ストレス食いから解放される! 仕事中のダラダラ間食をやめる心理学

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年末年始で食べ過ぎてしまったという自覚のあるあなた。今度は仕事中のダラダラ間食がやめられない、なんて状況に陥っていませんか。ちょっとした心理学のルールを使えば、この良くない習慣を阻止することができますよ。

  • 自分をだませ!ダイエットに有効な3つの心理学
  • ソマン博士のクッキー食べ切り実験
  • トロント大学の「どうにでもなれ」実験
  • 肥満外来が太鼓判!食べたいと思ったら「5分だけ待ってみる」
  • ダラダラ食いは虫歯の危険も。ガムやお茶も駆使して体重増加にストップを

自分をだませ!ダイエットに有効な3つの心理学

強い意志を持って間食をしないという選択肢も、もちろんあります。でも、それができないから悩んでいるんですよね。間食をやめられないことで「自分は意志が弱い」と思い込んでしまうと、精神的に辛くなってしまい、かえってストレスをため込むことになります。

大丈夫、間食がやめられないのは、あなたの意志が弱いせいではありません。ちょっとしたコツを学べば、あなたの気持ちを間食から逸らすことが可能です。上手に自分をだますための心理学をご紹介します。

ソマン博士のクッキー食べ切り実験

トロント大学のディリップ・ソマン博士と、バージニア大学のアマール・チーマ博士は、実験の参加者を2つのグループに分け、それぞれの参加者たちに24枚入りのクッキーの箱をプレゼントしました。一方のグループには、クッキーがむき出しのまま入っている箱を渡し、もう一方のグループには、クッキーが個包装されてはいっている箱を渡しました。

すると、むき出しのままのクッキーの箱を渡されたグループは、平均して6日でクッキーを食べ終わったのに対し、個包装されたクッキーの箱を渡されたグループは、平均して24日かけてクッキーを食べ切りました。包装紙を破くというひと手間が、これほどまでに行動に変化を及ぼしたのです。

この実験からは、食べ物に到達するまでの手間を増やせば、容易には食べなくなるということがわかります。デスクの見えるところにスナック菓子などを置いていませんか。お菓子はなるべく個包装のものを少量ずつ買い、まとめ買いは控えましょう。仕事中、「ちょっと小腹が減った」と感じても、手元になければ食べるのを諦めますよね。

トロント大学の「どうにでもなれ」実験

トロント大学のダイエット研究者、ジャネット・ポリヴィ博士とピーター・ハーマン博士は、次のような実験を行いました。ダイエット中の人たちを集め、3つのグループに分けます。1つめのグループは、何も食べません。2つめのグループには、カロリーが高めのお菓子を少しだけ食べてもらいます。3つめのグループには、カロリーが高めのお菓子を満腹になるまで食べてもらいます。

そして、休憩後に3つのグループを別の会場に連れていき、食べ物を目の前にしてどれだけ食べるかを観察することにしました。すると、最もたくさん食べ物を食べたのは、事前にカロリー高めのお菓子を満腹になるまで食べたグループの人たちだったのです。

満腹な人たちの心理状態を代弁すると、こんなふうだったのではないでしょうか。「あ~あ、ダイエット中だったのに、とうとうカロリーの高いお菓子をお腹いっぱいになるまで食べてしまった。もう、どうにでもなれ!」。博士らは、この心理学実験の結果に「どうにでもなれ効果」と名付けました。

一方で、別会場で最も小食だったのは、事前に何も食べなかったグループだったとのこと。ダイエットを継続しているという意識があるため、自制が効いたとみられます。

あなたも、仕事中うっかり間食してしまうと、「ああ、今日は食べないと決めたのに……。ええい、どうにでもなれ」と、食べ続けてしまうことありませんか。0か100かの考え方は、自分を苦しめるだけ。「10時と3時には間食を許そう」など、ちょっとだけ自分に甘くするルールを作ることで、際限なく食べ続けることから逃れられるでしょう。

肥満外来が太鼓判!食べたいと思ったら「5分だけ待ってみる」

肥満外来の臨床心理士である岡嵜順子氏は、著書『なぜあなたは食べ過ぎてしまうのか 成功率9割以上の肥満専門外来が教えるダイエットの心理学』の中で「いわゆる口さみしさからくる食欲は、“まやかし”です」としたうえで、「口寂しさの波は、大体5分経つと消えてなくなっている場合がほとんど。何かちょっとだけ食べたいな……と思ったら、5分間を、上手に乗り切る方法を考えましょう」と提案しています。

そして、解決方法として「窓辺まで移動し、少し動いて体をリラックスさせる」「心がホッとする人とのおしゃべり」「ノンシュガーのガムをかむ」などを勧めています。つまり、ストレス源である仕事からもいったん気持ちをそらすことが大事なのです。5分間の小休憩なら、トイレに立ってお化粧を直す、給湯室へコーヒーを入れに行くなど、簡単に取り組めそうです。

ダラダラ食いは虫歯の危険も。ガムやお茶も駆使して体重増加にストップを

ダラダラ間食を続けると、体重増加のほか、虫歯になる危険性も高くなります。口の中にずっと食べ物がある状態が続いていると、口の中が酸性に傾き、歯の表面にあるエナメル質が溶け出すことで虫歯になりやすくなるためです。

肥満防止のためにも、虫歯予防のためにも、そして精神的な安定のためにも、心理学のルールを駆使して仕事中のダラダラ間食をやめましょう。キシリトール入りのガムや、殺菌成分が含まれる緑茶を利用すれば、甘いお菓子への欲望を紛らわせるうえ、虫歯対策にもなりますよ。

こうした問題に対してカウンセラーは話をしっかり聴いて、問題を自ら解決できるよう支援します。興味がある方はこちらをクリックしてください。

参考:『ココロの謎が解ける50の心理実験』(清田予紀 著/王様文庫)/『なぜあなたは食べ過ぎてしまうのか 成功率9割以上の肥満専門外来が教えるダイエットの心理学』(岡嵜順子 著/講談社)

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