レジリエンスを身につけて精神的タフネスを手に入れよう

「どうして私は、こんなにくよくよしやすい性格なんだろう?」と、自分が嫌になってしまうことがあります。そんな時、今の自分を否定せず肯定的に捉えられることが精神的なタフさにつながっていきます。まずはその一言を発すること、ストップしてみませんか。

  1. レジリエンスとは、精神的回復力のこと
  2. NHKの番組内で行われた心理実験
  3. 目の前の課題と目的に集中する
  4. 「レジリエンスが足りない」と自己否定を繰り返すのは逆効果
  5. 元気の出る動画を見るとレジリエンスが高まる
  6. 自分で自分を助ける技術を身につけて、精神的タフネスを手に入れる!

レジリエンスとは、精神的回復力のこと

レジリエンスとは、心理学でいう「精神的回復力」のことです。もとは物理学用語で、外からのストレスを跳ね返す力を表していました。そこから転じて、精神医学業界ではレジリエンスを「逆境にもくじけない力」「ストレスフルな状況から立ち直る力」を示す用語として使うようになりました。

同じ状況に陥っても、どん底まで落ちてしまう人とそうでもない人がいます。さまざまな理由でで家族がバラバラになるといった過酷な状況で精神のバランスを崩す方もいれば、日常を淡々とこなしていける人もいます。

もちろん、平気そうに見えたとしても、心の奥底で深い悲しみを抱えているであろうことは想像に難くありません。しかし精神を何とか保って生活を送れる人と、

心身が弱って生活が立ち行かなくなってしまう人の差は、どこにあるのでしょうか。

NHKの番組内で行われた心理実験

NHKの番組「クローズアップ現代」で、まさにこのレジリエンスが取り上げられたことがありました。番組内ではけん玉を使った実験を行っており、初心者にとって難しいけん玉の課題に、参加者がどう取り組むかが観察されました。

参加者は課題に取り組み、「もう諦めたい」と思うと白旗をあげます。この実験で早めにあきらめてしまった人には、2つの共通点があることがわかりました。1つが、感情の起伏が激しいこと。終始暗い表情ということではなく、最初はやる気に満ちていても、なかなか成功しないと焦ってきたり、イライラしてきたりと、正も負も感情をあらわにするタイプだったのです。

2つめの共通点が、自分の力を過小評価し、初めから無理だと決めつけていたことです。このことから、レジリエンスには感情をコントロールする力や、自尊感情が必要ではという仮説が成り立ちます。

また、粘り強く挑戦した人の共通点としては、「いつかできるだろうと思っている」「少しずつできるようになっている」という気持ちを持っていたことがわかりました。楽観性、自己効力感も、レジリエンスのキーワードになりそうです。

目の前の課題と目的に集中する

スタンフォード大学の心理学者、ケリー・マクゴニガル教授は、著書で「レジリエンスを高めるには言行を一致させ、自分が本当にしたいことに従うのが大事」と提言しています。先のけん玉課題でいえば、「どうせ無理」「頑張ってるけど、だめかもしれない」などと余計なことに気を回すことなく、課題に一転集中し、一喜一憂しない態度がレジリエンスを高めるということになるでしょう。

そう考えれば、レジリエンスは「逆境に打ち勝つ」といったような攻撃的な精神力を表すのではなく、「何があっても心を平常に保てる力」を示すことがわかります。

「レジリエンスが足りない」と自己否定を繰り返すのは逆効果

自分のことをダメだと思うところに、常に意識がいってしまうとレジリエンスは高まりません。

自信を持ち、「何があっても、自分は大丈夫」と、ある種楽観的な視点を持つことが大事です。さらに長期的な視点を持ち、結果については長い目で見る態度がポイントであると、複数の心理学者が指摘しています。

元気の出る動画を見るとレジリエンスが高まる

また、元気の出る動画を見るとレジリエンスが高まるという心理実験結果も報告されています。動画は、自分に活力を与えてくれると感じるものであればジャンルは何でもよいとのこと。その動画が映画やアニメなど物語性のあるものであれば、自分を主人公に投影しやすい人ほどレジリエンスがぐっとアップするそうです。

ちょっと元気が出ないなと思ったら、エネルギーをもらえるDVDを借りて、ゆっくり視聴する時間を設けてみてはいかがでしょうか。きっと次の日は、晴れやかな気持ちで一日を始めることができるのではないでしょうか。

自分で自分を助ける技術を身につけて、精神的タフネスを手に入れる!

レジリエンスは、誰かから与えてもらうものではありません。自分で自分の心を助ける技術です。心が乱れている、焦っている、諦めかかっているなど、自分で自分の状態を把握し、平常を保てるよう早めにケアすることがレジリエンスをアップさせます。辛い状況に陥っても、早めに回復できるよう自助努力を続け、精神的タフネスを手に入れましょう。

参考:『スタンフォードの心理学講義 人生がうまくいくシンプルなルール』(日経BP社)

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