ちょっとした口癖から性格が覗けてしまうことがあります。そして敏感な人は、そうしたワードに注目しているようです。周囲との関係に少しずつ亀裂を生んでしまうかもしれないワードを紹介しましょう。
NGワードがその人の本性を暴く
口癖はその人の性格を示す一つの指針です。普段は表に出にくい性格が、そこに表れてしまうからです。つまり本性の一部が表れてしまう瞬間というわけです。
つまりNGの口癖を知っていれば、ビジネス関係者の性格がわかるし、自分が口にしないように気をつけることもできるというわけです。一般向けの著書を多数執筆している渋谷昌三・目白大学教授の著作『面白いほどよくわかる!他人の心理学』(西東社)を参考に、ワードをセレクトしました。
①「べつに、いいですが」
さすがにお客相手に発する言葉ではないかもしれませんが、「べつに」という言葉には棘があります。しかも会話を中断させてしまうほどの力を持っています。女優の沢尻エリカさんが、主演映画のプロモーションで「べつに」と答え、大バッシングに遭ったのは有名です。しかし、彼女が「べつに」と答えたのが、たった1回だったことは知っている人が少ないでしょう。たった1回「べつに」と発言したことで、あれほどの騒動になったのです。
もちろん、そのシーンが何度もテレビなどで放送されたこともあるのですが、「べつに」という言葉自体のインパクトの強さを物語るエピソードです。
「べつに」と単独で使うことは少なくても、「べつにいいですが」と口にする人はいるでしょう。「基本的にイヤだけれど了解した」という意味を持つ言葉なので、この発言は意図的な反発心や深い嫌悪感があること表明したことになります。しかも反発する理由を説明する気がないことまで示しています。
引き受けるのであれば、「今は忙しいので、少し時間をください」とか二つ返事で受けられない理由を説明するか、丁寧に断る方がよほど印象はいいでしょう。
②「なんか○○」
「なんか忙しいですよね」など、枕詞にように「なんか」を付ける人は要注意です。「なんか」は後ろの単語にあいまいさを付け足す表現で、自己主張を避けるための表現です。つまり意思決定の段階になると風向きを読んで発言する人が使いがちなワードです。
特に上司が「なんか○○」を連発するようなら気をつけましょう。しっかり意思表示すべきときに、前言撤回する可能性があります。きちんと上司に許可を取って進めていたのに、問題が起きれば現場に責任を押し付けるといったことが起こりかねません。
③「○○って感じ」
こちらもあいまいさの表現です。八方美人の人が使いやすいワードです。その背景には、自分の主張に対する自信のなさがあります。どうしてもあいまいな内容になるので、結局、何を主張したいのかがわからないといったことにもなりかねません。
顧客や上司などがしっかりと内容を把握できない原因ともなるので、口癖となっているようならすぐに改めたほうがよさそうです。
④「でも」
「でも」を多用する人は、周りからの信頼を失いがちです。それは「でも」が相手の言葉を否定するからです。しかも相手の要望に対して、しっかりと向き合っていない印象を与えます。
ビジネスでは相手の要求にすべて応える必要はありません。しかし断るなら、角の立たない方法があります。最もいいのは「すみません」と断ってから、断る理由を説明することでしょう。
例えば「すみません。今日はどうしても定時に上がらなければならないので、明日の午前中に終わらせるのはどうでしょうか?」というように断れば信頼を失うことはありません。しかし「あー、わかりました。でも、今日はちょっと、忙しくて……」という言い方はどうでしょう。「でも」を使った言い方では、対応策も断る理由も明らかにされていません。それどころか実際に引き受けてくれるのかどうかもあいまいだったりします。
⑤「だって」
「だって」は相手の言葉を否定するだけではなく、言い訳するといった印象を与える言葉です。というのも「だって」は責任転嫁のワードだからです。前向きに仕事に取り組もうという意識が見えにくくなります。
何か仕事を頼んでも、「だって」を連呼して実行してくれないようなら、誰も仕事を頼む人はいなくなるでしょう。
かなり要注意ワードなのに、「だって、そんなの無理でしょう」とか笑いながら言うと、何となく使えそうに思えてしまうことにも注意が必要です。
性格を変えるのは簡単ではないかもしれません。しかし言葉を変えることで行動が変わることもあるということを、聞いたことがあるのではないでしょうか。自分の口癖の中に、この5つのワードが含まれていたら、すぐに改めましょう。口癖を直すことで、回りからの印象だけではなく、自らの行動も変わってくる可能性が高まることでしょう。