性格が病気と関係していると聞くとちょっと驚きかもしれません。しかし心臓疾患とがんについては、なりやすい性格特性がわかっています。あらためて自分の性格と病気について考えてみませんか?
- 攻撃的に責任感が強い人は要注意
- 病気のリスクを下げるには?
- 我慢強い控えめなタイプも要注意
- 性格が自己免疫力も抑えちゃう!
攻撃的に責任感が強い人は要注意
心筋梗塞や狭心症などの心臓疾患の危険因子として性格特性をみつけたのは、カリフォルニアの研究グループでした。3,154人の健康的な男性を8年半も追跡調査した結果、タイプAと名付けた性格の人が心臓疾患にかかりやすいことを発見したのです。その後、別の調査で女性も同様の性格の人が心臓疾患にかかりやすいことがわかりました。
さて、タイプAの性格ですが、攻撃的で挑戦的、責任感の強いタイプと説明されています。目的達成の意欲が高く、競争を好み、時間に追われている印象のある人です。
タイプAの人は、慢性的にストレスを抱えているうえに、過剰な競争で環境的な圧力も受けやすい状況にあります。しかもタイプAの人は、ストレスに過剰に反応する傾向があるため、のんびりした性格の人より大きな影響を受けやすいのだそうです。
病気のリスクを下げるには?
ただ、タイプAの人は仕事熱心で出世街道を走っていることも多いため、仕事を引退しないと性格を改善してゆっくりと生活するといった気持ちにならないことが多いようです。また、このような性格が管理職などに向いているという側面もあり、ストレス過多の環境から脱することができにくいという指摘もあります。
とはいえマイペースでリラックスしているタイプBと呼ばれる性格特性の人に比べて、2倍も心臓疾患にかかる可能性が高いと聞けば、少し心配になる人もいるのではないでしょうか。2016年の厚労省の調査によれば、日本人の死因の15%が心臓疾患です。必死に努力してつかんだ地位を、病気で手放すことになる可能性もあります。
もともとの性格を変えるのは難しいとしても、ストレスを軽減するというようなことはできるのではないでしょうか。ゆったり運動をする、週末はリラックスした時間を過ごすといった生活改善や、カウンセリングを受けてみるという少し積極的な行動改善の方法もあります。
何はともあれタイプAの人は、自分の性格特性を把握し、心臓疾患の可能性が高いことを認識することが、最初の一歩になるでしょう。
我慢強い控えめなタイプも要注意
病気と性格特性が関連付けられているのは、タイプAだけではありません。タイプCと呼ばれる性格特性の人はがんになりやすいと言われています。
『がん性格──タイプC症候群』(リディア・テモショック 著/創元社)によれば、怒りや悲しみの感情を顔に出さず、忍耐強く、控えめで協調性が高いタイプの人ほどがんになりやすいとのこと。
また、日本でもタイプCとがんの関連性について調査が行われており、東北大学医療技術短期大学の細川徹・助教授が5万人を超える調査によって、がんの割合が高いことを明らかにしています。
もちろんがんの要因は複雑であり、性格だけを原因にすることはできないでしょう。また統計上は二人に一人ががんにかかるので、性格がどれほどの要因になっているのかわかりづらい側面もあります。
ただ、要因の1つとして注意しておく方が良いかもしれません。
性格が自己免疫力も抑えちゃう!
リディア・テモショックによれば、感情の抑圧が、免疫系の抑圧につながり、自己免疫力の低下によってがんの発生を抑えにくくなると説明しています。
こちらも性格をいきなり直すのは、なかなか難しいかもしれません。しかし、自分の感情に目を向けて、悲しいときには表現してみるなど、自分の心をケアすることががん予防の一つにはなるのではないでしょうか。
また交感神経と副交感神経で調整される自律神経に注目し、交感神経が優位な日中は適度に緊張し、副交感神経が優位な夜間はリラックスできるような生活スタイルを確立することで、自己免疫力を高めていきましょう。
さらにストレス発散も重要です。趣味に没頭してみる。あるいは自然に包まれてボーっとしてみるなど、自分に向いたストレス発散法を探してみましょう。
タイプAもタイプCといった性格特性と病気との因果関係は、しっかりした研究によって認められたもの。気にし過ぎる必要はありませんが、少しでも不安を感じたらストレス発散などの行動を起こしてみてはいかがでしょう。
参考
『面白いほどよくわかる! 他人の心理学』(渋谷昌三 著/西東社)
『がん性格──タイプC症候群』(リディア・テモショック 著/創元社)