介護休業を取るのはいいけれど、その間は会社側から給料が出ないらしいという噂を聞いて、「ただ休めるだけか~」とうなだれている人はいませんか。大丈夫、会社から給料が出なくても、社会保険に入っていれば給付金を受けることができます。ただ、給料の全てはカバーしてくれません。給付内容を知り、介護休業中のライフプランをしっかり立てましょう。
- 介護休業中は社会保険から給与の3分の2が給付される
- 介護休業給付を受給する条件
- 申請は事業主が行う必要がある
- 介護休業かテレワークか、会社側と一緒に考えよう
介護休業中は社会保険から給与の3分の2が給付される
介護休業を申請すると、一年につき合計93日を限度に、3回までまとまった休みを取ることができます。長期にわたる介護では、たったの93日……と思うかもしれません。
しかし、「親が骨折して自宅療養が必要になった」「親に認知症が出てきたので、介護しながら施設を探す」といった理由で休みを取るのには、じゅうぶんな日数ではないでしょうか。慣れない介護をしながら、仕事と介護の料率について模索するための、価値ある休業です。
介護休業中は、給与の3分の2が支給されます。正確には、「休業開始時賃金日額×支給日数×67%」が支給されることになります。ざっくり、これまでの3分の2の給料で生活しなければならないのですが、現実的には、多くの人が貯金を少し取り崩すことになるかもしれません。
また、給付額には上限があります。賃金月額の上限が46万6500円と定められているので、支給額の上限はこの67%、すなわち31万2555円です。高収入を得ていた人でも、介護休業中は31万円余りで暮らすことになります。
なお、賃金月額の下限は6万8700円で、よって支給額の下限は4万6029円となります。
介護休業給付を受給する条件
介護休業給付を受給するには、労働者本人が以下の条件を満たす必要があります。
・過去2年間のうち1年以上雇用保険に加入している
・介護休業開始時に1年以上その会社で働いている
・契約社員など期間雇用者の場合は、介護休業開始予定日から93日を経過しても引き続き雇用される見込みがある
雇用されている1年間のうち、賃金支払い日数が11日に満たない場合は支給の対象になりません。アルバイト・パートの場合は注意しましょう。
介護休業の対象とする状況は、以下の通りです。
・病気やケガにより2週間以上の常時介護を必要とする家族がいるとき
・対象家族は配偶者、父母、養父母、義父母、子、養子、祖父母、兄弟姉妹、孫
・労働者が休業期間を明らかにして会社側に伝え、実際に休業を取得したとき
また、産休中、育休中に介護休暇を取得することはできません。
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申請は事業主が行う必要がある
介護休業給付の受給手続きは、労働者が行うものではありません。あくまで事業主が行うことになります。ただ、例外として本人の申請手続きも認められていますから、事情がある場合はハローワークに相談してみましょう。
介護休業かテレワークか、会社側と一緒に考える
介護休業を取得すると、時期によってはキャリアには影響が出てしまうこともあり、休業から復帰したときには、今までのスキルが通用しなくなっている可能性もあります。また、給与の67%しかもらえないことに、不安を感じる人もいるでしょう。介護休業を取らなければならないと思ったら、テレワークも選択肢に入れるのはいかがでしょうか。
テレワークは会社以外の場所でインターネットや電話を駆使して働くワークスタイルの通称で、在宅で仕事をするための手段として捉えられています。
会社側に介護が始まることを伝えるときは、初めから「介護休業を取得したい」と切り出すのではなく、「家族がこのような状態だが、会社を辞めたくない」と相談してはいかがでしょうか。もちろん一度休業して介護と仕事を両立できる環境を整えるのが一番ですが、業態によっては、「週に一度出社すれば、あとは在宅でも可」などといった措置をとってくれかもしれません。プライベートを大事にしながら、仕事も諦めない方法を、会社側と一緒に考えていきましょう。