新型コロナウイルスの拡大によって、自宅などで勤務するテレワークを導入する企業はどんどん増えているようです。しかし在宅勤務によるメンタルへの影響には注意が必要かもしれません。
- さらに在宅勤務が進んだときのために
- テレワークの問題であり続ける「孤独」
- 職場でしか話さない人も
- 孤独を感じたらコミュニケーションを取る
さらに在宅勤務が進んだときのために
新型コロナウイルスの問題が拡大するようになり、新規にテレワークを導入する企業や、テレワークの頻度を上げる企業が多くなっているようです。今後ロックダウン(都市封鎖)が起きるようなことがあれば、テレワークへの移行はますます進むのではないでしょうか。
まず初めに書いておきたいのは、テレワークが経営陣と従業員、双方にプラスとして働くということです。総務省の調査によれば、テレワークを導入した企業の約8割が、その効果を認めています。育児や介護がしやすくなったといったものから、仕事の効率が上がったといった声まで届いています。
ただ、これまではテレワークを導入したといっても、その頻度は限られたものでした。平成31年の東京都の調査によれば、テレワーク経験者の実施頻度は「月数回程度」が43.2%、「週数回程度」が30.2%なのです。つまり会社で仕事をする時間の方が、自宅などで仕事をする時間より多かったのです。
ところが新型コロナウイルスの問題が起きてから、原則テレワークで仕事をする企業が出てきています。今後の感染拡大によっては、出社を禁止する企業も出てくるかもしれません。
テレワークの問題であり続ける「孤独」
ここで問題になってくるのが孤独です。
ツイッターなどでは、テレワーク導入によって「誰とも話せなくてストレスが溜まる」という苦情が届き、2週間で出社がOKになったという話が取り上げられています。
このような問題は、避けることができないものなのかもしれません。
IT企業であるBufferは、オフィスを廃止してすべてのスタッフが自由に働き場所を選べるようにしています。そして同じような働き方をしている人達へのアンケートも実施しています。2020年のアンケートでは、3500人以上が調査に協力したそうです。そしてスタッフの98%がこのような働き方を続けたいと望んでいるという結果を発表しました。
ただし、このような働き方の問題として、「孤独」「コミュニケーションとコラボレーション」という2つの項目が、ともに20%を占めているのです。この問題は、過去3年間の調査でも常に上位を占めており、抜本的な解決策が見つかっていないようです。
オフィスと同じように、おしゃべりができるツールやチャットの活用など、孤独を緩和する方法はすでに開発されています。ただ新型コロナウイルスの問題を背景に急いで導入した企業などでは、こうしたツールまで取り揃えられないこともあるのかもしれません。
職場でしか話さない人も
先程紹介したアンケート調査では、「孤独」は仕事の仕方ではなく、社会的な問題ではないのかという見解を示しています。孤独を抱えやすい社会のあり方が、問題の土台にあるということです。
とはいえ、そんな孤独を癒やす場としての職場の機能が、いきなり無くなってしまう影響は無視できないでしょう。
地域とのかかわりが少ない、家族と話す時間も多くはない、友人も忙しくてなかなか会えない。結局、自分が最も話しているのは職場の人達だった。こんなことは、決して珍しくないはずです。
会社で話さなければ、1日誰とも話していない。そんな状況が今後起きてくるかもしれません。
孤独を感じたらコミュニケーションを取る
こうした孤独への対処法は、通常の状況であればいろいろあるようです。
しかし新型コロナウイルスの蔓延によって、多くの人が不安を感じている今だから、電話やテレビ電話、チャットなどを使って、いつもより積極的にコミュニケーションを取ってみるのも、一つの方法ではないでしょうか。
災害がコミュニケーションを活発化させることは広く知られています。不安な気持ちを互いに支え合うことで、新たな絆が生まれることも少なくありません。しかし感染症は、そうしたコミュニティーを作りにくくしてしまいます。
だからこそ情報通信技術を使って孤独を解消していこうという試みは、多くの人を救うことになるのかもしれません。
参考:「The 2020 State of Remote Work」
孤独への具体的な対処方法は、こちらをご覧ください。
メンタルヘルスやコミュニケーションに興味のある方はこちらをご覧ください。
日本産業カウンセラー協会でも、新型コロナウイルス感染症に関連して不安やストレスにどう対処していくか、産業カウンセラーによるコラムを配信しています。 こちら からご覧ください。
※産業カウンセラーは、心理的手法を用いて、働く人やそのご家族の心の健康・キャリア開発・職場環境改善等を支援する専門家です。