お客からのクレームの8割を解決する方法を知っていますか?初期段階で問題を解決する方法を紹介しましょう。
- お客の理不尽な要求に逮捕も
- まずは正当な要求として扱う
- 口にしてはいけない3つのNGワード
お客の理不尽な要求に逮捕も
最近、話題になることも多い「カスハラ」という言葉を知っていますか?「カスタマーハラスメント」の略でお客からの理不尽な要求やいやがらせなどのハラスメントのことです。
実際、お客からの理不尽な要求に困っている店などは少なくないようです。事を荒立てたくないし、ネットなどでの炎上も怖い。そんな心理に便乗するように、理不尽な要求が繰り返されることも少なくありません。結果、そうした要求の対応に心を削られ、せっかく得た有能な人材を失ってしまうという問題も起こります。人手不足が深刻化しているだけに、経営者としてはカスハラから働く人を守ることも重要な仕事と言えるのではないでしょうか。
実際、お客からの理不尽な要求への対応は、少しずつ変わってきています。2018年には北九州市のコンビニエンスストアで土下座を強要した男性が、強要と威力業務妨害の疑いで逮捕されています。この事件の特徴の一つは被害者である店員が、自ら被害届を出して逮捕にいたったこと。それ以前に起きた洋服店での土下座強要のように、ネットで映像が拡散され逮捕されたわけではありません。
理不尽すぎるお客の要求に法的な対応をしてもいいという意識の変化は、クレームに対応する人の安心感を増すことでしょう。
まずは正当な要求として扱う
とはいえお客からのクレームをすべてカスハラと考えるわけにはいきません。多くの場合はクレームを生み出す原因があり、その対応によってはお得意様を失うかもしれないからです。
『クレーム対応「完全撃退』マニュアル」(援川聡 著/ダイヤモンド社)には、
「クレームが寄せられたら、その内容がどのようなものであっても、まずは『お客様の正当な要求』として、スピーディに対応することが重要です」
と書かれています。
クレーマーを警戒しすぎで、相手を疑うような態度で接することで、ただ要求を言いにきた人をクレーマーにしてしまうという可能性があるのです。そうならないためにも、相手がなぜ怒り、何を求めているのかを考え、まず心情に寄り添う姿勢を示すことが重要になるとのこと。
さらに限定的なお詫びによって、相手の怒りを静めるようにします。悪質なクレーマーの場合は、お詫びしたことを根拠に要求をエスカレートさせることがあるので、非を認める謝罪と怒りを静めるお詫びの区別が重要なのだそうです。もちろん明らかに非があるのに謝罪がないのは問題ですが、非があるのか不明な場合は限定的なお詫びが有効とのことです。
そして、限定的なお詫びとして活用したいのが、次の3つ謝罪です。
①不快感へのお詫び
「ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございません」
②不満へのお詫び
「ご不便(ご迷惑)をおかけして、申し訳ございません」
③手際の悪さへのお詫び
「お手間をとらせてしまい、申し訳ございません」
こうしたお詫びをはさみながら、「それは失礼しました」「そうだったんですか」などと相槌を打ち、約5分ほど話を聞くことで、8割のクレームは解決するそうです。
ただし、この5分の間に絶対に口にしてはいけない3つのNGワードがあります。それが「ですから」「だって」「でも」です。というのも、この3つの言葉はクレームを受ける側の態度が強調され、クレームを長期化させてしまうのだそうです。
まず「ですから」という言葉は、「そんなこともわからないのか」といった「上から目線」を示すことになります。「だって」は、「そんなこと言われても困る」という「逃げ腰」を示し、「でも」は「それは違うんじゃないの?」という反抗的な態度を表してしまいます。
この3つのワードは、ときにクレームを言う人を激高させてしまいます。「客にそんな態度があるか」といわせる隙を与えてしまうのです。同じような話が繰り返されるようになると、ついつい反論したくなってしまうかもしれません。ただ、そこをしっかりと我慢することで、結果的に短時間で解決ができるのです。
もちろん本格的なクレーマーはこれでは収まらず、より緻密な戦略が必要になります。だからこそ、まず8割のクレームを沈静化する方法を、多くの人が知っておく必要があるでしょう。相手の怒りを感じたら、上記のことを思い出してみてください。
参考 『クレーム対応「完全撃退』マニュアル」(援川聡 著/ダイヤモンド社)