高齢化が進み、介護離職に追い込まれる人がますます多くなるとささやかれています。介護離職を迫られる年代は40代から50代で、まさに働き盛り。管理職級の人も多いでしょう。介護離職は、会社にとっても大きな痛手です。そんなときになるべく活用したいのが介護休暇や介護休業です。法律で定められていることを確認し、いずれかを利用できないか、上司と相談してみましょう。
- 育児・介護休業法のなかの介護休暇
- 育児・介護休業法のなかの介護休業
- 介護休暇、介護休業は若手を大きく成長させるチャンス
- テレワークも活用したい
育児・介護休業法のなかの介護休暇
介護休暇と介護休業についての規定は、ともに「育児・介護休業法」の中にあります。「介護休暇」と「介護休業」、呼び名は似ていますが、まるで違う内容なので注意が必要です。
介護休暇は、介護を理由として突発的に一日単位、あるいは半日単位で休みを取らなければならなくなったときに有効な制度です。要介護状態にある家族の介護を行っている場合、有給休暇とは別に一年につき5日間の休暇を取ることができます。対象家族が2人以上の場合は、10日間の休暇が許されます。
介護休暇を取ることができるのは、日雇いではない労働者です。また、労使協定によっては、雇用されてから6ヶ月未満、または一週間の所定労働日数が2日以下の労働者は制度の利用ができません。
育児・介護休業法のなかの介護休業
介護休業は、介護を理由にまとまったお休みが必要になったときに使える制度です。「受け入れてくれる介護施設が見つかるまで、自宅で面倒を見なければならない」といった事情に向いています。介護休業の期間は、対象家族一人につき一年あたり3回まで、通算93日です。希望日の2週間前までには、事業主へ申し出なければなりません。
介護休業を取得できるのは、日雇いではない労働者です。また、契約社員など期間を定めて雇用されている人は、1年以上の雇用実績があり、介護休業を終えてから半年のうちに雇用期間切れとならなければ取得できます。
介護休業が使えれば、介護と仕事を両立させるための準備を整えることが可能になります。休業中に介護保険のサービスや地域の助けを借りて、自分と家族の生活を成り立たせるプランを考え、実行してゆくことが大事です。
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介護休暇、介護休業は若手を大きく成長させるチャンス
介護休暇や介護休業は、会社にとって重要な役割を担っている社員が休むことになり、そのブランクは社員にとっても会社にとっても痛手です。しかし、離職になってしまったら、双方がブランクを上回るダメージをこうむることになります。ピンチをチャンスととらえられる、柔軟な考え方が必要になってくるでしょう。
中堅社員が介護休業を取得している間は、誰かに重大な仕事を任せることになります。これを、若手が大きく成長するチャンスであるととらえてはいかがでしょうか。これを機に大きな仕事を次世代に任せ、引き継ぎの準備を早いうちから進めてみるのもいいかもしれません。
テレワークも活用したい
介護離職をストップさせるためには、介護休暇や介護休業と合わせて、テレワークを活用するのも有効です。介護は何も24時間体制とは決まっていません。親のそばについていながら、「ここにパソコンがあったら仕事ができるのに」と身もだえする社員もいることでしょう。
ネットワークのセキュリティーを必要十分に対策したうえで、自宅勤務を認めれば、はるかに効率よく仕事ができるという社員は多いことでしょう。親の介護を抱えた社員だけではなく、育児と仕事の両立や妊娠中の仕事に悩む社員にとっても、テレワーク解禁は朗報となり得ます。介護と仕事の両立を突き詰めれば、万人が働きやすい会社づくりに役立ちますよ。