ウソだとわかっていても効果がでる「プラシーボ効果」を活用する

「プラシーボ効果」という言葉をきいたことがありますか? 薬効成分のない偽薬であっても、効果が出てしまう現象を指します。「病は気から」を地でいくような話ですが、近年、その効果の高さに注目が集まっており、日々の生活に活用しようといった動きもあるのです。

  • 偽薬でも効果がある!
  • フリをする
  • 行動の理由を考える
  • 儀式をつくる

偽薬でも効果がある!

薬効を確かめるときに、偽薬(プラシーボ)を混ぜたりします。ただ偽薬であっても効果が出てしまうことがあり、人によっては副作用の症状を訴えることもあるそうです。

こうした思い込みの「効果」がバカにできないものであることが、近年、さまざまな研究からわかってきています。痛み、不眠、下痢などへの効果は有名です。さらに不思議なことには、偽薬だとわかった上で服用しても効果があることです。腰痛などに、何らかの効果があったというレポートもあります。


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では、どうしてこのような効果が生まれるのでしょうか?

複合的な要因だと言われていますが、その要因の一つとしてよくあげられるのがアメリカの社会学者ロバート・K・マートンが提唱した「予言の自己成就」です。「予言の自己成就」とは、根拠のない噂や思い込みであっても、人々がその状況が起こりそうだと考えて行動することで、事実ではなかったはずの状況が本当に実現してしまうこと。

例えば、合意が難しそうな案件だと思っていると、相手を説得する粘りが足りなくなったり、妥協点を求めて可能性を探る動きが少なくなるため、結果的に失敗してしまうことがあるのです。このようなケースでは、成功を疑わずに行動していればうまくいった可能性があります。

病気へのプラシーボ効果については、医師以外には活用が難しいものです。しかし日常生活であれば、「プラシーボ効果」を活用できるのではないかといった指摘があります。特にオープンラベルプラセボと呼ばれる、偽薬だとわかっていても効果があるいった現象は、日々の行動改善に役立つと期待されています。

今日は、世界的なプレゼンターが集うTEDの発表者であり、作家のタニア・ルナ氏の提言を紹介していきましょう。

①フリをする

現実を動かすのは前向きな行動です。成功間違いなしと積極的に行動したり、楽しいフリをして会議に臨んだりといった振る舞いによって、現実が変わってくるそうです。だからこそ前向きになれる環境が整っていると「思い込んで」動いてみることで、何かが動き出すかもしれません。

実際。大変な仕事であっても、楽しそうに作業している人がいると携わる人のモチベーションも変わってくるものです。プラシーボ効果を信じて、フリをしてみましょう。

②行動の理由を考える

なぜ行動をしようとするのか、その理由をしっかり考えましょう。

なぜ仕事をするのか、なぜ新しい技術を学ぼうとするのか、なぜ健康的な食事にするのか、なぜ運動をするのか。明確な理由があれば、より強いプラシーボ効果を期待できます。いまの行動の重要性を、しっかり認識しましょう。

③儀式をつくる

タニア・ルナ氏は、寝つきをよくしたいと思ったら、ラベンダーのスプレーを散布して就寝すればいいと解説しています。眠くなった時にラベンダーの香りを繰り返しかぐことで、逆にラベンダーの香りで眠くなるからです。これは心理学では条件付けと呼ばれるもので無意識の連想を強めるものであり、プラシーボ効果の要因の一つとも言われるものです。

ただ、こうした行動自体、珍しいものではありません。集中力をアップするために就業前にコーヒーを飲む、営業前に手順通り服装をチェックするなど、多くの人が日常的に使っているテクニックです。

また儀式が定着すると、同じ動きでもスピードや滑らかさが変わるため、その日の体調などがわかるとも言われています。日々同じ動作をしているだけに、その日は集中力が足りない、体調がイマイチといったことも感じるようになるというのです。

精度を上げたい行動や継続したい行動に、自分なりの「儀式」を付け加えてみましょう。

今日はプラシーボ効果の活用法について紹介しました!

心理学を活用して行動を改善したいと感じている方は、こちらもご覧ください。

監修:一般社団法人 日本産業カウンセラー協会

参考:「Surprise! Mind Over Matter: The Power of Placebo」(Tania Luna/Psychology Today)

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