「孤独だな……」とつぶやいたことは、誰でも1度や2度はあるでしょう。しかしずっと孤独を感じるなら、考え方や行動にも原因があるのかもしれません。心理学が教える孤独な人の心理と行動を解説しましょう。
- 7ヵ月後にも孤独を感じ続けている人が!
- 孤独な人の2つの特徴
- 孤独な人は異性をどう評価する?
- 心理学者の予想を超えた希望とは
7ヵ月後にも孤独を感じ続けている人が!
デジタル大辞泉は、「孤独」を「仲間や身寄りがなく、ひとりぼっちであること。思うことを語ったり、心を通い合わせたりする人が一人もなく寂しいこと」と定義しています。実際、「心を通い合わせたりする人」がいないといった理由で、孤独を感じることは多くの人にあるのではないでしょうか。人と一緒に居ても「孤独」を感じることすらあります。しかし長期にわたって孤独を感じ続けているとすれば、そこには別の問題が含まれている可能性がありそうです。
大学生の孤独に関する調査では、最初の調査から7ヵ月後に行われた再調査でも、1回目に「孤独」を感じていた人の3分の2が孤独感をもち続けていることがわかりました。心理学者のジョーンズは、長期間にわたって孤独感が続く原因を、いくつかのアンケート調査から明らかにしたことで知られています。
その結果、孤独な人のいくつかの特徴が浮かび上がりました。
もちろん米国での調査ですので、必ずしも日本人に一致するとは限りませんが、どういう傾向を持つのか参考にはなるでしょう。
孤独な人の2つの特徴
①自己評価が低い
内気で自意識が強い傾向にあり、他者から受容されない、異性から魅力ない人物だと思い込んでいる傾向にある。
②否定的な人間観や社会観を抱きがち
他者を受容せず、他者からも受容されていないと感じる傾向があり、無力感や無秩序感、社会的孤立感が強い傾向にある。また、他者を信頼せず、好意的ではない態度が目立ち、社会はコントロールできず不公平な場だと考えがちな傾向にある。
孤独な人は異性をどう評価する?
心理学者のジョーンズは、孤独感の高い人の行動を観察するために、異性とのペアを作って話し合ってもらい、相手を相互に評価する実験をしました。その結果、孤独な男性と孤独な女性の特徴的な考え方が明らかになりました。
<孤独な男性の異性に対する思考パターン>
・相手の女性に好意的ではなかった
・孤独な女性に対しては、特に否定的な評価を下す傾向が強かった
<孤独な女性の異性に対する思考パターン>
・相手の男性への敬意が低かった
つまりジョーンズは孤独を感じている人の多くは、自らの対人関係の扉を閉めているため人間関係が築けず、結果として孤独になっている可能性が高いことを明らかにしたのです。
心理学者の予想を超えた希望とは
ジョーンズは夏期講習に参加した学生に、自己と他の参加者の評価を依頼しました。ここでジョーンズは、孤独な人への他者からの評価が低いために、孤独を感じている人はより孤独感を強めていくのだろうと予測していました。
しかし実際には、講習のはじめの方の評価では、他者から否定的に評価される傾向が強かった孤独な人も、夏期講習の終わりには他者からの否定的な評価は認められなかったのだそうです。孤独な人も個性として認められたということかもしれません。
つまり孤独な人は、自分の意識を変えれば、孤独な生活から抜け出せる可能性が高いということです。もちろん孤独が悪いわけではありませんし、孤独だからこそ文学や哲学が生み出されたという例は数多くあります。
それでも孤独な人生を変えたいと思うなら、低い自己評価や否定的な人間観を変えていくことが近道なのではないでしょうか。もちろん自己評価や人間観は変えようと思っても変えにくいのかもしれません。しかしカウンセリングを受けてみるなど、対処の方法はありそうです。
逆に最近、孤独だと感じることが多くなってきたと感じるなら、自信を失っていないのか、他人を信じられなくなっていないのかなど、自身の感覚が「孤独な人」の思考パターンにはまっていないのかをチェックするのも1つの方法でしょう。