恋愛をうまくいかせたいと思うことはありませんか。意地張ってケンカになってしまったり、パートナーの一言に絶望したり……。そうした山あり谷ありの恋愛を、うまくいかせるポイントが「友人」だと心理学は教えています。
- 恋愛中に友人が邪魔だと思ったら要注意!
- 恋愛感情と友情を分ける3つのポイント
- 恋愛に友人が必要な3つの理由
恋愛中に友人が邪魔だと思ったら要注意!
友人が恋愛の邪魔だと感じてしまう人も多いようです。ずっと恋人と一緒に居たいから、友達なんか構っている暇はないという思いもわからないわけではありません。あるいはパートナーが、自分より友人を優遇しているように見えて、我慢ならないと感じるケースだってあるかもしれません。
しかし恋愛をうまくいかせたいなら、友人を大切にする必要があるそうです。
そこで恋愛の成功にどうして友人が関係あるのか、また恋愛感情と友情の何が違うのかなど、恋人と友人にまつわる事項を整理してお伝えしたいと思います。
恋愛感情と友情を分ける3つのポイント
恋愛感情と友情の違いは、なかなか難しいものです。男女の友情が成り立つのかといった問題については、現在でもさまざまな議論が交わされています。ただ、心理学は恋愛感情と友情の違いを、いろいろな研究から明らかにしています。
心理学者のデイビスによれば、恋愛感情は友情を土台に成立するものだそうです。もう少し詳しく見ていくと、尊敬・信頼・理解は、恋愛感情にも友情にも共通して見られる項目で、誘惑・性的衝動・排他性・擁護や援助といった項目は、恋愛感情だけにあるというのです。
では、恋愛だけに見られる行動とは、どのようなものでしょうか? 具体的に書いていきましょう。万が一、目の前の人への気持ちが友情なのか恋愛感情なのか迷ったときには、以下の項目が判断材料になるでしょう。
① 嫉妬する
嫉妬は恋愛感情があるからこそ起きるものです。友人であれば、誰と会っていようとも心乱されることはないでしょう。逆に言えば、友人だと思っているのに、自分以外の人と会っていることに嫉妬してしまうようなら、恋愛感情を持っているのかを疑うべきでしょう。
この嫉妬の根源にあるのが「排他性」です。自分とパートナーだけの領域をしっかりつくることと、恋愛感情は密接に結びついています。特に男性に比べて女性の方が、自分たちだけの領域をつくることにこだわる傾向があるそうです。そして誰も排除することなく、自由に行動しているカップルはあまり長続きしないとも言われています。相手が考える恋人としての行動、――例えばハグ、二人だけの食事、腕を組む――といったことを、互いに守ることは恋愛感情を高めるのに役立つようです。
②考え続け、話し続ける
これは誰もが経験していることかもしれませんが、恋愛感情が湧くと相手の事を考え続け、その相手の話をたくさんするようになります。浮気の兆候として、パートナーが会社の上司や部下のことをしきりと話すようになったという話はよくあります。考えずにはいられない、話さずにはいられないというのが恋愛感情の特徴と言えるでしょう。
③お世話をしたい
相手の世話をしたくなるのも、恋愛の一つのパターンです。これはデイビスが指摘した「擁護」「援助」という心理的要素が、強く表れた場合に見られる行動です。
ただ言うまでもなく、「お世話をしたい」という思いが常に恋愛感情から生まれるわけではありません。誰かを守ったり、お世話したいという気持ちは、さまざまなシチュエーションで起きるものだからです。
一方で、結婚詐欺では恋愛感情が持つ「擁護」「援助」を刺激して、お金をだまし取るといったことも起こります。
また、しきりと援助を持ちかける人が恋愛感情を抱いている可能性もあり、「擁護」「援助」が友情と恋愛感情のグレーゾーンで発動すると、やっかいな問題に発展する可能性もあるといえるでしょう。
恋愛に友人が必要な3つの理由
友情が恋愛感情の土台になっているからこそ、ときに友人は恋人にとって目障りな存在になってしまいます。特に恋愛感情から生まれた「排他性」が友人に向かう場合、友達付き合いにも問題が生じてしまうケースが多々あります。
しかし素敵な恋愛を長く続けたいなら、逆に友達を大切した方がいいようです。その理由を説明していきましょう。
①恋人でかなわないニーズを満たす
心理学者のマーク・トラバース博士が指摘するのは、パートナーだけではすべてのニーズを満たせないという事実です。
例えば漫画やアニメなどの趣味は、何度も作品を読み込んだもの同士でしか満たせないニーズがあります。そうした趣味を持つ者同士が食事をして話し合うことは、ストレスレベルを軽減し、幸福感を高めることも研究からわかっています。
もちろんパートナーの趣味に興味を示し、自分もそこにハマっていくという方法もあるでしょう。ただ、そうした方法で恋愛を進めても、自分の知識や思いでパートナーのすべてのニーズを満たせるわけではないことを意識しておきましょう。そのような認識を互いに認めることで、恋愛がうまくいく可能性は高まります。
②パートナーとの関係修復に役立つ
恋愛の難しいところは、高ぶった感情に翻弄されてしまうことでしょう。好きだからこそ相手のちょっといた仕草に傷つき、何気ない言葉に考え込んでしまう。こうした状態からの脱出に友人は大きな力を発揮することがわかっています。
『Social Psychological and Personality Science』に掲載された論文によれば、恋人同士の仲に亀裂が入ると、人は安心感やつながりを求めて友人や家族を求める傾向が高まるそうです。その結果、友人に悩みを相談したり、愚痴を言うことで、落ち着いた自分を取り戻し、パートナーとの和解のきっかけを探すようになるのです。
自分が話すことで落ち着くだけではなく、さまざまなアドバイスを受けて、違った側面からパートナーを観察することは、恋愛関係を維持するのに重要な役割を果たします。特に親子で恋愛について話しにくいと思う人は、自身の恋愛について話せる友人を大切する必要があります。
③自分を取り戻す
恋愛は自分のペースやアイデンティティーを壊すことがあります。恋に落ちた途端、それまでになかったような一面を周囲に見せることも珍しくありません。さらに人間関係や趣味なども、すべて放り出して恋愛だけに集中するケースもあります。
だからこそ自分のアイデンティティーを保ち、自分を見失わないように働きかけてくれる友人は重要です。これまで培ってきた自分を保ち、地に足を付けて交際を続けていくことが、恋愛関係を強化することになると、マーク・トラバース博士は指摘します。
自分を見失うことなく、恋愛を進めることが恋愛をうまくいかせるコツであり、そのためには舞い上がる自分を現実に引き戻してくれる友人の存在が重要なのです。
今日は恋愛に友人が必要な理由を、恋愛感情と友情の違いといった点も踏まえて説明しました。私たちは恋愛の強力な力に惑わされ、また恋愛感情の持つ排他性に惑わされて、友人との関係をないがしろにすることがあります。しかし、素敵な恋愛を長期間維持するためには、友人の存在が大切です。もし恋人にかまけ過ぎて、連絡を取っていない友人がいるならメールなど送ってはいかがでしょうか?
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監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会
参考:「3 Reasons Why Having Good Friends Uplifts Your Romantic Life」(Mark Travers Ph.D./Psychology Today)/「Am I In Love With My Best Friend? The Difference Between Friendship And Romance」(Regain)