緊急事態宣言に基づく東京のロックダウン(都市封鎖)の可能性が新聞などでも報じられています。そのとき心配になるのがメンタルヘルスではないでしょうか。すでにロックダウンしている国々の報道などから、参考になる対策を集めてみました!
- 今は「ギリギリの局面」
- メンタルヘルス対策は非常に重要
- みんながツライことを思い出せ!
- 忙しい日々を送れ!
今は「ギリギリの局面」
東京がロックダウン(都市封鎖)するのか、予断を許さない状況です。3月25日の小池百合子東京都知事の会見では、「何もしないで推移すればロックダウンを招いてしまう」と発言。27日には「感染爆発を抑止できるギリギリの局面だ」とも語っています。瀬戸際の状態が続いているということなのでしょう。
だからこそ万が一にもロックダウンが起きた場合に、どうしたらメンタルを良い状態に保てるのかを認識しておいた方がいいのではないでしょうか。そこで、すでに都市封鎖を実施している国々の報道から、都市封鎖時の心理的注意点や対処法を集めてみました。参考にしてみてください。
メンタルヘルス対策は非常に重要
EUに関連した問題を報道する非営利のオンライン新聞『EUオブザーバー』は、WHOの欧州支部長ハンス・クルーゲ氏にインタビューし、ロックダウンが精神的に悪影響を及ぼす可能性があると指摘しました。
またロックダウンが実施される現状で、ストレスや不安、恐怖、孤独を感じるのは当然だとも彼は述べ、
「スプリントではなく、マラソンになるだろう」
とも説明しています。さらに、いつ終わるか先の見えない非常事態だけに、メンタルヘルスケアは重要との見解を示しています。
実際、ロックダウンをいつ解除するのかは大きな問題だとも報じられています。長引く可能性も捨てきれないでしょう。そうした状況もストレスになってしまうので、メンタルヘルスケアが重要になってくるのでしょう。
みんながツライことを思い出せ!
イギリスのガーディアンは各国の特派員を使い、欧州各国のロックダウンによる心理的影響をまとめています。
イタリアでは、ロックダウンの最初の週の調査で、93%が不安を感じたと答え、42%が気分を低下させ、28%がよく眠れなかったと答えています。イタリアの場合、かなりの死者が出ていたこともあり、ロックダウンだけの影響とは限りませんが、かなりの不安を与えたことは間違いないでしょう。
フランスの心理学者オーレリアンシュナイダーは、自分だけがつらいのではなく、多くの人が困難と向き合っていることを知ることが重要だと語っています。
イタリアの心理学者ラジネリは、「可能な限りあらゆる方法で、他者との接触維持することが重要」とも述べています。
大規模災害時には、被災者や関係者の連帯感を高め、ある種の「ユートピア」を作り出すことはよく知られています。しかし、今回の新型コロナのパンデミックは人々が会って話すこと自体がリスクになるため、地域の人々などと一緒に困難を乗り越えるという動きが生まれにくいのです。
だからこそ自室に籠っているのが自分だけではないことを思い出すことが、不安を解消する第一歩となるのでしょう。
忙しい日々を送れ!
ガーディアンは、「毎日todoリストを作って忙しい日々を過ごすことが重要だ、と欧州の心理学者は強調している」と書いています。何もすることがなく、ボーっと自宅に居続けることはメンタルにマイナスのようです。
また「自ら動くことで、不安が解消していく」とイタリアの心理学者レオニバスも語っています。
実際、自宅でも充実した日々を送ることはできるでしょう。ガーディアンによると、読書やガーデニング、DIY、オンラインのヨガなどお勧めのようです。しかもロックダウンに対応したルーチンをつくるよう促してもいます。ロックダウンが長期化することを見越した対策といえそうです。
インドの週刊誌『インディア・トゥデイ』では、ラビンダー・デオル教授が「テレビでコロナに関するニュースを見続けることによって不安が高まることを懸念している」と伝えています。ロックダウン中は、テレビを消して読書やゲーム、ウォーキングやダンスなどがお勧めだそうです。また教授は、親や子ども、パートナーとの会話の時間を楽しむようにと語っていたそうです。
国ごとにやや状況が異なるようですが、日々の生活の充実に力を注ぎ、友人や家族とのかかわりを充実させることが、ロックダウン中には重要なようです。
まだまだ気が抜けない日々が続きますが、行動に制限があっても前向きに生活できる可能性があることは忘れないようにしたいですね。
メンタルヘルスに関心のある方はこちらをご覧ください。
参考:「Lockdown living: how Europeans are avoiding going stir crazy」(『The Guardian』)/「WHO warning on lockdown mental health」(『EU observer』)/「Stimulate the mind to avoid psychological impairment during this lockdown, suggest psychologists」(『INDIA TODAY』)