緊急事態宣言も一部解除され、ようや平穏な日常を取り戻す道筋が見えてきたようにも感じましたが、このパンデミックが大切な人の関係を見直す契機になるのではといった論調もあるようです。紹介していきましょう。
- ブルース・ウィリスとデミ・ムーアが20年ぶり一緒に生活
- 残された時間への意識で変わる人生観
- 東日本大震災後も人間関係を問う動きが
ブルース・ウィリスとデミ・ムーアが20年ぶり一緒に生活
最近、話題になっているハリウッドスターといえば、ブルース・ウィリスと元妻デミ・ムーアでしょう。新型コロナウイルス感染拡大による自主隔離生活の様子をインタグラムにアップしているからです。20年前に子どもを置いて離婚したブルース・ウィリスが、デミ・ムーアとの間に生まれた3人の娘などと一緒に、元妻のアイダホの別荘で楽しそうに過ごしています。緑と白のそろいのボーダーの上下を着て、犬5匹を含む家族たちが勢揃いしている写真は、なかなかのインパクトです。
ブルース・ウィリスの現在の妻と子どもが写っていなかったことから、ちょっとした騒ぎにもなったようですが、少し遅れてデミ・ムーアの別荘に合流したそうです。
離婚した後もブルース・ウィリスとデミ・ムーアの仲は悪くなかったようですが、20年ぶりに家族が一緒に生活することは、当事者にとっても驚きだったとも報じられています。
結婚や家族問題を専門とするセラピスト、Jane Greer博士は、パンデミックがさまざまな復縁を後押しすると分析しています。互いに譲れないものがあって別れたカップルも、この大きな危機を前に歩み寄ることができるというわけです。
「過去に問題となった大きな価値観の違いを受け入れることが容易になり、相手の行動を許容しようという意欲も見えます」(「Love in the Time of COVID-19」/『Psychology Today』)
というJane Greer博士の言葉は、この大変な日々の中で希望になるかもしれません。
残された時間への意識で変わる人生観
こうした人間関係の変化は、「社会情動的選択性理論」で説明できるという説があります。
このちょっと難しい名前の理論は、スタンフォード大学のLaura L. Carstensen教授が唱えたもので、死を意識し、残された時間について考えるようになると、情動的に満足できるような目標や活動に時間を費やすようになるというものです。
結果、新しい人間関係の構築よりも、重要な人との関係性を深めることに重きを置くようになるらしいのです。
家族の疎外を研究しているコール大学のKarl Pillemer博士は、自身や親類の健康問題に直面した人は、仲たがいした相手との隙間を埋めようと、相手を許し謝罪してコンタクトを取ろうとすることがわかったと述べています。また家族問題の解決に、次のような言葉が効果があるとも書いています。
過去の行き違いや恨みに価値がありますか?今、連絡が取れないとパンデミックによって関係修復への対応が難しくなるかもしれません。
実際、このパンデミックによって、数年ときには数十年疎遠になっていた関係だった親族が連絡を取るようになったとも書いています。
家族の疎遠と和解について1,700人以上を調査してきたKarl Pillemer博士にとって、人生の短さを感じさせる新型コロナウイルスの問題が復縁を促すことは、当たり前のことだったようです。
東日本大震災後も人間関係を問う動きが
じつは日本でも東日本大震災のときに、復縁ではないものの、大切な人との関係を育みたいといった想いが強まったという報道があります。
東日本大震災のときは、結婚ブームだと話題になりました。「絆婚」という言葉がはやったのも懐かしいですね。
災害をきっかけとして、本当に大切なものが何かを問う動きは強まる傾向にあるようです。今回のコロナ禍も人間関係について考えるきっかけになるかもしれません。
心理学やカウンセリングに興味のある方はこちらをご覧ください。
参考:「Love in the Time of COVID-19」(Jane Greer/『Psychology Today』)
「Estrangement, Reconciliation, and the Virus」(Karl Pillemer/『Psychology Today』)
「ブルース・ウィリス、家族はどこに…コロナ自主隔離の元妻デミ・ムーアとパジャマで団らん」(『Movie Walker』)