部下のモチベーションを上げる「マインドセット」5つのポイント

やる気の感じられない部下をどう指導していけばいいのかは、難しい問題でしょう。追い立てても部下のモチベーションがアップするわけでもないからです。そんなときに活用したいのがマインドセット!その方法について紹介します。

  • 才能と努力、どちらを褒める?
  • 部下を成長マインドセットに導く

才能と努力、どちらを褒める?

さて、問題です。

「君は才能があるね!」とほめるのと、「努力が結果に結び付いたね」とほめるのは、上司としてどちらが適切でしょうか?

じつは「努力」を褒めるのが適切なのだそうです。

スタンフォード大学のキャロル・S・ドゥエック教授によれば、考え方のクセである「マインドセット」には次の2種類があると説明しています。

「成長マインドセット」……人間の基本的資質は努力次第で伸ばすことができるという信念

「硬直マインドセット」……自分の能力は固定的で変わらないという信念

ここうした考え方の違いが、生き方を大きく変えると聞いて不思議に感じる人もいるでしょう。しかしマインドセットの違いは、モチベーションまでも大きく変えるとドゥエック教授は説明します。

例えば「硬直マインドセット」の人が働いているケースを考えてみましょう。

知能や人徳が変化しないと考えるなら、自分に欠陥がないことを証明しなくてはいけません。電気器具に故障がないことを示すように、自分の有能さをアピールします。しかも失敗しないことが何よりも重要な関心事になってしまうのです。また自分の能力が足りないと感じれば、変わらないのだから水増しして才能のあるフリをしようとしたりもするでしょう。

一方、「成長マインドセット」が強い人は、努力や経験を重ねることで成長が続くので、失敗さえマイナスになりません。失敗から反省して成長していくことに力を注いでいくでしょう。また成長に着目するようになれば、努力自体が苦ではなくなり、よりモチベーション高く仕事もできるようになるそうです。

日々、失敗しないことだけを考えて仕事している人と、成長を考えて仕事をしている人ではモチベーションも結果も違って当然でしょう。もちろん例えば営業が得意ではない人が一朝一夕に成果を上がられるわけもないでしょう。しかし、地道に改善を重ねていくことで、失敗を恐れて決まりきった営業先しか回らない「硬直マインドセット」の人をいずれは追い越していくでしょう。

マインドセットについて知りたい方は、こちらの記事もおすすめです!

ビジネスを成功に導くマインドセット5つのステップ

部下を成長マインドセットに導く

つまり上司の大きな役割の一つは、部下のマインドセットをより成長の方に近づけてあげることなのです。実際、マインドセットを変えることで、子どもの成績が良くなったという実験結果も報告されています。

では、どうすれば成長マインドセットになれるのかというと、マインドセットによって人生が変えられると説明した25分間の映像を2回見ただけで、赤点が減るなどの効果があったと、スタンフォード大学の実験が証明しています。つまり上司が「成長マインドセット」に向けて導いていくことで、少しずつ効果が出てくる可能性は高いのです。

そこで実際に上司が部下にどのような態度を取るべきなのかを、5つのポイントに分けて説明しました。

①結果ではなく過程に注目する
結果だけに着目して評価すると、「失敗しないように」という硬直マインドセットが強くなります。どうやって、その結果にたどり着いたのかに注目し、努力をきちんとを褒めるようにしましょう。

②改善を評価する
現状をよりよくしようという改善は成長マインドセットに通じるものです。成果に結びつく「カイゼン」を数多く実施することは、成功への重要なポイントとなります。現状から何を変えていくのか、何が結果に結びついたのかを上司も観察しましょう。

③成長マインドセットに通じる言葉を使う
例えば「僕は才能がないから」と部下が口にした場合は、「いや、努力でどのようにも変わるよ」と応えましょう。また「課長は才能があったから……」と言われたようなときにも、努力が状況を変化させた経験を伝えてみてください。「まだ、できていないだけ」だから成長を期待している、と伝えることで部下の意識も変化がでてくるでしょう。

④努力で変えられない部分も伝える
多くの状況は努力で改善できるものですが、努力では変えにくいこともあるでしょう。社内体制などもその一つです。努力では変えにくいものを伝えることで、部下も成果の出やすい努力ができるでしょう。

⑤なるべく失敗に優しい環境をつくる
これはなかなか難しいかもしれませんが、失敗して成長していく環境がないと、成長マインドセットは育ちにくくなります。部下が委縮しないように、できる範囲で環境を整えるようにしましょう。

部下のモチベーションアップに通じるマインドセット」を紹介しました。もちろん自身の硬直マインドセットが強いと感じたら、上司自ら成長マインドセットに考え方を変えるように努力してみることも大切かもしれません。

さらに心理学に興味のある方はこちらをご覧ください

参考:『マインドセット 「やればできる!」の研究』(キャロル・S・ドゥエック 著/草思社)/『成長マインドセット 心のブレーキの外し方』(吉田行宏 著/クロスメディア・パブリッシング)

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