もう方向性が見えた議題でも長々とした反論する部下。周りも人もしらけ気味。一喝したいと思うけれど、パワハラが頭をよぎる……。そんな想いを抱えているあなたに心理学的な解決法をお教えします。

- 熱心に参加してくれてありがとう!
- 「上司」は役割に過ぎない
- 「自分だったらどうする」で論破
- あいまいな言葉を使わない]
熱心に参加してくれてありがとう!
現在、40~50代の会社員は、理不尽な上司の要求に耐えた経験があるかもしれませんね。会議でも上司の意向を配慮して、議事を進行してきたこともあったことでしょう。
しかし時代は変わり、自分が上司になったら部下への気遣いが求められるようになってしまったのです。人出不足で人材を確保しにくい環境であり、強く叱ったことが原因となるパワハラも気になります。だからこそ会議での部下の自由すぎる反論には余計な疲れを感じてしまうのでしょう。
こうした部下とのコミュニケーションは、どうすればいいのでしょうか?
精神科医の水島広子氏は、
「自分に真正面から反論してくる、というのは、それだけ会議に参加してくれているという意味でもあります。『おお、熱心に参加してくれてありがとう』とお礼を言ってよいくらいです(繰り返しますが、反射的に嫌な気持ちになるのはまったく普通です。でも、気分を立て直して『そうか、この人なりに考えてくれているんだ。ありがとう』という気持ちになることもできますね」(『部下をもつ人の職場の人間関係』水島広子 著/ダイヤモンド社)
と書いています。
「上司」は役割に過ぎない
じつはリーダーに必要な態度は、以前とかなり違ってきているのです。『コミュニケーションの教科書』(ハバード・ビジネス・レビュー 編/ダイヤモンド社)には、リーダーの資質について次のように書いてあります。
「有能なリーダーは、他の社員が持っている答えを引き出すことが自分の役割だとわきまえている。そのために、きわめて明確かつ明示的に、部下たちから提案や反対意見、あるいは協力を募る。権力も、支配するためではなく、こうした意思決定プロセスを前進させる目的で活用する」
つまり上層部だけの意見で固まった方針を承認するといった会議は、もう過去のものになろうとしているのです。前述の水島氏が
「全員が上司のイエスマンなのであれば、会議など開く必要もないでしょう」
と喝破していますが、確かにその通りです。
「上司というのは、たまたま『上司』という役割を果たしているに過ぎず、『人格者』や『能力者』という認定をもらった、というわけではありません」という水島氏の言葉を、上司の人は肝に銘じておくべきでしょう。
「自分だったらどうする」で論破
ただし、言い方や言葉遣いによって、せっかくの意見が反感を生んでしまうこともあるでしょう。そうしたときは会議が終わった後でもいいので、その発言の裏にどんな気持ちや背景があったのかをしっかりと聴き、その上で「もっと穏やかな口調だったら、さらに賛同者を得られたと思よ。もったいないな」と、口調や態度によって効果の変わることもアドバイスするといいでしょう。
実際、口調が問題なだけで意見としては筋が通っている可能性もあるのですから。
もちろん代案を持たず、ただ反対ばかりを声高に叫んでいる人もいるでしょう。そうした人物への対処法として、水島氏は「自分だったらどうする?」という質問をぶつけることを推奨しています。確かに代案のない反対意見は、この質問で論破できるでしょう。
あいまいな言葉を使わない

部下が反論する理由の一つは、上司の言葉が不明瞭な場合があることも覚えておきましょう。『コミュニケーションの教科書』には、
「ビジョン、Iと、方向性を慎重に定義し、言葉によって、あるいはみずからの行動によって、時間を惜しむことなく、これが意味するところを具体的に伝えるのである」
と、リーダーのコミュニケーションのあり方を語っています。
意味不明の用語をなくす、社内用語は体系的に管理するといったことをするだけで、リーダーの言葉は明確に伝わります。
じつは救急医療チームなどは、こうした言葉のやりとりをしっかり管理しています。意思疎通の不備が命に直結するからです。そこまで厳密にする必要はありませんが、上司と部下の間で、互いの発言を勝手に解釈して意見がかみ合わないままに反論し合うといったことがないように、上司は自らの発する言葉に注意すべきでしょう。
そして社内のコミュニケーションを活性化させたいなら、まず上司が部下の話を聴くようにしてみましょう。部下の話をしっかりと聴く関係を築けていれば、会議での反対意見も余裕を持って対処できるでしょう。
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参考:『部下をもつ人の職場の人間関係』水島広子 著/ダイヤモンド社/『コミュニケーションの教科書』(ハバード・ビジネス・レビュー 編/ダイヤモンド社)