パニック障害ってどんな病気なの?仕事の継続は?

最近、耳にすることも多くなった「パニック障害」。その症状と仕事の継続について、参考になりそうなポイントを関連書籍から集めてみました!

  1. 白血病よりかかりやすい病気!?
  2. パニック障害の判断基準は?
  3. 不安が拡大し行動を制限
  4. 女性の20~40代がかかりやすい
  5. 半数以上がうつ病を発症どんな治療があるの?
  6. 回復に向けた日常生活のポイント

白血病よりかかりやすい病気!?

芸能人がかかったことで、メディアに取り上げられる機会の多くなったパニック障害ですが、じつはそれほど珍しい病気ではありません。平成14~18年度に厚生労働省の研究班が行った調査では、パニック障害に生涯一度でもかかる確率は0.8%。女性の食道ガン(0.5%)、男性の白血病(0.9%)、女性の白血病(0.7%)とあまり変わらない数字なのです。

ちなみに米国大規模疫学調査におけるパニック障害の生涯有病率は、EACという調査で1.6%、NCSという調査では4.7%という数字となっています。ここまでくると、男女の直腸ガン(男性:4%、女性2%)より高い数字になります。

病気になったことを特別視する方がおかしいというのが、有病率から見た現実でしょう。

パニック障害の判断基準は?

では、パニック障害とはどのような症状なのでしょうか?

医学博士で臨床心理士でもある磯部潮氏は、『パニック障害と過呼吸』(幻冬舎)の中で、「『パニック障害』とは、『パニック発作』が繰り返し出現しているときに診断される病気」と説明しています。

「アメリカ精神医学学会で定義している精神疾患の分類と診断のマニュアル」であるDSM-Ⅳには、次のような診断基準を載せています。

強い恐怖または不快を感じるはっきりと他と区別される期間で、その時、以下の症状のうち4つ(またはそれ以上)が突然に発現し、10分以内にその頂点に達する。

1.動悸、心悸亢進、または心拍数の増加

2.発汗

3.身震いまたは震え

4.息切れ感または息苦しさ

5.窒息感

6.胸痛または胸部不快感

7.嘔気または腹部の不快感

8.めまい感、ふらつく感じ、頭が軽くなる感じ、または気が遠くなる感じ

9.現実感消失(現実でない感じ)、または離人症状(自分が自分でない感じ)

10.コントロールを失うのではないか、または気が狂うのではないかという恐怖

11.死ぬのではないかという恐怖

12.異常感覚(感覚まひまたはうずき感)

13.冷感または熱感

厚生労働省「知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス」

不安が拡大し行動を制限

このチェック項目を見ればわかるとおり、パニック発作の中心は呼吸器の問題です。しかも症状は突然です。さらにパニック障害は、「空間恐怖」と呼ばれる恐怖症を合併する確立が高いのです。「パニック障害の人のうち、およそ3人に2人は空間恐怖を伴っています」と『パニック障害と過呼吸』にも書かれています。

しかも一度、発作が起きると、いろんな場所で起きるのではという不安が当人の中で拡大していきます。最初は満員電車で起こり、用心のために時間をズラして空いた電車で通勤していたのに、それも怖くなってしまう。あるいは自分で運転していても高速道路や橋が怖くなってしまったりするのです。

結果的に、こうした不安は、患者の行動範囲をかなり狭めてしまい、外出が困難になるケースもあるようです。

女性の20~40代がかかりやすい

病気の原因は、まだ十分に解明されていません。

しかし脳の「恐怖神経回路」の過剰活動が原因だという有力な仮説があります。また、心因的要因として、「過去に何らかのきっかけがあった」「発症前1年間のストレスが多い」「小児期に親との別離体験をもつ」といったものもあげられています。

厚生労働省「知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス」

また、男性よりは女性の方がかかりやすく、20~40代が発症の中心になります。

半数以上がうつ病を発症

いつ引き起こされるのかわからない発作におびえながら暮らさなければいけないだけに、その苦しみは想像に余りあるほどです。

しかも先程も触れた米国大規模疫学調査によれば、パニック障害患者のうつ病の生涯有病率は55.6%です。つまり、非常にうつ病を合併しやすい病気なのです。

どんな治療があるの?

治療については、「知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス」(厚労省)では、抗うつ薬や抗不安薬の使用。さらに段階的に恐怖に慣れていく「曝露療法」やマイナスの状況を予測してしまう思考のクセを合理的で柔軟に捉えられるようにしていく「認知療法」などが挙げられています。

厚生労働省「知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス」

また外出前で何となく緊張してしまいそうな時、リラックスするために「自律訓練法」を勧める医療機関もあります。

詳しい方法は、NHK健康チャンネル「【自律訓練法のポイント】自律神経のバランスをとりリラックスするトレーニング」に譲りますが、手足を重く感じるよう自ら暗示をかけたりすることで、緊張を解いていくトレーニング法です。比較的、自分でも簡単にできるので試してみるのもいいでしょう。

回復に向けた日常生活のポイント

パニック障害の方はストレスから眠れなくなり、生活のリズムを崩しがちです。その結果、体内時計が狂い、パニック障害からの回復が難しくなることがあります。そのため以下のような生活の工夫が大切になってきます。

・毎朝、同じ時間に起きて朝日を浴びる

・規則正しく3度の食事をとる

・昼間、できるだけ外に出る機会をつくる

・毎日、なるべく人と触れ合う

・毎日、適度な運動をする

この中でも運動は、脳の神経伝達物質であるセロトニンを増やす働きがあります。特にウォーキングやジョギングなどの軽い有酸素運動は、パニック障害の方にプラスに働く可能性があるといわれています。

パニック障害を抱えながら仕事をするには?

パニック障害と言っても、仕事できるのかどうかは、その症状によっても変わってきます。医師の診断に従うべきでしょう。

とはいえ磯部潮医師の書いた『パニック障害と過呼吸』(幻冬舎)には、大手客室常務員として研修中にフライト中にパニック発作を起こした人の復帰事例が書かれています。乗り物などに乗れなくなることも多いパニック障害だけに、飛行機内で症状が出たことは大きなショックだったと思われます。しかし休職期間を経て、職務に復帰した様子も描かれていました。

少なくともパニック障害だから仕事は続けられないということではないようです。専門医にしっかり相談して、対策を練ることが重要でしょう。

また、『診療内科産業医と向き合う職場のメンタルヘルス不調』(石澤哲郎 著/第一法規)には、パニック障害で満員電車に乗るのがつらい方の事例で会社としての対処法が書かれていました。先程触れたとおり、乗り物でパニック発作を起こすことも少なくないので参考になるでしょう。

この本では満員電車対策としてフレックスタイムを利用したり、出勤時間を早めて満員電車を避ける、在宅勤務制度を導入するといった案が出されていました。そして「会社が懸念していることを正直に伝え、本人と一緒に適切な就労に向けた解決策を考える姿勢が大切です」と書いてあります。

仕事の継続は、職場の対応によっても変わってくるといえそうです。パニック障害の認知度が上がってきているだけに、企業側の柔軟な対応も期待したいですね。

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参考:

『パニック障害と過呼吸』(磯部潮 著/幻冬舎)

『マンガでわかるパニック症・広場恐怖症』(貝谷久宣 著/主婦の友社)

『診療内科産業医と向き合う職場のメンタルヘルス不調』(石澤哲郎 著/第一法規)

厚生労働省「知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス」

NHK健康チャンネル「【自律訓練法のポイント】自律神経のバランスをとりリラックスするトレーニング」

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