母親が大きな役割を果たしている日本の子育て、 その最新常識とは?

現在の日本では、子育てを主に担っているのは、今も母親ではないでしょうか。でも、世界的に見てみると、父親がおおいに育児参加している国も多いようです。そんな情報の影響もあるのか、「父親も、子育てにもっと参加すべき」という意見が年々広まっているようです。そんな子育てについて心理学からみた最新常識を解説します。

  1. ワンオペ育児なんて言葉があるけれど、そもそも母親任せの子育てとは?
  2. 選択や意欲が母親に影響されがちな日本の子ども
  3. ハーバード大の研究で分かってきた、子どもの将来年収と母親の関係
  4. 子育てには母親の健康が大事!

ワンオペ育児なんて言葉があるけれど、そもそも母親任せの子育てとは?

「ワンオペ育児」が、2017年の流行語大賞にノミネートされたのは、記憶に新しいですよね。ワンオペ育児とは、主に母親が、たった一人で育児・家事をこなす状態を指しています。母親は疲れていても子どもと向き合わなければならず、ストレスの高い状態が続くことから母子の心身に悪影響を及ぼすといわれています。

ワンオペ育児は改善されなければなりませんが、そもそも日本の子育ては、長らく母親へ過度に任せすぎる傾向にあった、と言われてきました。

選択や意欲が母親に影響されがちな日本の子ども

心理学者のアイエンガーらが、子どもたちを対象に行った心理実験があります。ヨーロッパ系アメリカ人の子どもと、アジア系の子どもとでは、どちらが物事に取り組む意欲が強いか調査したのです。このとき、取り組む課題を3種類に分けました。「自ら選択した課題」、「実験者が選んだ課題」、「子どもの母親が選択した課題」の3つです。

すると、ヨーロッパ系の子どもは、自らが選んだ課題についてとくに熱心に取り組む姿が見られました。一方で、アジア系の子どもがとくに熱心に取り組んだ課題は、母親の選択課題でした。母親の選択課題に取り組んだ時間は、アジア系がヨーロッパ系の4倍以上という結果になったのです。

また、日本における日米母子研究では、11歳から12歳の子どもについて調査したところ、アメリカでは母親の要因が子どもの知的達成にほとんど影響を及ぼしていない一方で、日本では母親に関わる要因が強い影響力を持っていることが明らかになりました。アメリカの個人主義的子育てと、日本の強い母子関係との差異が浮き彫りになった研究です。

ハーバード大の研究で分かってきた、子どもの将来年収と母親の関係

アメリカの個人主義的な育て方と比較して、母親の影響が大きい日本の子育てにプレッシャーを感じてしまった方には、次の調査結果は朗報となるかもかもしれません。

それは近年ハーバード大が行った、子どもと母親との関係が及ぼす影響についての調査結果です。幼少期に、母親と良好な時間を過ごせていた男性は、そうではない男性に比べると、年収が高い傾向にあることがわかったのです。その差は日本円にしておよそ100万円程度と、かなり有意な差がみられました。

幼少期に母親との関係が良かった男性に見られた傾向が、もう一つあります。それは認知症になりにくいということです。1930年代から、70数年にわたって卒業生の人生調査をしてきたハーバード大ならではの調査結果となりました。

つまり、母親が愛情を注いだ子育てを行う、そのこと自体は子どもにかなり良い影響を及ぼすといえます。

子育てには母親の健康が大事!

ただし、現代では母親の負担が大きすぎるようです。ワンオペ育児の背景には、核家族化が高じたこと、昔と比べて人付き合いがすっかり淡泊になってきたこと、また近くに親世代や知り合いといった子育てを相談できる人がいないという事情もあります。

いくら子育てには母親の愛情が必要といっても、その母親自身が孤独では、ストレスにさらされ疲弊し、子供に向き合えなくなるかもしれません。母親が心身ともに健康であるためには、母親を支えていく周囲の理解と協力が必要なのではないでしょうか。

参考:『社会心理学』池田謙一ほか、有斐閣

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