
③少額のお金をご褒美に
ご褒美があれば楽しく作業ができるとしても、気になるのは経済的な負担かもしれません。例えば、350円のコーヒーを日々の勉強のご褒美にすると、30日で1万円を超えてしまうのです。日々のランニングコストはバカにならないのです。
ただノースカロライナ州の取り組みでは、1日1ドルのご褒美で、8割以上が5年間も努力を続けられたという研究結果もあります。
どうやら人は金銭の多寡ではなく1日100円、50円でも頑張ることができるようなのです。家族などに月初に3000円を預けて、実行したら100円ずつ取り戻すといった約束をするだけでも、イヤな作業へのやる気が高まります。
今日はイヤなことを、積極的に実行できるテクニックをまとめました。
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監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:『世界最先端の研究が教える新事実 心理学BEST100』(内藤誼人/総合法令出版)