非常事態宣言だから知っておきたい孤独への対処法

緊急事態宣言が発令されました。日々の生活は大きな影響を受けることになるでしょう。海外の報道などでは、ロックダウン中に「孤独」にどう対処するのかという記事が数多く配信されています。そこで今だから知っておきたい孤独への対処法を解説します。

  • 非常事態は孤独を生みやすい
  • 孤独感は人間関係を遠ざける
  • 孤独は免疫力にも影響か
  • 孤独の意味も考える
  • 一人の時間を充実させるには

非常事態は孤独を生みやすい

緊急事態宣言は、海外のロックダウンと違い強制力はありません。そのためロックダウン(都市封鎖)中の海外と同じような事態が起きるわけではないかもしれません。しかし通勤がなくなってテレワークになる、仕事終わりの一杯がなくなる、友達などにも会いにくい、高齢の親などにも会いにくいなどなど。この非常事態には孤独感を募らせる要因は数多くあります。

しかも新型コロナウイルスの問題は、いつ解決するといった見通しが立ちにくい状況です。だからこそ孤独は身体にどんな影響をおよぼし、どう対処すべきなのかを理解することも重要な情報だと思うのです。

孤独感は人間関係を遠ざける

まず、「孤独」のそのものについて説明していきましょう。

心理学者のガイウィンチ博士が、「Psychology Today」に投稿した「孤独についての驚くべき事実」という記事は、孤独に別の角度から光を当てるものです。この10の事実の中で、今だからこそ紹介しておきたいのは「孤独が認知をゆがめる」という点です。孤独感にさいなまれると、人は孤独感を和らげる人間関係から遠ざかることがあるというのです。

外にも出ないし、職場で雑談に興じることもない。そんな環境で孤独を感じているのに、家族からの電話にはぞんざいな対応してしまうといったことには注意が必要です。あるいは孤独を強く感じているのに、友人とコミュニケーションを取らなくなったときは、自分の認識が少しおかしいのかもと考えてみることが必要かもしれません。

孤独は免疫力にも影響か

「孤独」と体の関係についても、いろいろな研究があります。心理学者のホルト・ルンスタッドの研究によれば、適切な社会的関係を築いている人は、社会的な関係の乏しい孤独な人に比べて生存率が1.5倍高いのだそうです。

また、ヘブライ大学の研究によれば、慢性的に孤独だと思っている人は、孤独ではない人に比べて1.83倍も死亡率が高いとの報告もあります。

さらに米オハイオ州立大学の研究によれば、孤独感と免疫力低下には関係があり、孤独を感じている人ほど体内のヘルペスウイルスの活動が活発になるそうです。つまり孤独が免疫力を低下させる可能性があるというのです。

新型コロナウイルスと闘うためにも、免疫力を落としたくなありません。そのためにも孤独になり過ぎないように、気を遣うことが重要なのではないでしょうか。

孤独の意味も考える

孤独への対処法としては、まず他人とコミュニケーションを取る方法があります。電話やチャット、テレビ電話など、接触の方法はさまざまです。非常時で孤独を感じている人も少なくないでしょうから連絡してみるというのも一つの方法かもしれません。

しかし孤独の問題には、ただ解消すればいいのかという視点があります。

旭川医科大学の杉岡良彦氏は「孤独に関する医学的研究と人間の孤独性」という論文で次のように書いています。

孤独は不安や苦しみを伴うものであるが、しかし人生においては避けて通ることのできない一つの過程であり、成長と創造をもたらす機会ともなる。孤独を強く感じていても、自ら生きる意味を見いだし努力する人と、孤独であるがゆえに人生に絶望する人では、その健康影響はやはり異なるであろうことが予測される。
こんな非常時に孤独に向き合う必要はないという意見もあるでしょう。しかし、しばらくの間は他人とコミュニケーションが取りづらい状況が続くかもしれず、仕事を介してしかコミュニケーションが取りづらい人もいることを考えれば、この時期に孤独との付き合い方を考えるの必要なことかもしれません。

一人の時間を充実させるには

そこで『孤独を軽やかに生きるノート』(反田克彦 著/すばる舎リンケージ)から、この非常時でも使えそうな「一人の時間を充実させるヒント」を紹介します。

①生活をシンプルにする
家を片付けて、シンプルな生活を目指すことで身軽な生活ができるようになるそうです。多くのものに囲まれて暮らすことが安心だという生活を、ちょっと違う角度から眺めてみるのも良いかもしれません。

②生き物を飼う
猫や犬だけではなく、魚や爬虫類なども飼うことはできます。身近に生物のいる生活は、生活習慣を変える可能性があります。犬の散歩のために早起きするといった行動の変化を、味わえるかもしれません。

③初めてのことをする
テレビやネットだけではなく、俳句作りや写経、楽器の演奏など今までのやったことのないことに手を出してみると、新たな発見があるかもしれません。

孤独がつらいと感じたら孤独と付き合うために少し動いてみる。そんな時間の使い方も、選択肢の一つとしてあるのではないでしょうか。

自分の心について、もっと学びたいと思った方はこちらをご覧ください。

参考:『孤独を軽やかに生きるノート』(反田克彦 著/すばる舎リンケージ)/「孤独に関する医学的研究と人間の孤独性」(杉岡良彦)/「10 Surprising Facts About Loneliness」(Guy Winch Ph.D./Psychology Today)/「米大学研究:孤独感は免疫力を低下させることが判明」(『人民網日本語版』)

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日本産業カウンセラー協会でも、新型コロナウイルス感染症に関連して不安やストレスにどう対処していくか、産業カウンセラーによるコラムを配信しています。 こちらからご覧ください。
※産業カウンセラーは、心理的手法を用いて、働く人やそのご家族の心の健康・キャリア開発・職場環境改善等を支援する専門家です。

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